<智花の場合 第6話>

それからも智花の屈辱の日々は続く。
はじめはキレイに処理されていたムダ毛も、3週間もすると目立ち始める。
美桜から支給されたサイズ違いの水着では智花の陰毛を覆いきれず、両太ももの付け根には黒々とした陰毛が顔を出すようになっていた。また脇の下も、1本1本は細いものの男性と同じような毛が密集した状態となっていた。部活の時間は気がついた男子から失笑されることもあるが、美桜の指示である以上勝手に処理することは許されない。
「海外のセレブもやってるでしょ?私も気分転換に伸ばしてみようと思って」
白々しいいいわけでごまかしてきた。初めは心配していたチームメイトも、美桜のただならぬ敵意を察知し、智花からは離れていった。現実世界では孤独になっていく智花だったが、一方でSNSでは抜群の知名度を誇るようになっていた。日々淡々と投稿される全裸写真、さらに週1回投稿される下着の写真・・・どれもマニアのニーズを捉えており、今やフォロワー数は1000人に迫る勢いであった。
そんな智花に、美桜から新たな指示が届く。
「お疲れ様♪今の生活にも大分なじんできたみたいだね。SNSのフォロワー数も増える一方じゃん。有名にしてあげたんだから感謝してよね?」
あまりに身勝手な文面に、一瞬怒りが沸くが、既に取り返しがつかないレベルで弱みを握られている智花は、黙って続きを読む。
「何か目標がないと頑張れないと思うし、一つ目標を決めてあげる。SNSのフォロワー数1000人を目標にしようか。1000人に到達したら開放してあげるから、あと一息頑張って♪フォロワー数増加のためのミッションを考えたから頑張って。
・女友達の着用済み下着を頭にかぶって撮影して、#下着泥棒 のハッシュタグをつけて投稿すること。
目標は10人、下着をゲットする方法は自分で工夫してね。
 
・同じ大学の女子とお泊まり会を開催して、その子が眠ってる間にその子の裸を撮影、SNSに投稿すること。
 
これをクリアすれば1000人もあっという間だよ!頑張って!」
 
今までは自分だけが恥ずかしい思いをすれば済むミッションだったが、周りを巻き込むような指示は初めてだった。他人、しかもこのノルマのために誘える間柄となると、親しい友人を売らなければならない。自己の保身のために友人を売るなど人として最低であると頭では分かっているが、背に腹は代えられない。

まずは下着を手にする方法を考えることにした。手っ取り早いのは部活の際に更衣室を漁ることだ。女子更衣室にはロッカーがあるが、身内しか利用しない安心感からか鍵をかけない学生がほとんどである。簡単に手に入るだろう。
 
そうこうしている間に、部活の時間になった。ムダ毛の処理をせず、サイズの合わない水着で部活に臨む智花はいつからか孤立しており練習を抜け出すのは簡単だった。
人目を気にしつつ更衣室に戻ってきた智花は、ロッカーを順番に開いていく。楓、希美、美貴・・・かつて一緒に遊び、切磋琢磨した同期のロッカーを順番に開けていく。
 
他人の下着、それも着用済みの下着を被るなどきれい好きの智花にとってはかなりの苦痛だが、心を無にし、淡々とこなしてく。
楓、希美のロッカーを終え、最後に美貴のロッカーを開ける。ボーイッシュな美貴は、黒のボクサータイプを着用している。黒地のため、様々な汚れが嫌でも目に入る。さらに元々代謝のいい美貴の下着は決して無臭とはいえず、智花は顔をしかめる。息を止め、意を決して下着を被ったそのとき
「あーっ、やっぱり!」
聞き慣れた悪魔の声が聞こえる。そう、美桜の声だ。

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