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Sちゃんのこと

 何度かnoteに書いた私の友人(Sちゃんという)のことを書いてみたいと思った。私にとって、とてもとても大切な人だ。


 Sちゃんと私は、幼稚園から高校までずっと一緒だった。小学校の時は、何度か同じクラスになったこともある。中学校では同じ部活で、高校では3年間同じクラスだった。こうして書くと、幼い頃から、仲良しだったように思えるが、全く違う。Sちゃんと私が仲良くなったのは、高校に入ってからだ。仲が悪かったわけではなく、お互い自分とはタイプが違うと思って、何となく距離を置いていた。
 高校で同じクラスになり、お互い本が好きだと知った。そして、同じ作者が好きだった。それからは、本の話をしたり、音楽の話をしたりした。Sちゃんも私もスピッツが好きだった。一緒にスピッツを聴きながら、歌詞の意味を考えた。ほんとうに、高校3年間でたくさんのことを話したと思う。長電話したり、お互いの家に泊まりに行ったり、いくら話しても話は尽きなかった。お互いのいいところだけでなく、他の人には見せられない自分の中の嫌なところも見せてきた。それでも、そんなところも含めて、私たちはお互いが好きだった。

 Sちゃんと仲良くなってから、もう30年近く経つ。こんなに長く付き合いが続くなんて、高校生の私は想像もしなかっただろう。
 Sちゃんは私にとって特別な人だ。Sちゃんにとっての私もそうであると思う。Sちゃんと私は、まめに連絡を取るわけではない。連絡を取るのは、お互いの誕生日、帰省する時などで、多くても年に4〜5回だ。電話をすることもない。それでも、私の心の中には、いつもSちゃんのスペースがある。何かあったときなど、「Sちゃんならどうするかな。なんて言うかな。」と考える。


 帰省した時は、一緒にお昼ご飯を食べる。食べながら、ポツリポツリと近況などを話す。電話もしないから、お互いの近況なんて全くわからないのだが、なんとなく顔を見れば、どういう気持ちなのかわかる気がする。長い時は数年会えないこともあったが、いざ会ってみると、昨日も会ったかのような感覚だ。私の心の中に、いつもSちゃんのスペースがあるからかもしれない。


 私は友人が少ない。育った地元を離れ、時間が経ち、さらに少なくなった。それでも、ほんとうに大切な友人が残っている。それだけでも、私はとてもしあわせだと思う。

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