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節分のおもいで

 明日は節分。私が子どもの頃は、家で豆まきをしたり恵方巻きを食べたりという記憶はない。学校で豆まきをしたくらいだ。

 結婚して、地元を離れてから初めての節分、買い物に行ったスーパーで驚いたことがあった。私の育ったところでは、豆まきの豆は大豆だった。結婚した地では、落花生が主流だった。スーパーの節分コーナーには落花生が所狭しと並ぶ。今では見慣れた光景だが、結婚した頃は違和感を感じていた。けれど、まいてみると、大豆より大きいため、片付けやすくよかった。

 子どもたちは保育園の頃、節分をとても怖がっていた。節分で保育園にくる鬼が、とてつもなく怖いそうだ。特に白い鬼が怖いという。だいたい鬼は、赤とか青じゃないのか?と疑問に思っていたのだが、ある年の節分に謎が解けた。連絡帳に、先生が節分の様子を写真に撮って貼ってくれていた。そこに写っていた鬼は、私の想像を超えていた。全身黒い服に身を包み、般若の面をかぶった鬼が、子どもたちを追いかけていた。もちろん子どもたちは泣いている。全身黒ずくめの般若は、写真からも恐ろしさが伝わってきた。

 後日、保育園の若い先生が、
「節分は大変なんですよ〜。泣きすぎて、吐いちゃう子も多くて。後片付けがね〜。」
と、ニコニコしながら話していた。恐るべし。
 先生、毎年そこまでして、本気の節分をしてくださってありがとう。
 子どもたちは大きくなった今でも、保育園の鬼は怖かった、と時々話す。ここまで、恐怖をうえつけられるのもすごい。

 息子は、かなりのビビリやさんだ。ある程度節分というものを理解しだしてからは、節分の日になると体調を崩すようになった。朝起きると、お腹が痛くなったり、頭が痛くなったり、気分が悪くなったりするのだ。節分の鬼が来ない、小学生になってからも3年生くらいまで節分の日の体調不良は続いた。2月3日に息子が具合の悪そうな顔をして起きてくると、
(また、節分が来たか…。)
と、感慨深くもあった。

 一度だけ(小学2年生の時だった)息子が日付を間違えて、1日早く節分の体調不良を起こした時は、心の中では大笑いしてしまった。そんな息子も今ではすっかり、鬼のことよりも恵方巻きを楽しみにするようになった。成長したな、と思う。


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