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【音楽⑥】林檎嬢は最近の曲になるほどもっと好き

椎名林檎。
私の世代の女性は皆憧れたと思う。

エロい歌詞。妖艶な見た目と声。
カッコいい音。

数年前、ベストアルバムを出した。
ベストアルバムは売れっ子アーティストが大体通る道だと思うが、林檎嬢は不思議なことを言っていた。

過去の音は恥ずかしいからあんまり聴いて欲しくはない。
王様のブランチ?

え?なんで?
あんなに売れたのに?

『歌舞伎町の女王』も、『ギプス』も、『丸の内サディスティック』も、『ここでキスして』も、『群青日和』も、全部好きなのに。

アーティストの曲は、割と初期作が好きな傾向にあったので、林檎嬢も、昔の曲いいのに、と思っていた。

そういえば、近年の曲を聴いたことがないな、と思って聴いてみた。


ビックリした。

音が多彩で、ドラマティックに展開していた。
J-POPというよりは、ブロードウェイミュージカルを見聞きしている感覚だ。

林檎節のような、一発で椎名林檎だとわかる芯に、J-POPではあまり使われないオーケストラ、ビッグバンド、シャンソン、ジャズなどの要素がふんだんに使われて、編曲に拘っているのがよくわかった。

そして何よりも、歌詞がものすごく変わっていた。
椎名林檎さんの生き様がそこには描かれていた。

こんな時代じゃ手間隙かけようがかけなかろうが終いには一緒くた
きっと違いのわかる人はいます そう信じて丁寧にこさえてましょ
人生は夢だらけ
借り物の命がひとつ 厚かましく使い込んで返せ
獣ゆく細道

当たり前だが、自分が歳をとるにつれて、林檎嬢も歳をとる。いつまでもエロかっこいい姉貴ではなく、もちろん林檎嬢も人間として成長する。

最近の曲は、林檎嬢の人生観が出ていた。
そして、とても勉強をして、力強く後悔しないように全力で生きる人なのだと、音楽とパフォーマンスとで、体現していた。

今も昔の曲も好きだし、今の曲も好きでどっちも聴く。

でも、人は成長するし、価値観も変わるし、歳をとる。変わりながら成長しながら、成長した姿でスターとしてアップデートを続けてトップを走り続ける姿に感銘を受けた。

私は、今の林檎嬢が、前よりももっと好きだ。

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