昔好きだった人をググれば
皆さんは、大昔の恋人だか好きな人のことをググって今どうしてるのか調べることがあるのだろうか?
不毛だとわかっているけれど、色んな過去に繋がりのあった人を、ふと思い出してはググってしまう。
少なくとも、私はそういう人間だ、悲しいけど、それが現実だ。けっして取り繕わない。白状する。
これは、小学校5年生だか6年生だかくらいにおける、『好きだった人』の話である。
ここでいう『好き』がどういうものかと言うと、
・何となく佇まいがお猿さんぽくて、友達から『猿』と呼ばれている。
・小学生男子なのに野球でもサッカーでもなくてバレーボールチームに入っている。
・お父さんが高齢で、音楽の先生が「お父さんが歳をとっているなら〇〇君が早く大きくなって支えてあげればいいのよ」と涙ぐんでいたのがエモい。
私の父もあまり若くなかったから。
・私が初めて学校で眼鏡を掛けたら、ものすごく興味を持ってくれた。
・そして、ズリ落ちた眼鏡を上にあげると、
「うわぁ」と言ってくれた。
こんな感じである。
え?それって好きだったのかって?
難しいこと聞くなぁ。
そんな難しいこと、私にはよくわかんないや。
あと、恋人じゃなくね?
うん、まぁ、細かいことは気にするな。
さて。
時は流れて、何かの拍子にこの彼のことをふと思い出した。
地元を離れて、もう小学校時代の同級生のことを思い出すこともほぼないのだけれど、この彼のことを何となく調べてみたくなったのだ。
何でだろうね。
この、玉手箱を開けるような、ワクワク感。
私の頭の中では、彼は小学生の状態で止まっている。
あの時の私が、ちょっと良さげだと思った子供が、その先にどんな大人になっているのか、小学生の私の答え合わせをしてみたくなったのだ。
なにせ田舎だから、いまだに地元に留まって、同級生とでも結婚している可能性が高いとは思う。
そうだとしたら、最近はFacebookだのTwitter(現X)だのInstagramだのあるから、いくら田舎でも、何かしらで引っかかってくる可能性もある。
もちろん、全然見つけられない可能性もある。
でも、地元で聞いて回るほどには、残念ながら
その彼に興味はない。
そして、なんと、見つかった。
彼は現在、沖縄で、マリンアクティビティのインストラクターをやっているらしかった。
しかも、驚くほど、詳細な本人のプロフィールが見つかった。
同姓同名の別人ではないらしいことが確認できるほどだった。
お子さんが沢山いらっしゃる良き(?)お父さん。
英語もなかなか得意らしい。
眼鏡も掛けていて、顔を見ても全然ピンとこなかったけど、あぁ、素敵な大人になっていそうでちょっと嬉しかった。安心した。
……まぁ、うちの夫にはもちろん敵わないけどね、
と心の中で付け加えた。
そりゃそうだ。
私自身の、彼と出会うまでの人生と、その後の長い人生が等価なわけがない。
彼の行方が知れない後に、私自身がめちゃくちゃ進化して、私の価値観だって当然大幅にアップデートされたのだ。
アップデートした私の価値観で選んだ人の方が、はるかに良くて当たり前。
だから、これは、私自身の玉手箱を開けることでもあり、私自身がちゃんといい人生を送って来れたかの確認でもあるのだ。
……という、よくわからない記憶の掘り起こしをして、自分のしていることの気持ち悪さにただただ興醒めする。
そうか、これが蛙化現象ってやつか。
またひとつ、賢くなったわね。
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