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一級建築士体験記

もうこんなに大変な試験を受けることは無い気がするので備忘録として留めておきたいと思います。(日記を公開するのは初めてなので読みづらいかもしれないですがご了承を…)

まず私の試験歴から
令和元年 二級建築士ストレート合格(独学)
令和3年 一級建築士学科不合格 86点
令和4年 一級建築士学科合格  107点
     製図不合格      ランクⅣ
令和5年 一級建築士製図合格  ランクI

二級建築士を学生の時に独学で取得して、翌々年に一級建築士の試験に初受験しました。
一級では予備校に通い、学科と製図一回ずつ落ちましたがなんとか3年間で取ることができました。

それでは一年ずつ振り返ってみようと思います。

1年目(学科試験1回目)

学生最後の秋くらいから予備校に通い始め、社会人半年目に受験しましたが、総合得点が一点足らずに不合格となりました。

とにかく覚えることが膨大な為、過去問をひたすらやって傾向や答えを覚えていくというスタイルで勉強を行なっていました。結果、模試や各単元毎に行うテストではそれなりに良い点数を取ることができていましたし、私が通っていた教室では前回やったテストの成績が良い人から後ろの席に座っていくスタイルでしたので、割といつも後ろの方にいたと思います。
そんなこんなで最後まで自分のベストを尽くしはしましたが、結果は残念に終わってしまいました。

敗因は自分ではよく分かっていて、それは記憶型の勉強スタイルにあったと思っています。
記憶型の勉強スタイルと私が(勝手に)呼んでいるのは、「文字通りのことしか覚えない。それ以外のケースを想定できていない勉強スタイル」です。

何故この勉強方法が良くなかったかと言うと、「基礎しか入ってない、想定外の応用問題に対応しきれない」から!!!
社会人半年目の私はとりあえず覚えることに徹するのが精一杯で、なんでそれがこの質問の答えになるのかと言うことまで深く理由づけして覚えていませんでした。
単純に5科目の暗記ゲームをしていたといえばわかりやすいでしょうか。
今までなんでこんなに単純なことも分からずに間違った勉強法でやってたんだろうって思い返すと後悔しかありません…

しかしこの結果で良かったなと思っています。他の社会人歴の長い人たちに比べて圧倒的に知識不足(特に現場について)だというのは認識していましたし、このまま合格したとしても資格をただ持っているだけの人になってしまわないか、ちゃんと胸を張って「一級建築士です」と言えないなと思っていたからです。

私が通っていた予備校で出した合格基準点では私の総合得点がギリギリ合格基準点に載っていたので、そのまま不安(多分落ちてるだろうな〜と言う気持ちを抱えたまま)ながら製図の授業にも参加していました。
その年に製図を受けることはできませんが、これは後々製図試験を受ける時に他の人とは大きなアドバンテージになったと思います。(結果として製図分の受講料は返ってきたし今思えばラッキー🤞とさえ思ってます)


2年目(学科試験2回目)

これはもう去年の反省点を活かして、教科書の備考欄みたいなとこに書いてあるのもしっかり何通りも読み込みしたのと、模試やテストで少しでも分からないところがあれば調べたり講師に聞くと言うことを徹底しました。逆に言えば、前年度よりも過去問は解いていないかもしれませんが、107点で無事合格することができました。

少し話は横にそれますが
学科2年目の私は、疑問点があっても、去年も聞いてるのにこんなこともわからないのかと思われるのが恥ずかしくて(考えすぎは良く無い)、人に聞く前に自分で調べて、どうしても分からなければ最終手段として講師に聞くという考えでした。
ですが、教室の前の方にいつも座っている私と同じく学科2年目の人が何でもかんでも何回でも講師の人に疑問をぶつける人で、それを見ていると私の羞恥心なんてどうでも良いなって思えてきて、ちゃんと質問するようになりました。(単純すぎるところが私の良いところです)
よく考えてみたら、誰かが教室で質問してくれると、分かっているところでも復習できるし、ちょっと曖昧なところだったら大変助かるし、生徒が質問してくるから講師も勉強してくるしウィンウィンウィンな関係ですよね。講師の皆さんほんとうにありがとうございました。


2年目(製図試験1回目)

今回は自己採点100点越えだったので、特に学科の合否に不安はなく製図試験に進むことができました。
前年度一応半分以上製図の授業にも参加していたので、他の製図初年度の人よりも描くスピードなどは早く良いペースでできていた思います。
当たり前ですが、描くスピードが上がれば同じ自習時間でも他の人よりもっと有意義に使えますので、早く描けるようになるに越したことはありません。
この試験ではいかに綺麗に書けるようになるか、いかにエスキスがうまくできるようになるかよりもまず優先順位が高いのがどれだけ早い段階で早く描けるようになるかだと思ってます。
製図勉強始まってから、予備校では脅しのように目安としてお盆までには3時間切れるように(目標は2時間半)と言われますが、本当に製図試験は時間との勝負ですので、これは講師の言うことを大人しく聞いておくのが懸命な判断だと思います。
わたしもペンだこはできましたし、手首はサポーターと友達になりましたし、肩もバキバキになりましたがなんとかこの試練は乗り越えました。

試験当日は割とリラックスして時間的にも余裕で解けたと思い、復元図を講師に見てもらって、同じ教室の他の人の復元部も見せてもらって私のが1番良いプランだねっていわれ、ランクI判定だったのですが、結果は不合格でランクⅣでした。

ランクⅣのわけ
これはおそらく階段の蹴上がバリアフリーに適合していなかったからだと推測しています。
この年から(?)バリアフリーが強く問題文で言われるようになり、とくに重要視させなくてはならない点だったのに、見落としていました。
普段予備校では階高4000でやることが多く、階段数もそれで覚えていたのですが、当日階高を4500に自ら設定し、階段を普段通り書いてしまいました。あ〜今考えてもおバカすぎる。
階高変えれば、段数変わるの常識でしょうが!!
そんな当たり前のことも当日集中しているとポッと抜けてしまったりするんですよね。恐ろしい試験だわ。
だからこそ、習慣が大切なんですよね。
いかに普段通りやるか。普段と違うところがあれば慎重にやると心がけることが本当に大切な試験だと思います。
やむなく撃沈、、、
学生時代の友人何名かがストレートで合格しているのをSNSで確認し、泣き狂いました…
今思い返しても本当に辛かったです。


ここで突如の道具紹介

①シャー芯・シャーペン

図面は濃い方が正義だと私は思っていましたので、基本的に2Bの0.5の軽めの製図用シャーペンを使用していました。筆圧ある人(私)は柱を描く時にポキポキ芯を折ってしまうので、そこだけ0.7で描くことをお勧めします!!
(余談ですが、二級製図の時は0.3、0.5、0.7と3本駆使していたのですが、一級製図ではタイムロスかなと思います。)
あとこれは個人的にですが、シャーペンは軽い方が良いですね。形から気合い入れていくタイプなので、有名なちょっとお高めのシャーペンを購入しましたけど、重たくて最終的には補欠に降格となったので…
ちなみに私は5社ぐらいのを買って試したりしてましたけど、結局気に入ったのしか使わないので、気に入ったのが見つかったらそれを一途に使い続ける方がお財布的におすすめです!
あと、シャー芯は汚れにくい『uni(ユニ)』を好んで使用してました。2ヶ月で3個くらいは消費したかな〜
汚れにくいとメーカーが謳っているだけあって、心なしか図面がいつもより綺麗に描けていた気がして。製図試験勉強したことある人ならわかると思いますが、マジで手が汚れますし、製図版や定規との摩擦ですぐに紙が汚れてしまうので、これは個人的に革命的でした。

②平行定規

MUTOHの並行定規を使用していました。これを選んだ理由は特になく、学校で少し安く購入できたからなんですが、個人的には使いやすかったと思います。およそ10年間所持しており、学校の授業+二級+一級の製図試験を乗り越えてくれたので壊れにくい気もします。
あと、予備校に向かう道中を歩いていたら後ろから「その製図版どこの?」と聞かれたこともあるので、見る人が見ると良いやつなのかもしれません笑
(その人は自転車で通っていたらしく、MUTOHのキャリングケースが肩掛けできるタイプなのが魅力的だったようです。)

③消しゴム

これは言わずと知れた老舗文房具メーカーのトンボ鉛筆の『モノ消しゴム』を愛用していました。
なんか学生時代から慣れ親しんできているので勉強といったらコレ感がありますし、単純に消しやすい為、迷わずに最後までこれを使い続けましたね。
あと、字消し版を紛失してしまった為、細かい文字を消すためにスティックタイプの消しゴムも使用してました。こちらもトンボ鉛筆の『MONO ZERO』という商品を使用していました。先端が丸型と角形の2タイプ販売していて、両方購入したんですが、丸型は折れやすい気がして、角形を愛用してました。
こちらも本番までに2回ぐらいレフィル購入しました。(消しゴム使いすぎ)

試験前日に講師の人が現役時代当日5個消しゴム持っていったと言っていて、流石にやりすぎ〜と心の中で思っていたのですが、念のため『MONO消しゴム まとめ買いパック 5コパック』を購入して当日挑んだのですが、これは正解でした。
私の受けた受験会場は机が小さく、今年から文房具をまとめるケースも持ち込みを禁じられた為、当日消しゴムが落ちる落ちる(よく考えると縁起悪すぎ)
結果的に5コ全て使いました笑
私は人一倍普段から消しゴムをはじめとした道具を机から落としがちだったので、そう言う人にはマジでおすすめ。騙されたと思って5コ持っていってください。
試験官が取りに来てくれるまでそわそわ待つ心配もありませんし、「ふんっ。私には5個も消しゴムがあるわ」と余裕の顔をすることができます。意外とみんな神経質になっているので、こんな余裕でもあるだけマシなのです。

④ストップウォッチ

初期は100均の首からかけるよくあるストップウォッチを使用していたのですが、「ピッ」って音が意外とうるさいんですよね。試験中これは良く無いよな〜と思い、周りの即受験者たちをみてみると音が出ない時計のような形のストップウォッチを使用していたので真似させてもらいました。
私が愛用したのは、Canonのクロック&タイマー『CT-50』です。
これは、普通の時計、タイマー、カウントアップまでついている優れもの。試験時間の6時間半のうちあと何分猶予があるかを一目で見られて、マナーモードにも設定できるので、製図試験のために作られたかのようなタイマーとなっています。たまたま寄った電化製品屋さんにこう言う類のものがこれしか無かったので購入に至ったのですが、最高でした。ありがとうCanon。

⑤カラーマーカー

これは学科試験の法令集のマーカー引く時からお世話になっていたZEBRAの『MILD LINER』のピンク、イエロー、オレンジ、グリーン、ブルー、グレーを使用してました。
(他の色も持ってたけど、スタメンはこの子達でした)
ピンクイエローオレンジは課題分のマーカー引きに、グリーンとブルーはエスキス1/400時に、植栽と開口部に使用していました。

グレーは意外と優れもので、忘れがちなエスキスの庇や屋根を塗ったり、課題分の段入りの部分に線を引いたりとか、あまり色んな色使いすぎても目がチカチカするので、主張が強すぎないけど目立つグレーは多様してました。

エスキス平面がなかなかまとまらなく断面を描く余裕があまり無い時に時間短縮として使っていたのは、マーカーの太い面で大梁とスラブ、細い面で小梁を描くという技です。(みんなやってるのかもしれないけど…)

逆にエスキス早く終わった時は、確認がてら防、特マークにオレンジでマークしたりしてました。

マーカー類も試験までに2、3本消費しましたね。特に課題分に使うピンクオレンジはよくなくなりました。何本かストックしておくと良いかもです。
あと、これは私は使ってないので自信を持ってお勧めはできないのですが、ノックタイプのマーカーを使っている人は賢いな〜と思ってみてました。蓋を閉めたり開けたりする手間も省けるし、時短になりますからね。

⑥三角定規

ステッドラーのものを使っていました。
45度と60度のセットのタイプを所持していたのですが、学生時代に45度の方を紛失しまして、60度の方のみで挑みましたが全く問題ありませんでした。
私は筆圧が強く、シャー芯が粉飛びして、定規と紙との摩擦で紙が汚れてしまうのが悩みだったのですが、ウチダ製図器『フローティングディスク』というものを三角定規につけてから少し汚れが軽減された気もするので、気になる方はおすすめです。私はAmazonで買いました。
(慣れないと、紙に引っかかってストレスになることもあるので、合う合わないはあると思います…)

ちなみに、普通の大きさの三角定規だと、通り芯描く時など縦線が一気に引けないので、タイパ的に大きい三角定規が良いよと聞き購入してみたのですが、私にはあまり効果を感じられず、数回使ってバイバイでした。

⑦電卓

特にこだわりはなかったのですが関数電卓しか持っていなかった為、CASIO『MW-C20C』を購入しました。強いて言うなら、ボタンの押しやすさ、=の場所が決めてでこれを選びました。
計算式が表示されるタイプの電卓を使用している人も多くいまして、私もそれが良かったなと思った時もありましたが、なんだかんだこの電卓も使いやすかったのでヨシとします。

⑧ドラフティングテープ

大量に使う為、大容量のものをと思い、Scotchの18mm×30mのドラフティングテープを購入しました。
粘着力は強く、作図途中にずれたりすることはありませんでした。それ故に剥がす時に紙まで剥がれちゃったりすることもしばしばありましたが、優しく剥がせば大丈夫です。
デメリットを挙げるとすれば、テープカッターのところが壊れやすいところですかね。私も壊れましたし、同じ教室の人も壊れていました。(データが2人なので、統計としての精度が低すぎですが笑)

⑨三角スケール

これも特にこだわりはないですがステッドラーの30センチタイプを使用していました。
小さいものがあった方が良いかなと思い、15センチくらいのステッドラーのものも使ったりしてみましたが、あまり使う場面がなかったです。

10 テンプレート

これは私の通っていた予備校とステッドラーのコラボ?のものを購入して使っていました。
他のを使ったことがないので比べようがないですが、使いやすかったように思います。
テンプレートの部分はもちろんですが、サイドに1/200、1/400などでのメモリがついていて、エスキスの時に重宝しました。
ちなみに家で自習中に落下させ、椅子で踏んでしまい一つ破損させているので、2個買いました。

11 その他の道具たち


・勾配定規:ステッドラー
・コンパス:ノーブランド
・ボールペン:ジェットストリーム&フリクション
・刷毛:ステッドラー

こう見るといろんなものを試行錯誤して使っているし、意外と自分なりにこだわり持って使っていたんだな〜と知れて面白いですね。
まさか消しゴム1つでこんなに自分が語れるとは思っていなかったです笑
それくらい全てに真剣で満身創痍みなさんやって挑む試験なんですよね。

それでは、試験の話に戻しましょう。


製図二年目の葛藤

まず、去年製図試験の合否がわかってすぐに、次の年どうするかの話し合いをしに通っていた予備校に呼ばれます…
気持ちの整理もつかないままに来年まず受験するか、受けるとしたら予備校は変えないままなのか、どのコースにするかなどの話をされ、二年目の人は基本長期コースに通う人が多いと言う話をされましたが、私の中で長期に通う気はさらさらなかったので短期にしました。
私の担当さんはわりと良心的な人で無理に長期を勧めてきたりはしない方でよかったです。

私が長期コースにしなかった理由

①金銭面
長期コースは約100万、短期は約60万(中期というのもありましたが値段は忘れました)
貯金的には長期コースが払えない訳ではなかったのですが、長い目で見て100万払うメリットがあるのかという問いに自分はYESと思えなかったから
なんだか本当によくわからないし良くないと思うんですけど、普段わりと倹約家なはずなのに予備校にいると金銭感覚がわからなくなっちゃうんですよね笑
なので60万じゃ安いか〜と思って一括で払いましたけど、今思えば全然安くないじゃないか。
あとこれは本当に良くないと思うんですけど、年内に次のコースの金額振り込んでくれって言われるんですよね。傷心中かつ年末の忙しい時に言われるもんだからちょっとムカッとしてしまったりもしましたハハッ

②年齢面
これは本当に甘いことを言っていると思うんですけど、正直学科受かって製図やって約2年間必死にやってきたのにまた1年駆け抜けられる自信がなかった。それなら体力温存して、短期集中でやった方が自分のタイプ的に力を発揮できると思ったからです。
(あと、二十代前半の貴重な時期なので少し遊びたいと思った為(超小声))

③課題面
正直言って、学科試験日の一週前(?)とかまで課題が発表されないので、闇雲にやって意味があるのかと思ったため。
私は要領が悪いタイプなので、色んな課題をやることで知識は深まるし、短期よりもいろんな問に対応できるという点では良いことはあると思うけど、それよりも全然吸収できずにこなすだけになってしまいそうという懸念があった。

④体力的
前年度で2ヶ月間ずっとやってかなり体力を削られた感覚があって、この生活を2ヶ月以上やるって物理的にお化けだと思ったため。
体力だけじゃなくて、心もすり減りそうで、少し何もしない時も設けることが大切だと

そうして自分的には心を決めたわけですが、念のため製図2年目で合格した友人に何コースで合格したのか聞いてみたところ「長期にした。悩んだけど長期でよかった」と返答があり、またゆらゆら揺れてしまったけど、やはりここは自分を信じて短期にしました。


3年目(製図試験2回目)

今年の課題は「図書館」
集合住宅→事務所ビルと基準階タイプが続いていたので、今年は低層タイプだと予想されていましたが正解でしたね。

結果的に程よい難易度だった気がします。
例年あまり緊張していなかった私ですが今回の試験は本当に緊張していて、前日眠れなかったし、当日も朝から緊張からか胃液が逆流して本当に気持ち悪くなりましたし、試験開始までにトイレ3回くらい行きました笑

まず名前を書いて、読み取りエスキスで割と順調に進みました。
今年、去年もそう感じましたが、本番は予備校でやっている課題よりもものすごく自由度が高い内容ですよね。
去年は階数、階高の指定なし
今年は階高、最低限の室しか指定されておらず必要な諸室(管理系など)は自分で計画しなさいという感じ

より実務に近い感じを目指しているのでしょうか。縛りが少ない分正解の数が多いし、どこまで配慮したら良いのか受験者は迷ったと思います。かくいう私もすごく迷いました。というか、縛りが少ないから一見簡単に見えて、プランニングも難しくないし、早くエスキスもまとまってしまい、本当にこれで良いのか。何か見落としているんじゃないかという不安感がずっと拭えないままの試験でした。
要点も一問だけ屋上設備スペースの部分だけ最適解が分からず不安でしたが、熱量を感じ取ってもらう為最後の行までびっちりかけましたのでとくに不安もなく。
作図もエスキス通りに進みいつもと同じペース(むしろ早いくらい)。作図も大体終わり、1時間ほど余裕を持って描き終えることができ、これはいけたんじゃない?と自分の中で少し気持ちが落ち着けてきた頃、最終チェックに入ってある特大ミスに気がつく私。
今まで聴いたことないくらいの心臓の音。落ち着いてもう一回課題を読む。やっぱり忘れていた。その名も、「北側斜線」

あ〜やっちまった。北側へりあき2mで高天井部分公園向きのが良いだろうな〜と思って安易に北側に思いっきり持ってきてしまった。終わりだという気持ちが横切った。でもそこで終われないのが諦めの悪い女こと私。
悪あがきで、高天井部分をワングリッド南へ寄せる。 
面積は大丈夫だし、高さもこれで大丈夫だと思ったらこれでも北斜回避できていない。

こうなったら強行突破。(※安易に真似しないでください)
今から消して描き直すことは到底無理なので、元々答案用紙に書かれていた敷地を各階1m北側にずらす。これで北斜は回避できた。
しかし、採点者にこれだとアピールが足りなくて、ヘリアキ足りてないと思われてしまうと思いやったことは下記の通り。
①敷地境界線の線をこれでもかというくらい太く描く。
②紙の真ん中に大きく※で「敷地境界線はあらかじめ描かれていたものより北に1mずらしたものを正とする。」と記述。
③元々の境界線に罰を描く。

ここで思い出す去年の記憶。
階高を変えて階段の段数をそのままにしていたこと。
敷地境界線がかわったら変わること、延焼ラインの位置。防火設備の有無。ヘリアキ寸法の長さ。断面図の斜線の位置。3平面、1断面それぞれ何度も見返す。
ここまで変更で30分以上。
その後もちょこちょこ間違いに気がついたり、加筆したり、最後の最後までチェックをしていました。試験官から残り何分ですの声かけ。はぁ、やっと終わると思って断面図を見たら室名のミスに気がつく。また心臓が破裂しそうな感じ。残り1分くらいで書き直してギリギリ間に合った。
こんなにドクドクバクバクすることはもう無い気がする。もうこんな試験やりたくないと率直に思ったし。やっぱり早く終わる試験には罠があるし、最中チェックはマジでマジでマジで大切だということを知った試験でした。
この試験に向き合うまでは自分がこんなにミスをしでかす人間だと思っていなかったけど、意外と人間って追い詰められてるとポロッとやらかすし、何回チェックしても漏れはあるということを知れたという意味では大変有意義というか、今後につながる良い機会になったと思います。

今思い出してもドクドクしてしまう。
結果合格をすることができたけど、こんな感じだったから結果発表の日まで本当に試験のこと忘れたくて、友達や会社の人に聞かれても、「どうでしょうね〜いや〜わからないですねえ」としか言えなかった。忘れたくても忘れられなかったけどね…

あの最終チェックがなければ、法規違反で完全にランクⅣだったと思うし、本当にチェックは大切です皆さん!!これだけは自信をもって言えます!!

合否当日、10時くらいからだと思うけど、サーバー集中するから少し遅れてみようと思っていた時、本社から「試験結果確認して至急連絡してください」との電話。ハァ心をキメるしかないか〜〜
意外とスルスル見られるやないか!もっとサーバー集中しててくれよ。こういう時は心の準備的に少しヌルヌル動いて欲しいものだ。空気読め!!!と心の中で叫びながら、細目で自分の受験地のPDFをみる。
自分の受験番号とよく似た数字の羅列がある。一瞬喜んだがよく見たらこれではない。少し下にスクロール、「!!!!!」
ある気がする…試験中にも認識した通り私はミスをする女だから、自分のことが信用できない。10回くらい見直してある気がするけど、いまいち確証が持てない。仕事中に申し訳ないけど、隣の席の人に一緒に確認してもらう。やっぱりあるみたい。涙は出なかったけど、しばらく足は震えてた。
LINEで家族に報告。そしたらまだ連絡していなかったのに祖母からおめでとうの連絡。家に帰って母に聞いたら、「昨日会った時に、昨日が発表日だと思ってソワソワしてたから教えてあげたの」と。祖母は私が高校受験の時も私よりも合否をソワソワして待ってくれていたし、本当にありがたいなと感じそこでようやく涙が出てきた。本当に自分よく頑張ったし、周りのみんなにもたくさん助けてもらったな。ありがとう。

めちゃくちゃ長くなってしまった。
想像以上に自分の全てを注いでいた時間だったんだろうな。良くも悪くもまだまだ話しきれていない気がする。
こんなところまで読んでくれる人はいないかもしれないけど、読んでくれた人ありがとう。
そしてこれを読んでくれたということは、建築士に合格された方なのか、受けようとしている方なのかなと想像するけど、既受験の皆さんは本当によくこんな試験を乗り越えたよとあっぱれを贈りたいし、受験生の皆さんには本当に頑張って欲しい。心から応援しています。

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