副業・兼業は本業に余裕があってこそ。余裕の生み出し方を考える

2018年9月18日付の時事通信社の記事によると、厚生労働省所管の独立行政法人、労働政策研究・研修機構が行った副業・兼業に関する調査で、75.8%の企業が副業・兼業を許可する予定はないと回答し、そのうちの82.7%が許可しない理由として「過重労働で本業に支障を来す」ことを挙げています。この考え方は経営側のみのものではなく、労働者のうち、兼業・副業を「新しく始めたい」と回答した割合は23.2%に留まり、「機会・時間を増やしたい」という回答の13.8%を加えても半数にも満たない一方で、56.1%が副業・兼業を「するつもりはない」と回答し、その理由としてその61.6%が前掲の「過重労働で本業に支障を来たす」ことを挙げています。また、10月12日に発表された株式会社リクルートキャリアによる「兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)」の結果でも、2017年に実施された前回調査より5.9ポイント下がったとはいえ、71.2%の企業が副業・兼業を禁止しており、禁止する理由のトップは「社員の長時間労働・過重労働を助長するため」でした。

見えてくる「余裕」のない現状

この調査結果から見えてくることは、多くの会社では余裕を持って業務を回せるだけの人的リソースが確保出来ていない、という「余裕のなさ」です。そもそも人的リソース、つまり人手が足りていないのですから、従業員に副業・兼業を行うために現在勤務している会社での労働時間を減らされては、経営側としては困ります。となると、従業員が副業・兼業で労働する時間は、現状の労働時間とは別に加算するよう、お願いするしかないということになりますから、企業としては「副業・兼業 = 過重労働」という心配をせざるをえない、というのが実情でしょう。従業員側から考えても、「今の労働時間状況では、とても副兼・兼業をする時間的余裕はない」という考えを持つ方々が過半数を占めている、ということだと思われます。

制度の恩恵を受けるのは一部の企業と従業員

前述の事情を勘案すると、残念ながら厚生労働省が提示しているモデル就業規則のように、「基本的には副業・兼業を認める」という制度改革を行ったとしても、その恩恵は、現在人的リソースに余裕があるか、もしくはその気になれば余裕を持たせることが出来る一部の企業、例えば体力のある大手企業や成長分野でブレイクしたいわゆる「勝ち組」企業とその従業員にのみもたらされる、という結果になるのではないでしょうか? そうだとすると、そのような一部企業の魅力が増すことにより、その他企業は人的リソースの確保がさらに難しくなり、ますます業務の余裕がなくなるという悪循環を招くのでは、という懸念があります。すなわち、この施策は「働き方改革」の名を冠しつつ、「中小企業の淘汰」に寄与する危険性があるということです。

具体的な「余裕」の生み出し方、その提言は?

「中小企業の淘汰」ではなく、「働き方改革」の一環として副業・兼業という働き方を日本の企業に根付かせたいのだとすれば、「余裕がなくて副業・兼業どころではない」という企業の従業員が、どうしたら副業・兼業に目を向ける余裕を持つことが出来るか、という課題を解決する「具体策」を併せて提示することが厚生労働省、および政府の責務であると思います。是非とも、今現在人的リソース不足であっぷあっぷしている多くの企業の従業員が「自分でも副業・兼業ができるかもしれない」と思えるようになる施策を、責任をもって提言して頂きたいものです。しかし、新たな外国人材受入れ制度の検討をはじめ、全体的な施策を行う動きはあるものの、個々の企業がとるべき具体的な方策に関しては各企業の自助努力任せとなっているのが現状のようです。

外部リソースの活用はいかがでしょうか?

中小企業の経営者の皆様も、このような問題に対する解決策として、漠然と、あるいは概念的に、「生産性を高めれば余裕が出るのでは?」「企業の価値・魅力を高めれば、余裕を持って業務を回せるほど十分な人員を採用できるのでは?」などとお考えのことと思います。しかし、それを実現するための具体案の策定は、日々の業務を行いながらではなかなか難しい、ということが現実かと思います。

 そのような時には一度、外部リソースの活用をご検討されてはいかがでしょうか?

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