目でみる臨床推論

理学療法士のこまつです!!新シリーズ開始!!


その名も


「目でみる臨床推論」


です!


臨床推論、クリニカルリーズニングについては多くの書籍がありますので、詳しく知りたい方は書籍を買ってくださいね!また紹介できればと思います。


このnoteでは、こまつの経験をもとに思うように書いていこうと思いますので、間違いなどありましたら教えてくださると嬉しいです。


要は、

毎日の臨床で、患者さんをより良い方向へ導くためには、

何を見て、どう考えていったら良いの?


なんてゆう素朴な疑問ながら、若いセラピストさんがぶつかるであろう壁を少しで越えて欲しいな、と思いスタートしました!!!


さらに、頭の中で悶々と考えてもなかなか上手くいかない…

というセラピストさん向けに、

図解

という方法を使うと、少し自分の頭の中の悶々を整理できますよ!!


という感じです。


あくまでいちセラピストとしての臨床推論の考え方の参考となれば幸いです!


ではでは初めていきましょう!


1.「目でみる臨床推論」のターゲット

まず、このnoteのターゲット=読んでほしい人は、

評価〜介入の選択肢を増やしたい人!

です。


みなさんが臨床で患者さんと向き合う時に、無意識に

・自分なりの評価で

・自分なりの解釈で

・自分なりの介入で

やっていると思います。自分の知識や解釈の幅の中でしか、患者さんをみたり、出てきた現象を解釈することしかできませんので。


無意識に効率よくやっているんですね。


ただそれはあくまで自分の中で効率が良いのであって、その選択肢が患者さんにとって良いか悪いかは別ものだったりします。


同じような状況があった場合、毎回同じように解釈した方が楽ですもんね。


・膝折れ=大腿四頭筋が弱い

・お尻が引ける=大臀筋が弱い


みたいに。


こうゆう場合はこう!!ってしてしまったほが、楽ですもんね。


さらには提示する課題も同じ方が楽になっていたりします。


・大腿四頭筋=座位で膝を伸ばす

・大臀筋=ブリッジ動作


のように。


それで患者さんが良い方向に向かっている時には良いんです。でも多くの場合そんな思い通りに進まないんじゃないでしょうか?


でもあなたの中で、


膝折れ=大腿四頭筋弱い

→大腿四頭筋を鍛える=座位で膝を伸ばす


と決めつけていれば、他の可能性を考えつくことはありません。

それで変化がなければ、患者さんの反応が悪いんだ、と思ってはいないでしょうか?


一つ一つの姿勢や動作、関節運動は見た目は似ていても、患者さんごとにその理由は異なります。


ということは同じ現象であっても、対応方法はもちろん変わる!!!ということですね。


その違いを見つけるために臨床推論があります。


2.臨床推論の目的

はい臨床推論の目的です!!

簡略化しますと上図のような感じになります。

では1つずつ説明していきますね。


①患者さんの訴えや症状は何か?

「歩きたい」「膝が痛い」「孫と遊びたい」など様々ですね。

ここで大切なのは、


患者さんの望みは何なのか?


です。


例えば脳卒中の方で、「一人で歩きたい」という方がいたとします。

この患者さんの「歩きたい」にはどんな思いが込められているでしょうか?

・装具は見た目的に使いたくない

・杖があると犬の散歩ができない

・装具・杖はあっても良いから速くあるけるようになりたい

・趣味だった山登りがしたい


など、様々な背景のもとに「歩きたい」という言葉が出ているのかもしれません。


その背景を踏まえて

「歩行の自立」のためにどんな要素が必要となるのか?を考えていく必要があります。


また自身での意思疎通が難しかったり、多くの場面で介護者の関わりが必要となる場合には、介護者負担の視点からも優先的に獲得すべきことは何なのか?を考える必要があります。


②患者さんの抱える問題の抽出

①において、患者さん(またはその方に関わる人)にとって、優先的に獲得すべき動作・活動などが決定したら、次に

なぜその動作・活動を円滑・安全に行うことが難しいのか?

つまりその動作・活動の遂行を阻害していること=問題は何なのか?

を考えていくことになります。


要は、

問題抽出

のプロセスといえます。



ここでは様々な評価の結果を踏まえて、

・身体機能や認知機能、患者さんの心理状態などが獲得すべき動作・活動にどう影響しているか?

・様々な評価結果のうち、どの要素が影響を強く与えているだろうか?

についての仮説を立てていく段階となります。


学生自体の症例レポートでは、ボトムアップ的に出てきた要素を、

#1  大腿四頭筋の筋力低下

#2  中臀筋の筋力低下

…………………

#20  大腿筋膜張筋の過緊張


などなど、とりあえず得られた情報を列挙していくかと思います。


ただ…上記のように20個の要素を列挙したとして、例えば介入時間が40分だとすると各要素2分となるわけですね。


でもその要素は、それぞれに影響しあっています。

その影響力の強い要素を見つけ出すことで、介入の効果は大きくなるはずですよね。ボトムアップであれば評価項目から、トップダウンであれば動作から得られた情報を元に、動作・活動により強く影響力を与えている要素は何かを見つけていくプロセスです。


ただ、この要素はセラピストが評価を解釈した「仮説」です。

仮説を検証し、仮説通りの変化をした場合に、その仮説が問題点となります。


臨床で患者さんがなかなか良い方向へと変化しない場合、もしかすると仮説を検証しないまま、問題点と決めつけ介入しているのかもしれません。

検証によって、複数の仮説を棄却し、一番可能性の高い仮説を問題点として、次のプロセスへと移ります。



③効率的・効果的な問題解決方法の選択

②で抽出された問題点に対して

実際の介入課題を決定していくプロセスになります。


例えば「大腿四頭筋が弱い」と評価された場合にも、

・どの場面で働いて欲しいのか

・強化したいのは、最大筋力なのか持久性なのか、収縮速度なのか

・OKCなのかCKCなのか

・臥位なのか座位なのか、立位なのか

など、どんな要素が弱いのか?を明確にし、その要素に対しての介入を考える必要があります。


そのためにはターゲットとなる動作において、その動作のどの部分(相)で失敗しているのか?を見つけることが大切です。


だからこそ、動作分析は重要なんですね。


では次に「動作」の位置付けを考えてみよう!!!


3.機能ー活動ー参加から考える臨床推論

リハビリテーションにおいて、セラピストは

機能

活動

参加

の側面、加えて個人・環境の要因をふまえて、患者さん像を考える必要があります。


そしてこの機能と活動をつなぐ部分あたるのが

動作

だと考えています。


上の図では

動作:できるADL

活動:しているADL


という位置付けになります。リハ場面で動作訓練を行なえたとしても、それが患者さんの日常生活で、行なっている(活動)か?が大切になります。


4.動作分析の重要性

そう考えると、動作分析の際にどのように動作を見て、考えたら良いでしょうか?

動作そのものができないor困難な場合

対象とする動作が行えない、または効率が悪かったり、安全性が低い場合、

「なぜできないのか?」

「その動作を遂行するために必要な機能的な要素は何か?」

を考えていく必要があります。

立ち上がりやリーチ、歩行などの動作は様々な要素が組み合わさって行われています。歩行であればIC→LR→MSt…と相の連続によって歩行が成り立っています。


さらに各相にはそれぞれ役割があります。そのため、ある相でエラーを起こすと次の相に影響を与えることになります。


また次の相の役割が不足している場合、前の相で逃避的なパターンを取る可能性があります。例えばMStで股関節中間位〜伸展位になることで倒れそうな感じがする場合、前のそうであるLRで股関節が伸展しないようお尻を引くか体幹を前傾し、股関節屈曲位で固定しようとします。


歩行では両脚の交互が交互に連動した動作であるため、歩行観察にてとある相にて正常パターンからの逸脱が見られた場合、


①その相の観察肢が果たすべき役割を果たせていない

②その相の前の相ですでにエラーが起こっている

③その相の次の相に不安や失敗を予期している

④その相の対側肢にエラーが起こっている


可能性があります。上の4つが仮説になるわけですね。

ではこの4つを検証するにはどうしたらいいでしょうか?


仮説①:その相の観察肢が果たすべき役割を果たせていない

→その相に必要な要素を評価する。

 不足した要素を補うことでその相の動きに変化が出るかを確認する。


仮説②:その相の前の相ですでにエラーが起こっている

→前の相に必要な要素を評価する。

 さらにもう一つの前の相を評価する。


仮説③:その相の次の相に不安や失敗を予期している

→次の相に必要な要素を評価する。


仮説④:その相の対側肢にエラーが起こっている

→対側肢の相に必要な要素を評価する。


一つの相が上手くいっていない場合にも、これだけの可能性が生まれてきます。

そして各相それぞれの役割を知らないと、(トップダウンの場合)その先の評価に進めません。


動作としては可能だが、日常生活では行われていない場合

訓練場面では可能になっても、患者さんが日常生活で自発的に行うとは限りません。


機能的には可能でも、

本人がまだ一人では不安であったり

毎回やるには疲労が強くて大変であったり

介助してもらった方が楽であったり安心であったり

家族が心配するから心配かけないようにしていたり

リハ室や病院で行なっているのと、家では環境が違う


など色々な理由で、やっていない、やれないことがあります。


動作の分析では、

動作が困難な場合には、「なぜできない?」…機能的な問題は何か?

動作ができるが活動(日常生活)につながっていない場合は、「なぜしないのか?」…心理的要因や環境要因が阻害していないか?


を考えていくことが大切になります。


今回は臨床推論の流れと、臨床推論における動作分析の位置付けについて書きました!


少しでもお役に立てば幸いです!



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