見出し画像

秋の彼岸

記憶のすみに置いといて出来るだけ触れないようにしてるんだけど、チョイチョイ顔を出してくる
思い出せば後悔と愛しさで涙が止まらなくなるから。
小さなシチュエーションでも思い出してしまう。
仲が良かったんだよな~
丁度、10年前になるかな…
兄貴と電話で話したのは
大人になってそれがリアルに声を聞いた最後だった。
丁度、実家に出戻って1年たった頃だった。
空白の年月は声を聞いた瞬間に埋められて
昔の兄妹の会話だった。
その数ヵ月後。
兄貴からメールが来て
視力を失ってしまうかもしれない、治療に専念するから
連絡なくても心配するな。
そんな内容だった
返信したんだけど、返事は返って来なかった
既にあの時、兄貴は見えなくなりながらも
私にメールをよこしたんだと…今になると思う。
それに既に病気にもなってたんだと…

自分の血を引いた甥っ子の話とか
沢山、聞きたかっただろう
私も嫁ぎ先での愚痴とか
たくさん聞いて欲しかった
そして子供の時みたいに
頭を撫でて『ガンバったな』ってして欲しかった
いつかは家族の輪が戻ると疑わなかった私と母。
最後の顔も見れず送り出すことも
父と同様に出来なかった。
だから未だに兄貴がもう手の届かない所に逝ってしまったと受け入れることが出来ない。
お盆、彼岸…
受け入れる事が怖くて墓参りにも行けない。
せめて、せめて。
もう一度、逢いたい。
逢ってたくさん話して…

逢いたいね…逢いたいよ

お兄ちゃん…

ごめんね、もう少し墓参りは勘弁してね。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?