「夜の森の遭遇」

ある夜、友人たちとキャンプに出かけた健一は、深夜にトイレに行くためにテントを抜け出した。周りは真っ暗で、懐中電灯の光だけが頼りだった。

森の中を進んでいくと、不思議な光が遠くから漏れてくるのが見えた。好奇心に駆られた健一は、光の源を探りに行くことにした。

光の源に近づくにつれて、夜の森に聞こえるはずのない不思議な音が聞こえてきた。やがて、健一はその光が巨大な樹の根元から発せられていることに気づいた。

その樹の根元には、小さな精霊のような姿をした存在が集まっていた。彼らは歌を歌い、踊っているようだった。健一は驚きと興味で見とれてしまった。

しかし、そのうちに精霊たちの中の一匹が健一に気づいた。突然、精霊たちの歌声や踊りが止み、彼らは健一を見つめ始めた。

「お前は何者だ？ 人間が私たちの儀式に立ち入ることは許されない。」

健一は緊張しながら、自分がキャンプに来ていて、偶然ここを見つけたことを話した。すると、精霊たちは警戒心を解いた様子で、健一に一つの提案をしてきた。

「人間には見られてはいけない儀式を目撃したお前には、このことを決して他言しないことを誓わせる。そして、私たちの秘密を守るために、お前の記憶から今夜のことを消す。」

健一は、彼らの要求を承諾し、精霊たちと誓約を交わした。すると、精霊たちは彼の額に触れ、健一の記憶から今夜の出来事を消し去った。

その後、健一は森の中で目が覚めた。彼は何が起こったのか覚えていなかったが、不思議な感覚に包まれていた。彼は懐中電灯を手に、キャンプ場へと戻った。

翌朝、健一は友人たちに夜の出来事を尋ねたが、誰も何も知らなかった。彼は不思議な夢を見たのかもしれないと思い、そのことを心にしまっておいた。

だが、その日以降、健一は夜の森に惹かれるようになり、夜になると不思議な音や光を求めて森を散策するようになった。彼は知らず知らずのうちに、夜の森と精霊たちの秘密を守る存在となっていた。