第五話：戦犯との取引

ヨハン・ヴォルフ、元ドイツ軍の中佐。彼の名は、大戦前からコ共の脅威を警告する声として知られていた。彼の警告は、時が経てば経つほど重要なものとして西側諸国に受け入れられた。しかし、現在、彼はこの町の外れの荒れ地に立つ戦犯収容所に囚われていた。彼の罪の重さは、彼が外の世界を再び見ることはないとされていた。

しかし、ヨハンは放置されることを望んでいなかった。彼はフランス政府に提案を持ちかけた。「コ共の弱体化は、内部からしかできない。私はその方法を知っている。情報と引き換えに私の自由を」と。

ミハイル外相の死後、仏コ関係は急激に冷え込んでいた。フランスの現政権の支持率は低下し続けていた。彼らにとって、ヨハンの提案は魅力的だった。彼の情報が偽であれば、彼を処分するだけのこと。フランス政府は提案を受け入れることに決めた。

ヨハンは四人の名前を明かした。それらはすべて、コ共の中枢に位置する者たちの名前だった。三人は既に亡くなっていたが、一人、タチアナは健在で、スイスにて外交官として活動していた。ジャンとイザベラはタチアナに接触。彼女が現政権との関係に不満を抱いていることを知る。

ジャンはフランス政府に報告し、彼らの指示のもと、タチアナを味方につけることに成功する。タチアナはコ共の上層部の腐敗を公にし、その情報を武器にフランス政府はコ共との交渉に臨んだ。最終的に、フランスは国際的な地位を回復することに成功した。

しかしこの戦犯との取引、その結果が次の火種となることは、ヨハン自身も想像していなかった。