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滝の荒ぶる神

私はなぜか滝に惹かれます。知らない土地をドライブしている時でも滝の案内板があれば、必ず立ち寄ってみるのです。

滝には必ず神様がいる、と昔から信じていました。しかも性格の荒々しい神様が。

今回は小学生のころ見た、滝の神様の怒りをご紹介します。

神庭の滝

岡山県真庭市に神庭の滝(かんばのたき)という、中国地方でも有数の大瀑布があります。
ここは野生のニホンザルがいることでも有名で、人がいても恐れずに近づいてきてエサをねだるのです。

野生だが人を怖がらない。たまに悪さをするらしい

この滝には古い恋伝説があります。
地元城主の姫君と青年僧が恋に落ち、身分の違いから添い遂げられないと悟った二人は滝に身を投じて心中を図ります。
しかし不思議な光が二人を包み、気が付くと柔らかな草の上に寝かされていて、その後夫婦となる物語です。

悲恋物語の昔話はよく聞きますが、こんなハッピーエンドな昔話もあるんですね。

家族のドライブ

私が小学校低学年の頃はビンボーで自家用車などは買えませんでしたが、高学年になってから、ようやく中古の軽自動車を購入しました。
車好きのオヤジは愛車を手に入れて嬉しくてたまりません。
さっそく一家でドライブをすることにしたのです。

行く先も分からないまま、家族4人で車に乗り込み南へ向かいます。母親が「どこに行くだかね?」と問うと「神庭の滝を見に行くぞ」意気揚々とオヤジが答えました。

神庭の滝は名前を聞いたことがありませんでしたが、車での遠出は楽しくて家族全員、ハイテンションで大はしゃぎでした。

滝つぼ

自宅から3時間ほどで神庭の滝の駐車場に到着。
そこら中にサルがいて、ほかの観光客からエサなどをもらっています。
その光景が面白くて、しばらく見物してから滝つぼへと向かいました。

これは神庭の滝ではなく、数日前に行った絹掛けの滝

高さ110メートルの滝はすごい迫力! 家族そろって呆然と眺めていましたが、ほかの観光客のオッサンがおもむろに靴を脱ぎ裸足になると、滝つぼのふちを歩いて、滝の水が水面にたたきつけられるすぐ真横まで歩いて行きました。

すぐ近くには「危険ですから近付かないでください」という看板があるのに、平然とした顔で滝をながめているのです。

滝の神様の怒り

オッサンの不遜な態度を見て、私も子供ながらに憤りを感じていましたが、オッサンを注意する勇気も小学生の私にはありません。

そのとき、私の口の中にイヤな味と匂いが広がり、ハッとしました。
この味と匂いは、何か危険が迫っている瞬間に感じる、私特有の警鐘なのです。(詳しくは、「運は偶然なのか」という記事をご参照ください)

次の瞬間ガラガラッという音とともにこぶし大のとがった岩が数個、滝の上から落ちてきました。
岩の一つはオッサンの足の甲を直撃し、ブワッと大量の血が流れだしたのです。

苦痛に顔をゆがめて動くことのできないオッサンを目撃し、周りの見物人は凍り付きました。

「滝の神様が怒っちょーなさーだ」と母親が言うと、周りの人たちも「神さんを怒らせ―もんだない(怒らせるものではない)」と相槌を打ちます。
私もこの意見に同感でした。

地元の人も「この滝で同じような目に遭った人は何人もいる、神様の怒りだ」と言っているのが聞こえました。

滝には神様がいる

どこの滝に行っても、私は神様の存在を感じる気がします。
大きくても小さくても、滝には神の力を感じるのです。

滝の神様は「お不動様」であると昔から言われていますが、どのような神様であろうと強い力を持った神様だと思われます。
強い力があるからこそ、私のようなポンコツ霊感の者でも異様なパワーを感じるのかもしれません。

大きな滝には必ず祀られている不動明王 絹掛けの滝よこの洞窟で撮影
いかにも神が宿る地域という感じがする「明地峠」 昨日撮影

これからも滝を見るたびにこの出来事を思い出し、神様を畏怖すると同時にちゃっかりとパワーをもらいたいと思っています。
もちろん神様の祠でもあれば、お賽銭をあげることは言うまでもありません。

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