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米国投資家、欧州VC案件への投資を縮小

Pitchbookのレポートによると、米国のベンチャー投資家は、2023年は前年と比較し欧州市場への関与を減らした。リスク軽減や自国企業支援のため、クロスボーダー案件への意欲が低下したものとみられ、一部投資家は完全に欧州から撤退している。しかし、一部米国VCは欧州での活動拡大を推進しており、10年単位で見るとむしろ増加している。2023年の欧州最大のVCラウンドにも米国の投資家が多く含まれていた。


米国のベンチャー投資家は、中核市場に集中するため、欧州のベンチャーキャピタル案件への関与を大幅に減らしている。

PitchBookの第3四半期年次欧州ベンチャー・レポートによると、昨年、米国を拠点とするベンチャー投資家は1,863件の欧州ラウンドに参加した。これは全体のディール数の約20%に相当し、前年の23%から減少した。

米国のVCは、リスクを軽減し、自国の投資先企業を支援するためにより多くの資金を提供しようとするため、昨年からクロスボーダー案件への意欲が低下している。Coatue Management(コアチュー・マネジメント)を含む一部の投資家は、今年欧州から完全に撤退した。

2023年には、欧州のVC案件への米国の参加は減少したものの、それでも米国の年間参加額は3番目に多かった。過去10年間、欧州のVCラウンドの11%に参加していた米国からの投資家は、昨年約20%に増加し、欧州のVCシーンが長期的に構造的な成長を遂げていることが明らかになった。

多くの米国VCは最近、VC不況にもかかわらず、欧州での活動拡大を推進している。10月には、General Catalyst(ジェネラル・カタリスト)がドイツのアーリーステージ企業La Famiglia(ラ・ファミリア)を買収し、欧州での存在感を高めている。Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)と IVPは、今年初めにロンドンオフィスを開設すると発表した。

2023年の欧州最大のVCラウンドの多くには、米国の投資家が含まれている。A16zとLightspeed Venture Partners(ライトスピードベンチャーパートナーズ)は、AI企業Mistral AI(ミストラルAI)が12月に行った3億8500万ユーロのラウンドの投資家の一人だった。パーソナル・レンディング・プラットフォームのAbound(アバウンド)が3月に行った5億ポンドの資金調達には、カリフォルニアのVC GSR Ventures(GSRベンチャーズ)などが参加している。

https://pitchbook.com/news/articles/europe-vc-us-investors-2023


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