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2010年個人的洋楽ベストアルバム20

X(Twitter)とThreads上で続けていた2010年発売洋楽マラソン。約60枚聴いたところで個人的にいいと思ったもの20枚に順位を付けて終了します。


20位 Drake/Thank Me Later

テン年代を代表するヒットメーカーの1人。トロント出身。10代で俳優デビューした後ラッパーとしてミックステープやEPを経て本作で本格デビュー。歌ってるパートも多くシンガーとしても全然いけそう。聴きやすいけど意外にダーク。ナイーブそうな人だ!

当時Vampire Weekend のエズラ・クーニグがクロスビートのインタビュー記事でDrakeの「Thank MeLater」を2010年ベストアルバムにあげていたことはもっと知られてもいいかも知れない。ちょっと歌心のあるラップに当時は新しさを感じていたのかもね。↓


19位 Vampire Weekend/Contra

ビルボード1位を記録し出世作となった2nd。明るく知的でピースフル。マッチョイズムとは多分最も遠いところにある音楽。USインディーズが隆盛に向かっていく象徴的存在の一枚なんだろうなぁ。このジャケ写は1983年に撮影されたモデルのもので本人から訴訟を起こされた!(現在は取下げ済み)マニックスの2011年のこれ↓と何となく雰囲気似てるよね。

Manic Street Preachers
左:National Treasures(2011)
右:This Is The Day(2011)


18位 Charlotte Gainsbourg/IRM

ベックのフルプロデュースによるシャルロットの3rd。基本的には「Sea Change」「Modern Guilt」路線の曲を透明感ある女性が歌っているイメージだがセルジュ・ゲンスブールをリスペクトする彼にとって大事な仕事だった事が窺える丁寧な仕上がり!


17位 M.I.A./MAYA

相変わらず不機嫌で熱量多めの3rd。
前2作にあった可愛げが残ってなくはないけどかなり後退してノイジーでダビーでパンキッシュな印象。2nd収録の”Paper Planes”に印象的な銃声が使われてたけど本作収録の”Born Free”のPVは虐殺を連想させる内容で過激さが更にパワーアップ!でもこの人不思議な磁力があるんだよなぁ。


16位 Foals/Total Life Forever

どこか不穏な雰囲気も漂っていた「踊れるマスロック」の1st 「Antidotes」とは打って変わって「雄大なロック」然とした2nd。ユニゾンだかハモってるんだか分かりにくいボーカル&コーラスやリバーブの効いた音響が涼しげでいい!


15位 MGMT/Congratulations

シンセポップの傑作として高評価を得た1stに続く2nd。サーフロックありギターポップありの内容に当時は賛否両論だったとか。今回聴いて個人的にはバラエティに富んだインテリジェンス溢れる作品だと思った。圧巻は12分の”Siberian Breaks“!フリッパーズ・ギターの“ドルフィン・ソング”とかちょっと思い出しちゃった。ツルンとした若い男性2人だし。当時彼らのことを「ブルックリンのタッキー&翼」と呼ぶ人もいたらしい😅


14位 Manic Street Preachers/Postcards From A Young Man

「マスコミへの最後の一撃」と彼ら自身が称している作品。ジャケ写は英国の俳優Tim Roth。ストリングスありゴスペルあり、溌剌としてきらびやか。10作目でまだこんな瑞々しいものを作れるのは素晴らしい!特に哀愁を帯びた捻くれポップ「Hazelton Avenue」が好き。


13位 Sleigh Bells/Treats

ブルックリン出身の男女デュオ。ラウドなギターサウンドにコケティッシュな女声ボーカルを絡める独特のスタイルでM.I.A.に認められ彼女が立ち上げたレーベルと契約。確かに暴力的で破壊力あって中毒性もあるこのスタイルは共通点あるかもね。


12位 Kid Cudi/Man On The Moon Ⅱ: The Legend Of Mr. Rager

クリーブランド出身のラッパー/SSWで最近ではアニメの脚本・プロデュースなども手がける才人キッド・カディの2nd。HIPHOPとエレクトロニカを融合させた当時としては新しいスタイル。内省的な内容ながら歌心もあるところが好きです。


11位 Underworld/Barking

3年ぶりとなる6th。ここにきてこんなにポップになれるなんて!歌パートも多くて今まで聴いた彼らの作品の中で一番親しみやすかった!
“Diamond Jigsaw”はテン年代の“Born Slippy”かっ?…とか思いながら聴いてました。


10位 Warpaint/The Fool

LA拠点の女性4人組アート・ロック・バンドの1st。浮遊感・緊張感・ローファイ・サイケ・ちょい実験的…そんな言葉が頭に浮かぶけどだんだんそんな事はどうでもよくなってきてずっと聴いていたくなるクールな音楽だなぁ…

こぼれ話だけどメンバーのエミリー・コカルは04年から07年までジョン・フルシアンテと付き合っていてジョンはWarpaintの前作EPのプロデュースを手掛けている…本作のエクスペリメンタルな雰囲気がジョンのソロ作品を彷彿させるのはその残り香かも知れんねぇ…🥲

https://m.whosdatedwho.com/dating/john-frusciante-and-emily-kokal

…で、ジョンのソロアルバム「Shadows Collide With People(04)」↓が大好きな僕が「The Fool」を嫌いな訳がない!という三段論法のお話でした!


9位 Kanye West/My Beautiful Dark Twisted Fantasy

禍々しくも凄まじい迫力!ロックからの影響・引用も色濃くN.E.R.D.あたりから来てYves Tumorあたりに繋がっていく過程での一里塚マスターピースというか…初聴きした時は当分何聴くか迷った時はこれでいいやと思っちゃうレベルでした。

しかしあれですね。「クマちゃんカレッジライフ3部作」↓にあったハッピースィート感は消失するんですね。ドンダ母さんが亡くなったりテイラー・スウィフトの件で世間から袋叩きにあったりして無邪気でいられなくなったのと逆境をバネにアーティストとしては一皮剥けたって事か。ふむふむ🤔


8位 Maroon 5/Hands All Over

3年ぶりの3rdアルバム。ロック寄りだった2nd「It Won’t Be Soon Before Long」より1st「Songs About Jane」に近いR&B/ポップス回帰の印象。アダム・レヴィーンの声はこういう路線の方がより生きると個人的には思います。…ていうか大好きです❤️


7位 Massive Attack/Heligoland

7年ぶりとなった5th。初期作より幾分聴きやすく低評価が信じられない安定のトリップ・ホップ。何の流行とも無関係に屹立しているのがカッコいい。ボートラのM12には何と坂本龍一と高橋幸宏が参加している!2人が亡くなった2023年にこそ聴き直されるべき作品かも知れない。


6位 Flying Lotus/Cosmogramma

ジョン・コルトレーンを大叔父に持つLAのプロデューサー/ミュージシャンの3rd。エレクトロニカもポストロックもついでにDJ Shadowあたりも全部飲み込んで消化したような音楽!トム・ヨークが1曲参加してるけど影響受けたのはトムの方だと思うな!🤔


5位 Deerhunter/Halcyon Digest

アトランタ出身Deerhunterの5th。USインディシーンにおける重要作の一つ。「Microcastle」に比べるとポップなようでいて歌詞を見ながら聴くとゾッとしたり深淵な闇に落ちていくような思いになる瞬間がある。だからこそ何度も味わいたくなる!


4位 Erykah Badu/New Amerykah Part Two: Return of the Ankh

05年から複数のプロデューサーと制作していた多くの曲を前作と本作で選りすぐり。だから06年に他界したJ Dillaのクレジットも確認できる。とてもジャジーでオーガニック!Baduizm(97)やMama’s Gun(00)を超えてない?その複数のプロデューサーというのが前述のJ Dilla,の他、The RootsのQuestlove, James Poyser更に他にもMadlib, Lil Wayneなど錚々たる面々…バドゥさん慕われてる…てか不勉強でテン年代にこんな傑作出してるとは知りませんでした。ごめんなさい。かなり好きです。


3位 Corinne Bailey Rae/The Sea

予期せぬ夫の死で制作が遅れたとされる2nd。しかし悲しみに打ちひしがれているという感じはない。張り上げるでもなく囁くでもなくヴィブラートは利かせないエモい歌声。プロダクトはシンプルで曲の良さと声の力だけで感動させちゃう名盤。


2位 Laura Marling/I Speak Because I Can

英国フォーク界の妖精ローラ・マーリングの2nd。アコギ中心の素朴な演奏と力強くもフェミニンな歌声が聴く者の胸を撃つ。女性SSWはオールタイムで比較しやすい分野だと思うんだけどこれは相当いい線いってるアルバムなんじゃないかな。


1位 Tame Impala/InnerSpeaker

テーム・インパラの1st。個人的には2020年の「The Slow Rush」に続いての鑑賞。ノイジーさと浮遊感が渾然一体で覆い被さってきてとんでもないものを聴いちゃったなという印象。個人的にはサイケを聴きたくなったら当分これでいいかなって思える衝撃でした!


所感(思ったこと)

当時のロック系メディアなどを読むと2010年はUSインディーに元気があってUK勢にはいまひとつ元気が・・などと書いてあったりするのですが、ある意味「せっかく後追いで」かつ「個人的な」ランキングなのでそういった背景は参考程度にとどめて、幅広く、貪欲に、そして無邪気に楽しむ事を例年以上に念頭におきました。その方が楽しいと気づいちゃったかも知れません。

そういった意向が反映された上位の顔触れになったような気がします。たまたまかも知れませんが女性の作品が多いですね。

冒頭に画像で掲載した40枚は以下のとおりです。

↑左上から右へ
1位 Tame Impala/InnerSpeaker
2位 Laura Marling/I Speak Because I Can
3位 Corinne Bailey Rae/The Sea
4位 Erykah Badu/New Amerykah Part Two:  
     Return of the  Ankh
↑左上から右へ
5位 Deerhunter/Halcyon Digest
6位 Flying Lotus/Cosmogramma
7位 Massive Attack/Heligoland

8位 Maroon 5/Hands All Over
9位 Kanye West/My Beautiful Dark Twisted Fantasy
10位 Warpaint/The Fool

11位 Underworld/Barking
12位 Kid Cudi/Man On The Moon II:
The Legend Of Mr. Rager
13位 Sleigh Bells/Treats
↑左上から右へ
14位 Manic Street Preachers/Postcards From A Young Man
15位 MGMT/Congratulations
16位 Foals/Total Life Forever

17位 M.I.A./MAYA
18位 Charlotte Gainsbourg/IRM
19位 Vampire Weekend/Contra

20位 Drake/Thank Me Later
以降は順不同
Eminem/Recovery
Janelle Monae/The Archandroid
↑左上から右へ
Nicki Minaj/Pink Friday
John Legend & The Roots/Wake Up
The Morning Benders/Big Echo

Beach House/Teen Dream
Sufjan Stevens/The Age Of Adz
HURTS/Happiness

Big Boi/Sir Lucious Left Foot:
      The Son of Chico Dusty
Arcade Fire/The Suburbs
Gorillaz/Plastic Beach
↑左上から右へ
LCD Soundsystem/This Is Happening
The National/High Violet
These New Puritans/Hidden

Kings Of Leon/Come Around Sundown Bruno Mars/Doo-Wops & Hooligans Bonobo/Black Sands

deadmou5/4×4=12
The Roots/How I Got Over
Four Tet/There Is Love in You

X(Twitter)やThreads上でお薦めやいいねやコメントを寄せて頂いた皆様、本当にありがとうございました!全部に感想を書けなくて申し訳ありません🙇

以上、最後までお読み頂きありがとうございました!

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