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絵本探求ゼミでの学び③


6/26、第3回絵本探求ゼミ(オンライン開催)を受講した。
第2回で学んだ、「技法」が見られる絵本を持ち寄る課題が出ていたので、我ら「ピース5」の5人は、グループでプレ勉強会を実施し(6/23)、あれやこれやと紹介し合った。
出るわ出るわ20冊以上!
技法という新たな視点で絵本を見直す楽しさよ。


絵本の技法に関わる専門用語に注目

①判型 format
・本の大きさ、形状  縦長版portrait/横長版landscape/正方形 他
②タイポグラフィー typography
・フォントの種類大きさだけでなく、配置も含めた文字に関するデザインすべて
③裁ち切り bleed
・絵がページからはみ出す
④ノド gutter
・見開きの真ん中、とじ目の部分
⑤ビネット vignette
・独立した小さなデザインやイラスト 切り抜かれたかたち
⑥ナラティブ narrative
・文章を語っている者
⑦見返し endpapers
・表・裏の表紙を開いたときに現れる見開きの紙 
・時として、パラテキストとして重要な役割を果たす
⑧枠・コマ割り
・枠を付けることでファンタジーの世界を成立させる
・コマ割りで時系列の進行を示す


【参考資料】
『絵本の絵を読む』
ジェーン・ドゥーナン 著
正置友子・灰島かり・川端有子 訳 玉川大学出版部 2013年




ゼミ当日のブレイクアウトルームでは、選んだ絵本と技法、その効果についてグループで話し合った。

注目したのは

「裁ち切り」の効果・効用


絵本『てをつなぐ』(鈴木まもる 金の星社 2017年)
すべてのページで裁ち切りが見られる。めくると現れる次の登場人物の手のみが描かれて裁ち切られている。
効果:見えない部分に想像をかきたてられ、めくりたくなる=「ページターナー」となる
(例)『しっぽのはたらき』(福音館書店)


絵本『ひみつのビクビク』(フランチェスカ・サンナ作 なかがわちひろ訳 廣済堂あかつき 2019年)
見開き一場面で、ビクビクが徐々に大きくなり最大サイズの一部分のみ描かれ、裁ち切られる
効果:大きいモノの一部のみを描くことで巨大さを強調する
(例)『きょだいなきょだいな』(福音館書店)



絵本『太陽といっしょ』(新宮晋 クレヨンハウス 2017年)
冒頭、写真のような裁ち切り場面が続く。人体の不自然な裁ち切り。
効果:主人公の視点で主人公の身体(見えない部分は裁ち切られている)を描くことで、読者が主人公の視点と一体化する=ポイント・オブ・ビューの明確化

グループワークを終えて


これまで、直観的に面白さを捉えがちだった絵本の絵を、技法という視点で捉え直し、それぞれの効果について言語化する話し合いはとても実りあるものとなった。

自分が選んだ絵本についても、メンバーからの気づきをもらえるのが、グループワークの楽しいところである。

グループの発表では、この「裁ち切り」の効果・効用の他に、一冊の中で多くの技法が見られる『おーい、こちら灯台』(評論社)を紹介したところ、ミッキー講師の解説のもと、詳しく検証する場をもつことができた。

当日の検証や意見交換などをふまえ、改めて「技法のデパート」のような作品を読み直し、次のノートでまとめた。


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