見出し画像

絵本探求ゼミでの学び②

5/22、楽しみにしていた絵本探求ゼミ第2回をzoomで受講した。
今回は、第1回で学んだ「絵本における言葉と視覚の相互作用」について考察を深めるため、各自が「絵と言葉の関係を考える絵本」を持ち寄る課題が出ていた。

また、その絵本が、参考図書『絵本の力学』の中で著者の試みた分類である、以下4つのタイプのどれに該当するかも問われていた。
(はじめに P12 )

〈ことばと絵の相互関係による分類〉

ことばと絵の相互関係が
1,対称的な絵本 Symmetrical “ことば” と “絵” とが、同じ物語をそれぞれに語る
2,補完的な絵本 Complimentary “ことば” と “絵” とが、お互いの空白部分を埋めあう
3,増強する絵本 Enhancement “絵による物語” が、“ことばによる物語” を強調したり詳しく述べたりして支える
4,対立的な絵本 Counterpoint “ことばによる物語” と “絵による物語” が、異なっていたり矛盾していたりする

『絵本の力学』 ニコラエヴァ&スコット

第1回は録画聴講であったので、参考図書を入手し分類について読んだところ、著者は続けてタイプ4をクローズアップしていた。

〈対立的な絵本について〉

このなかで、とりわけ絵本研究において重要であり、またさまざまな可能性を秘めているのが、最後の「対立的な絵本」であろう。

『絵本の力学』 ニコラエヴァ&スコット

と述べ、「対立的な絵本」を、何と何とが対立しているかによって、以下8つに分けている。


a,語りかける対象の対立
b,スタイルにおける対立
c,ジャンルと様態における対立
d,並置による対立
e,視点の対立
f,登場人物の対立
g,メタフィクション的対立
h,空間と時間の対立 

『絵本の力学』 ニコラエヴァ&スコット 

参考図書
『絵本の力学』 マリア・ニコラエヴァ & キャロル・スコット 著
川端有子 南隆太 訳  玉川大学出版部  2011年


☆課題への取り組みで分かったこと


さて、困った。
「対立する絵本」というのは、
集団の子どもたちへ絵本を読む立場でこれまで大切にしてきた、「よい絵本とは」という条件といささか乖離する方向のジャンルのようだ。

「これは面白いけど、家でじっくり読む(読んでもらう)絵本だよね」
「分かる子には分かりそうだけど、全員に伝わるかな」

と、やや疎遠になっていたジャンル。

けれど、たしかに、
「絵本だからこその面白さ、醍醐味」を味わえるジャンルでもある。


『絵本の力学』(p18)では、かの『ピーターラビットのおはなし』冒頭部分を引いて、絵とことばの「ちょっと変だな」という関係こそが読者を引きこむ仕掛けになる、と説く。

なるほど、やはり「対立する絵本」や「対立する要素が見られる絵本」は奥が深そうだ。

これまでの自分の価値観や絵本の評価を離れて、
自由に絵本研究の世界を楽しもう!!


かくして、「絵とことばの関係を考える絵本」として思い浮かべた一冊は、
かつて「これは面白いけど、家でじっくり読む(読んでもらう)絵本だよね」と選書ミーティングで落ちていた一冊となったのである。


『ぼうし』
ジャン・ブレット作  松井るり子訳
ほるぷ出版 2005年

https://www.holp-pub.co.jp/book/b485921.html
 
 
『ぼうし』についての考察は次の記事にする予定。
・・・・ジャン・ブレットはアメリカの売れっ子作家だった!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?