毎日会社法を五条ずつ読んでみる:第十八回_第九十三条~第百一条

 やっと百条!のこり約八八〇条!


第九十三条(設立時取締役による調査)

第五款 設立時取締役等による調査
(設立時取締役等による調査)
第九十三条
 設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合にあっては、設立時取締役及び設立時監査役。以下この条において同じ。)は、その選任後遅滞なく、次に掲げる事項を調査しなければならない。
一 第三十三条第十項第一号又は第二号に掲げる場合における現物出資財産等(同号に掲げる場合にあっては、同号の有価証券に限る。)について定款に記載され、又は記録された価額が相当であること。
二 第三十三条第十項第三号に規定する証明が相当であること。
三 発起人による出資の履行及び第六十三条第一項の規定による払込みが完了していること。
四 前三号に掲げる事項のほか、株式会社の設立の手続が法令又は定款に違反していないこと。
2 設立時取締役は、前項の規定による調査の結果を創立総会に報告しなければならない。
3 設立時取締役は、創立総会において、設立時株主から第一項の規定による調査に関する事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。

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 設立時取締役(監査役設置会社では監査役も)は、選任されたらいろいろ調査して、総会に報告しないといけないし、調査に関する事項について株主から説明を求められたら説明しないといけない。
・現物出資の財産について、定款の価額と実際に相当か
・専門家による上記財産についての証明が正統化
・発起人、設立時募集株式の引受人がちゃんと払込しているか
・設立手続きが定款や法令に違反していないか。

(設立時募集株式の払込金額の払込み)
第六十三条 設立時募集株式の引受人は、第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間内に、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの設立時募集株式の払込金額の全額の払込みを行わなければならない。

同上

第九十四条(設立時取締役等が発起人である場合の特則)

(設立時取締役等が発起人である場合の特則)
第九十四条
 設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合にあっては、設立時取締役及び設立時監査役)の全部又は一部が発起人である場合には、創立総会においては、その決議によって、前条第一項各号に掲げる事項を調査する者を選任することができる。
2 前項の規定により選任された者は、必要な調査を行い、当該調査の結果を創立総会に報告しなければならない。

同上

 設立時取締役(監査役設置会社では監査役も)の全部・一部が発起人の場合、創立総会の決議で、別途前条の調査をする者を選ぶことができ、選ばれた者は調査の上創立総会に報告しないといけない。
 発起人についても調べるわけですからね。外部の人の方がいい、ということもありますよね。

第九十五条(発起人による定款の変更の禁止)

第六款 定款の変更
(発起人による定款の変更の禁止)

第九十五条 第五十七条第一項の募集をする場合には、発起人は、第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間の初日のうち最も早い日以後は、第三十三条第九項並びに第三十七条第一項及び第二項の規定にかかわらず、定款の変更をすることができない。

同上

 発起人は、設立時発行株式を引き受ける者を募集する場合、その株式のための払込みの期間または期日の早い日以後、定款の変更ができない(他の条項で変更できるとなっていても不可)。
 発起人ができない、というのが大事そうですね。

(設立時発行株式を引き受ける者の募集)
第五十七条
 発起人は、この款の定めるところにより、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めることができる。

(設立時募集株式に関する事項の決定)
第五十八条
 発起人は、前条第一項の募集をしようとするときは、その都度、設立時募集株式(同項の募集に応じて設立時発行株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる設立時発行株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
(中略)
三 設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日又はその期間

(定款の記載又は記録事項に関する検査役の選任)
第三十三条
 発起人は、定款に第二十八条各号に掲げる事項についての記載又は記録があるときは、第三十条第一項の公証人の認証の後遅滞なく、当該事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。
2 前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
3 裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、成立後の株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
4 第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
5 裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第二項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
6 第二項の検査役は、第四項の報告をしたときは、発起人に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。
7 裁判所は、第四項の報告を受けた場合において、第二十八条各号に掲げる事項(第二項の検査役の調査を経ていないものを除く。)を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければならない。
8 発起人は、前項の決定により第二十八条各号に掲げる事項の全部又は一部が変更された場合には、当該決定の確定後一週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる。
9 前項に規定する場合には、発起人は、その全員の同意によって、第七項の決定の確定後一週間以内に限り、当該決定により変更された事項についての定めを廃止する定款の変更をすることができる。

同上

第三十七条 発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
2 発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる。

同上

第九十六条(創立総会における定款の変更)

(創立総会における定款の変更)
第九十六条
 第三十条第二項の規定にかかわらず、創立総会においては、その決議によって、定款の変更をすることができる。

同上

 公証人の認証を受けた場合でも、定款の変更はできる。第三十条第二項の修正というか特別な場合ってことですかね。

(定款の認証)
第三十条
 第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
2 前項の公証人の認証を受けた定款は、株式会社の成立前は、第三十三条第七項若しくは第九項又は第三十七条第一項若しくは第二項の規定による場合を除き、これを変更することができない。

同上

第九十七条(設立時発行株式の引受けの取消)

(設立時発行株式の引受けの取消し)
第九十七条
 創立総会において、第二十八条各号に掲げる事項を変更する定款の変更の決議をした場合には、当該創立総会においてその変更に反対した設立時株主は、当該決議後二週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる。

同上

 いくつかの事項について、創立総会で定款を変更する場合、反対なのに決議されちゃった設立時株主は、引受けをキャンセルできる。勝手に発起人が会社成立で受ける報酬とか高くされちゃったらいやですしね。

第二十八条 株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。
一 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。第三十二条第一項第一号において同じ。)
二 株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
三 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
四 株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。)

同上

第九十八条(創立総会の決議による発行可能株式総数の定め)

(創立総会の決議による発行可能株式総数の定め)
第九十八条
 第五十七条第一項の募集をする場合において、発行可能株式総数を定款で定めていないときは、株式会社の成立の時までに、創立総会の決議によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。

同上

 設立時募集株式の引受けを募る場合で、定款に会社の発行可能株式総数を定めてないときは、成立までに創立総会の決議で定款にその数を定めないといけないよ、と。

第九十九条(定款の変更の手続の特則)

(定款の変更の手続の特則)
第九十九条
 設立しようとする会社が種類株式発行会社である場合において、次の各号に掲げるときは、当該各号の種類の設立時発行株式の設立時種類株主全員の同意を得なければならない。
一 ある種類の株式の内容として第百八条第一項第六号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとするとき。
二 ある種類の株式について第三百二十二条第二項の規定による定款の定めを設けようとするとき。

同上

 急に第三百何条、だと……。
 種類株式発行会社の場合で、当該種類の株式について、以下の場合には当該種類株式の株主全員の同意を得ないといけない。
・一定の事由が生じたら会社が取得できるという内容の定款を定める
・当該種類の株式の種類株主に損害を及ぼす恐れがあるときに当該種類株主総会の決議をする必要がないことを定款に定める。

(異なる種類の株式)
第百八条
 株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。
(中略)
六 当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。

同上

(ある種類の種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合の種類株主総会)
第三百二十二条
 種類株式発行会社が次に掲げる行為をする場合において、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該行為は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
(中略)
2 種類株式発行会社は、ある種類の株式の内容として、前項の規定による種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めることができる。

同上

第百条

第百条 設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、定款を変更してある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号又は第七号に掲げる事項についての定款の定めを設けるときは、当該定款の変更は、次に掲げる設立時種類株主を構成員とする種類創立総会(当該設立時種類株主に係る設立時発行株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の設立時発行株式の種類別に区分された設立時種類株主を構成員とする各種類創立総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主が存しない場合は、この限りでない。
一 当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主
二 第百八条第二項第五号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得請求権付株式の設立時種類株主
三 第百八条第二項第六号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得条項付株式の設立時種類株主
2 前項に規定する種類創立総会において当該定款の変更に反対した設立時種類株主は、当該種類創立総会の決議後二週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる。

同上

 ある種類株式の譲渡について、会社の承認を要すること、ある種類株式について株主総会の決議で会社が全部を取得できること、を定款に定める場合には、種類株主総会で決議しないとダメ。この決議で反対した人は、応募を取り消せる。

第百八条 株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。
一 剰余金の配当
二 残余財産の分配
三 株主総会において議決権を行使することができる事項
四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
五 当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。
六 当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。
七 当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること。

同上

第百一条

第百一条 設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、次に掲げる事項についての定款の変更をすることにより、ある種類の設立時発行株式の設立時種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該定款の変更は、当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主を構成員とする種類創立総会(当該設立時種類株主に係る設立時発行株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の設立時発行株式の種類別に区分された設立時種類株主を構成員とする各種類創立総会)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主が存しない場合は、この限りでない。
一 株式の種類の追加
二 株式の内容の変更
三 発行可能株式総数又は発行可能種類株式総数(株式会社が発行することができる一の種類の株式の総数をいう。以下同じ。)の増加
2 前項の規定は、単元株式数についての定款の変更であって、当該定款の変更について第三百二十二条第二項の規定による定款の定めがある場合における当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主を構成員とする種類創立総会については、適用しない。

同上

 種類株式発行会社で、設立時種類株主に損害を及ぼすおそれがある定款の変更を行うには、その種類株主総会の決議が必要。
・株式の種類の追加
・株式の内容の変更
・発行可能株式総数又は発行可能種類株式総数の変更
 でも、単元株式数についての定款の変更で、損害を及ぼすおそれがあっても種類株主総会の決議を要しないという定款の定めがない場合にはなくてOK。

(ある種類の種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合の種類株主総会)
第三百二十二条
 種類株式発行会社が次に掲げる行為をする場合において、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該行為は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。(中略)
2 種類株式発行会社は、ある種類の株式の内容として、前項の規定による種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めることができる。

同上


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