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英語学習は、〇〇を元にデザインしよう!

Brighture では、時折生徒さんたちにインタビューさせて頂き、弊校のサイトに体験談を掲載させて頂いています。

実はこれらの体験談は、野本響子さんに書いていただいています。インタビューの実施から原稿の書き起こしまで、すべて任せきりです。

なので野本さん、これまでに非常に多くの英語学習者の方をインタビューしているんですね。また野本さん自身も、英語とマレー語の学習者です。

そんな数々のインタビューから得た知見や、ご自身の英語とマレー語学習の経験がぎっしりと詰まった一冊、それが、野本さんが今回出版された「50代からのやり直し英語術: なぜずっと勉強しているのにネイティブの英語が速く聞こえるのか」です。

なぜずっと勉強しているのに、なかなか話せるようにならないのか?

Brighture をご利用のみなさま、ものすごい努力家の方が多いのですね。TOEIC 900点台の方がザラにいますし、700〜800点台だと、ごく普通という感じです。ところがそんな方達でも、ある日仕事で英語を使ってみたら、あまりにも通じなくて愕然としてしまうのです。

みなさん本当にすごく頑張っているのに、なぜかいつまでたっても英語を使えるようにならないのです。野本さんもご自身の英語学習遍歴を克明に綴っていらっしゃいましたが、本当によく勉強されています。もちろん TOEIC だって高得点です。でもやっぱり野本さんも聞けず話せずのまま、マレーシア生活に突入していきます。

なぜ聞けず、話せずなのか?

なぜ TOEIC で高得点でもなかなか話せないのか? これ結構謎なんですね。

これにはおそらくいくつか原因がありますが、まず、文法のやり込み過ぎが一つ挙げられそうです。オレゴン・コースト大学の言語学教授ジェフ・ブラウン氏は、「文法は習って正しく使おうとすると、恐ろしく難しい(Grammar is extremely difficult to learn and use correctly)」とまで言っています。

実際にこれ、僕がこれまでお会いしてきた数千名の言語学習者にピッタリと当てはまるのです。せっかく文法を覚えたというのに、逆に今度は文法が気になり過ぎて、話せなくなってしまうのです。

野本さんも「文法には「勉強熱心な方ほど文法に引っかかって話せなくなる」という落とし穴があります。」と書いていますが、本当にその通りなのです。文法をやればやるほど、「正しく話さなければならない」というこだわりが強くなってしまうからかもしれませんね。

それからもう一つは、生の英語に触れる量があまりにも不足してしまうからかな、と思うのです。誰だって英語学習に割ける時間には限界がありますから、文法学習に費やす時間が増えるほど、リスニングやスピーキングなどの練習に使える時間が減っていきます。でも、どの言語も元を辿れば音声からできているので、まずは音に慣れるのが一番肝心なはずです。ところが、リスニングやスピーキングの練習って TOEIC の点数向上にはあまり寄与しないので、どうしても後回しになりがちだと思うんですね。

野本さんも、自分が聞けなかった原因の一つとして、

「聞こえてくる音」と「自分で思ってる音」とが一致しないから、いつまでも聞き取れないのです。「自分がイメージしている音」と「相手が話している音」が一致しなかったのです。」「聞こえない英語があったのは、「思い込みの音」が邪魔していたからでした。

 〜中略〜

私の発音はカタカナに近いものでした。私が「マクドナルド」だと思っているものと、ネイティブの「McDonald」の音は違うので、「McDonald」と言われても何を言っているのかわかりません。

と書いていますが、これ、ほとんどの英語学習者に当てはまるのではないでしょうか?

音で思い出しましたが、日本ではまず最初にフォニックスを教えないのも、かなりの足枷になっていると思うんですね。フォニックスというのは英語のスペルと発音の規則性を学ぶための学習法で、アメリカでは幼稚園あたりから繰り返し何度も教えるやつです。これを最初に学んでおくと、初見の単語でもかなりの高確率で正しい発音を推測できるようになるため、へんなカタカナ発音にマッピングしなくなるのです。僕もまず、フォニックスを学びたかったです。そして野本さんも同じことを思ったようでこんなふうに書いています。

そして、50代になってフォニックスを習いました。フォニックスとは、英語の綴りと発音の間の規則性を知ることで、正しく読むためのメソッドです。 ずっと「発音は優先順位が高くないからいいや」と後回しにしてきましたが、後から気づいたのは、順番が完全に逆だったということです。

こんなふうに、最初のボタンからいくつも掛け違っているため、すごく頑張っているのに、なかなか話せるようにも聞けるようにもならない、というのが、多くの英語学習者に共通する課題と言えそうです。

ではどうすればいいのか?

では具体的にはどうすればいいのか……ですが、やっぱりまず最初は中学英語から取り組んで、最低限の土台を作った方がいいように思います。

学校での英語に悪い思い出しかない人は、Duolingo などのアプリケーションを使って、まずは土台作りに励んでもいいのではないでしょうか?

なんとかギリギリ簡単な会話ができるくらいになってきたら、今度はフォニックスと発音を学習します。まだ何も英語を勉強したことがないお子さんだったら、こっちから始めた方がいいかもですね。Brighture でも発音とフォニックスを学習する「Phonix and Pronunciation」の授業を提供していますが、多少遠回りに思えても、まずは発音をある程度きちんと覚えてしまうことを強くお勧めしたいです。なぜなら、その後の道のりがかなりスムーズになるからです。野本さんもこんなふうに言っています。

発音を習ってみて分かったことは、自分の英語学習は基礎をおろそかにして建てた建物のようなものだったな、ということです。  初めの段階で L と R の違いがわからないまま進めてしまっているので、すべての単語でこの2つの差がごっちゃになっています。綴りも覚えられないワケです。

間違った音で覚えたまま、自己流でシャドウィングを繰り返していたため、この定着した間違いを矯正するのに倍に時間がかかってしまいました。

私の英語学習の長年の課題であった「聞き取り」が、発音を学んだことで上達したのを実感しました。

英語学習は、興味を元にデザインした方がいい

やがて発音に慣れてきたら、今度は並行してリスニングとスピーキングの練習をどんどんしていきます。特に日本人に圧倒的に不足しているのは、リスニングの練習です。

リスニングと言っても、教材の音源を何度も繰り返し聴くタイプのものではありません。あれは初心者のうちはかなり有用ですが、そこそこ慣れてきたら、すぐに卒業して、ネイティブがネイティブ向けに発信している、生の英語に大量に触れた方がいいです。

ただここで気をつけたいのは、どんな英語に接するか? なんですね。

ぶっちゃけどんな英語に接してもいいのですが、自分が興味がないものに接するのは、極力避けた方が、英語学習が長続きしますし、記憶にも残りやすいです。野本さんも著書で文献を引用して、同じことを言っているんですね。

大学院で学んだ文献によりますと、脳はインプットされた刺激のうち、99%を「いらないもの」として無視するそうです(「The adolescent brain-learning strategies & teaching tips」Armstrong, T 2016)。そして、次の場合にのみ、脳は情報に注意を払うといいます。

① 情報に意味がある場合 
② 情報が感情的な反応を引き起こす場合

私はこれを知った時、①が「興味があること」で、②が「楽しんでいること」にあてはまりそうだ、と感じました。この2つが揃った時に初めて、上達するためのインプットが楽にできるようなのです。

脳は、具体的な経験を通じて最も強いつながりを作ります。 具体的な経験がなければ、象徴的で抽象的な学習はほとんど、またはまったく意味がありません。 抽象的な思考プロセスは思春期後期 (18歳から 20歳頃) まで十分に発達しないため、最も効果的な指導スタイルには、学校環境の境界内で具体的な経験を生み出す方法が含まれます。  The adolescent brain- learning strategies & teaching tips. (n.d.). Sun

なので、多聴多読を続けられる「何か」を見つけられれば、英語学習は格段に続けやすくなりますし、学習の速度も早くなります。

語学学習って結局、「興味」を元にデザインするのが正解です。野本さんがインタビューした方の中にはアメリカのドラマにハマって、音声だけをずっと聞き流す方法で「音が聞き取れるようになった」方もいれば、 洋書にハマって英検1級を取った方もいるし、オンラインゲームでチャットしているうちに会話が楽しくなって表現が増えていった方などがいるんですね。

野本さんは Smart のコツをこんなふうにまとめていましたが、僕もこれに100%同感です。

・興味のあるものを見る(聞く) 
・難しすぎないものを選ぶ 
・ある程度知っている分野を見る(聞く)
・聴きやすい人から聞く 
・日々の習慣に取り入れて、量をこなす 

……こんな感じです。

皆さんもぜひ、自分の興味を元に学習をデザインして、新たに英語学習に取り組んでみませんか?

なお、今回の野本さんの出版を記念して、野本さんとVoicyにて対談させていただきました。

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シリコンバレー、フィリピン、東京の3ヶ所に拠点を置くBrighture English Adacemy 代表、松井博が、日々あちこちで感じ…

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