女性用性感マッサージ初体験~プロフェッショナルのお仕事

風俗の利用を決意するまでの葛藤は前回の記事をご参照ください。

予約を入れたのは平日の昼間、待ち合わせに指定したのはラブホテルの部屋だった。早めに行ってゆっくりシャワーでも浴びて心を整えよう(コピーライト長谷部誠)と思っていたのだが、人身事故で電車が遅れ、約束の時間きっかりにラブホに付いた。部屋に入ってメールで部屋番号を伝えると、すぐに返信があった。ほどなくしてフロントから「お連れ様がいらしていますが通していいですか?」と内線が入る。「お願いします」と答え、とうとうご対面だと思うと床が揺れて感じるほどの緊張がこみ上げた。

ドアチャイムが鳴る。ドアを開けると、彼は大きなキャリーバッグを引きずって立っていた。第一印象は「スナフキンみたい」であった。着ていたコートの色味や大荷物、少し癖があって膨らんでいる茶色い髪、目尻の上がっている大きめの瞳からスナフキンを連想したと思われる。正直、プロフィール写真とは違う雰囲気ではあったが、パネマジとは思わず「あ、なるほど」と納得する感じであった。そもそも顔で選んだわけではないし、私は男性の顔面に関しては苦手な顔じゃなきゃなんでもいい。ひとによってはイケメンと評するであろうお顔立ちではあった。

かんたんな挨拶を交わす。彼は呼んでくれたことへの礼を言い、目を見ながら褒め言葉を述べてくる。私はそれを遮るように「若くなくてごめんなさい」と口走っていた。なんて平凡なことを言っているのだろうと自分に幻滅する。同時に、私にとって最大のコンプレックスとは、微妙なつくりの顔でも年々存在感を増していく脂肪でもなく、年齢だったのかと発見させられた。彼は「そう? 若そう」とさらに顔を覗き込んでくる。なんだか申し訳ないし恥ずかしい。何気ない会話でも、こちらの気分を害さないようにとても気を遣って喋っているのが伝わってきた。猫なで声の一歩手前のやさしい声音である。

カウンセリングシートを渡される。呼んでほしい名前、してほしい行為、してほしくない行為、希望オプションなどの項目がある。それに記入しているあいだ、彼は浴室でシャワーの温度調節などをしていた。書き終わった紙を渡し、浴室に入る。出しっ放しのシャワーを見て、「ああっ水道代が!」と思ってしまうのが主婦のかなしいSAGAである。ラブホテルの水道代なんて私には関係ないのに。シャワーを浴び、歯を磨き、用意されていたガウンを着る。男性用の風俗店だとイソジンでうがいをさせられるらしいが、それはないんだな、と考えていた。

浴室から出ると準備が整っていた。照明を薄暗くし、ベッドにバスタオルが敷かれ、オプションで頼んだものなどが並べてある。彼も下着の上にガウンを着ていた。声のやさしさと甘さはさらに増し、ところどころオネエ言葉みたいになっている。ハグされ、ガウンごしに軽く乳首に触れられてその硬さを確認され「……あら。まだ早いんじゃな~い?」なんて言われたときは、感じればいいのか笑えばいいのかわからなかった。

ベッドに上がる直前、「イヤなことやされたくないことはしないので、すぐに言ってください。それだけがルールです」と言われた。運動会の選手宣誓のごとく。とうとうはじまるんだと意識させられ、ぞくぞくする。

背面のパウダーマッサージからはじまった。このパウダーマッサージは、マッサージとしては正直微妙、だが焦らして期待を煽る前戯としてはなかなかよい感じであった。なによりも手がとてもあたたかく気持ちいい。普通のマッサージ師でも施術中にどんどん手があったかくなるひとはたまにいて、神に与えられた手だなあと関心するのだが、彼の手はかつて経験がないほど熱かった。おそらくもともと手があたたかいのにプラスして、シャワーを浴びる際にあたためたのだろう。プロだなあと感じ入る。体臭や口臭は皆無で、肌やくちびるはしっとりとやわらかい。

背面が終わり、前面へ。オプションで頼んでいた手枷とアイマスクをつけられる。手枷は緩すぎたが、アイマスクは選んで正解であった。心のガードが固めの私には、初対面である相手の顔が見えないのはありがたい。視界を遮られることで、与えられる感覚や自分の快感に没入できる。

フェザータッチの手はときどききわどいところに触れ、反応すると「あとでたっぷり触ってあげる」と焦らされる。くちびるが肌のあちこちにつけられる。やがて、怒濤のクンニリングス・フェスティバルの幕が切って落とされた。

私にとってクンニリングスという行為は「快感<<<申し訳なさ」で、あまり好きなものでなかった。FANZAの統計調査で女性ユーザーの人気検索ワード1位がクンニだったのを見てとても驚いたほどだ。私はクリトリスでもGスポットでもポルチオでもわりとかんたんにイケる性的にチョロい女なのだが、クンニオンリーでイッたことはない気がする。

だが、彼のクンニリングスは私のクンニ観が変わるほどのクンニリングスだった。まったりとしてなめらかで、それでいて繊細で……と下手な食レポみたいな説明しかできないが、とにかくお上手であった。お金の取れるクンニリングス、クンニひとすじで生きていくことも可能なクンニリングスであった。何度も達し、声のボリュームも段階を上げてどんどん大きくなっていく。

クンニと同時に指を膣に入れて刺激されていた。がしがしと擦るのでなく、押すというか、圧をかける感じで。激しい快感というわけではないが、これはこれで非常に気持ちいい。「2本入れてもいい?」「うん」「ああ、ぬるぬるだからするっと入っちゃった。すごい」と彼の言葉責めはベーシックだが、やっぱり基本って大事だよね、と思う。

普段、一回イクと「ちょっと休憩!」と言って逃げてしまいがちだが、「お金を払っており時間が制限されている」という状況により、持ち前の貧乏性が発動して「大丈夫?」と聞かれても休憩なしで続けてもらった。ひっきりなしに刺激を与えられ、何度もイッているのに痛くならないのもすごい。100分のコース時間(対面からの時間なので実際のプレイ時間はもっと少ない)中60分近く舐められていたのではないか。彼の舌や顎の疲労が心配になってくる。終わったあとにアイシングとかしたほうがいいのでは?

一点、気になったのは前半パートでボクサーパンツごしに陰茎をむにむにと体に押しつけられたことだ。不快だったわけではなく、どきどきしてよかった。そのうちガウンもパンツも脱いだらしく(目隠しされているので見えない)直接当たることがあった。私が陰茎に対してアクションを取らなかったせいか、途中からは押しつけられることもなくなり、彼はクンニに集中していた。もしも希望すれば挿入もあったのだろうか、あれは挿入ルートへのフラグだったのだろうか、と邪推かもしれないがあとでもやもやと考えてしまった。挿入したらそれはただのセックスなので私は望まないけれど。

永遠に続くかと思われたクンニリングス・フェスティバルもやがて閉幕し、アイマスクと手枷を外され、抱き寄せられて撫で撫でピロートークタイムとなった。100分、短いもんだなあと思いながらベッドから出てひとりでシャワーを浴び(「いっしょに入る?」と訊かれたが照れくさかったので断った)、服を着た。あんなに恥も外聞もなく乱れたのに、終わるとまた緊張が戻っている。エレベーターでは沈黙が少し気まずかった。彼は呼んでくれたことへのお礼をあらためて言い、私もありがとうございましたと頭を下げて、ホテル前で別れた。

朝からなにも食べていなかったことを思い出し、近くにあったモスバーガーに入る。トマトも肉も味がめちゃくちゃ濃く感じた。炭酸のドリンクを一気に飲んで喉が渇いていることに気付く。頭はぼんやりとしているのにすっきりとしていた。不安や懸念事項はすべて消え去っている。会社を辞めて無職になったときの解放感によく似ていた。

「これは私よりももっと切実に飢えているひとのためのサービスだなあ」と
しみじみと思った。男性としばらく肉体的接触のない女性は、やさしくハグをされたり肌を撫でられたりしただけで満たされて泣きたくなるだろう。男の乱暴さみたいなものが皆無で、やさしくていねいに扱ってくれるひとだったから、男性経験ゼロorほとんどない女性にも向いているだろう。でも私はそうではないから、再度利用するかどうかはわからないとそのときは思った(だが翌日になるとすぐにまた呼びたくなって困ったのだが)。

プロとしての意識の高い、いいひとだったなあと思い返す。私にとっては「男として性的魅力を感じる」タイプではないのだが、人間的にとても好きだと思ったし、内面に興味が湧いた。彼の人生を応援したくなるというか。

彼のサービスにはよくも悪くも「お仕事感」があった。褒め言葉に対して何度も「それ、だれにでも言ってるんだよね?」と突っ込みたくなった(もちろんそんなことを指摘したら台無しなので言わない)。いちゃいちゃ恋人気分を味わいたいひとにとってはマイナスだろうけど、私は線引きをしてくれることに好感を抱いた。色恋営業は修羅場を引き起こすだけだと経験から知っているに違いない。

帰宅してから、今日の人身事故は男子高校生が飛び込んだせいだという噂をネットで目にし、とてもショックを受けた。人生に悲観して身を投げる男子高生、男デリヘルとして身を立てる青年、そして男を買う人妻。もしも飛び込む直前の男子高校生と話せたら、私はなんて言うだろう。「生きていたら楽しいこともあるよ」なんて月並みな言葉をかけてもきっと響かない。でも大人にならないと体験できない楽しいことがいっぱいあるのは事実だ。

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ヴァジャイナ子

地方都市で暮らす39歳既婚子なし女性が、冥土の土産として風俗を体験していく好奇心発→地獄行きかもしれない旅路の記録。女性用性感マッサージからはじまり、いまは女王様とのSMにドハマり中。
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