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おともだちができるベンチ

子どもたちが通ったイギリスの小学校の校庭に、2015年の9月、3人がけの木製ベンチが置かれました。校舎の壁を背に、校庭に向けて。
ベンチの背もたれには「友情のベンチ(バディベンチBuddy Bench)」と書かれています。

あたらしいものが校庭に増えていて興味津々の子どもたちに、校長先生から説明がありました。
「誰かと遊びたいけれど相手がいないときは、ここに座ってください。このベンチに誰かが座っていたら、そのひとは遊び相手を探しているというサインですから、となりに座りに行ってあげましょう。」

遊ぶお友達がいない時、ここに座ると誰かがとなりに迎えに来てくれる。それがバディベンチ。

息子に
「あのベンチ使った事ある?」と訊いてみました。
すると
「うん、あるよ。そしたらお友達がすぐ来た(^-^)」
「ほかの子もよくあのベンチ使ってる?」
「うん、毎日誰かが使ってるよ!」
どうやらベンチは毎日大活躍しているようでした。

この話をツイッターでシェアした際、非常に多くの肯定的なリアクションをいただいた一方、日本では結局「あいつはひとりぼっちだ」「友達のいないやつ」とからかいの対象になったり、かえっていじめられるのでは、という懸念や皮肉っぽいコメントもありました。

そのようなことが起こらないよう、学校でも家庭でも大人たちが子どもたちに、ひとりぼっちの子を助けるどころか攻撃するのは恥ずかしいことだと教えなければなりません。真面目に。
そういう意識の共有がないところでは、バディベンチはあたたかく機能しないでしょう。
自分がされて嫌なことはひとにもしないというのは当たり前のマナーです。大人にも、辛い経験や嫌な思い出があるはずで、それを次の世代に引き継がないことこそが、大人らしい振る舞いですから、大真面目に子どもたちにそう話しましょうよ、ね。

この友情のベンチ(フレンドシップベンチとも言う)は、ドイツで始まり、ヨーロッパに広まって行ったものだそうです。少し詳しくまとめられたサイトがありましたので、ご興味のある方はリンク先を訪れてみてください。↓



「友情のベンチ」に対して、どうせ日本ではさらなる嫌がらせやいじめの道具になるであろう、などという悲しい意見が聞こえてきても、それをみんなでちゃんと否定できるようになった日が、日本が心も豊かな文明国になれた日なのかもしれませんね。

※英語のbuddyという単語は、仲間とか親しい間柄とか、あるいは仕事などで助け合うパートナーといった広い使われ方をしています。

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