海外のデモは赤信号で止まらない

この数年、特に2011年の福島第一原発事故のあと、日本各地でデモがひんぱんに行われるようになりました。どこかでデモに参加したことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
デモのコースの途中に赤信号の横断歩道があったとき、どうでしたか?おそらく青になるまで止まって待ったのではないでしょうか。そうするとせっかくまとまって一緒に歩いていた参加者同士が引き離されてしまいますよね。マイクのかけ声が遠くなってコールしにくくなったり、引き離された距離を取り戻そうと早足になって周囲へのアピールに気を配れなくなったりということも起こりますね。デモが苦労することは、抗議を受け取る側の権力者にとってはありがたいことでしょうね。

日本のデモが赤信号で止まることに、ドイツ出身の夫はとても驚いていました。
ドイツのデモは赤信号で止まりません。ドイツに限らず海外のデモは赤信号でも交通整理に守られながら、余裕を持って周囲にアピールもしながら、赤信号の横断歩道を通過します。
運悪くそこに居合わせた車のドライバーは、デモが通過するまで待たされることになりますが、デモ参加者や主催者に文句を言うことはありません。ひたすら待つのです。デモがなぜ行われるかを理解しているから、文句を言うべき相手、対峙すべき相手を理解しているからです。デモを尊重することは、市民生活を、労働者の権利を、国民の利益を守ることだからです。
夫が学生時代にドイツで平和デモなどに参加していたときも、デモ行進が赤信号をそのまま進むのは当たり前。横断歩道上に座り込んでしばらく動かない、などのアピール方法もあったと話してくれました。
「へえ、そんなことして待たされるドライバーは怒らないの?」と訊いたら「デモだからしょうがない、怒らないよ」だそうです。

ちなみにわたしが毎年参加しているロンドンでの脱原発デモも赤信号で止まりません。
デモ実施の申請を受け、警護にあたってくれる警察官たちはデモ参加者と気さくに会話しながら歩き、横断歩道では車の前に立ちはだかって、私たちを安全に渡らせてくれました。写真は2012年3月からロンドンで毎年欠かさず行われているリメンバー・フクシマイベントのロンドン市内マーチ(行進)のひとコマです。ちょっと見えづらいですが左寄りの奥の方に見える歩行者用信号は赤です。

警官が車を止め、わたしたちを安全に通らせてくれている様子が伝わるかな。イギリスの地方議員の友人に「イギリスの警察官は優しいね」と言うと、「警察は常に市民に優しいわけではないよ〜(まぁ、そりゃそうよね、わかるよ)」って言うけど、市民のデモの警護に関しては、日本よりずっと市民に寄り添っていると思いますがいかがでしょうか。日本の警察官の皆さんもいかがでしょうか(もし読んでくださってたら)。

そういえば、1998年だったかな、モンゴルで東アジア女性会議に参加した時、この国際会議の参加者全員でウランバートル市内をバスに分乗してパレードをしました。女性の人権をアピールするデモみたいな感じです。
わたしたちのパレードはパトカーに先導され、周囲の車両の通行も規制され、赤信号でも止まらず、スムーズに走りました。

話をロンドンのデモに戻して。
もしこのデモの全体の雰囲気にご興味ある方は、よかったらこちらのYouTubeもご覧ください。2013年(上)と2014年(下)のものですが、毎回こんな感じです。
2013年動画の7分28秒にも、赤信号をデモ隊が渡っている様子が一瞬映っています。わたしもどっかに映ってますがどこに出てるかは内緒です(笑)

https://youtu.be/ogzkewbMwY8
https://youtu.be/KH90ePPmGaw

日本でも、1990年代前半ごろまでは、デモ行進は赤信号でも優先されて通っていたんですけどね。
いつの間にか、権力に正当な要求をする市民の権利よりも、なるべく要求をききたくない権力者のほうが警察に守られるようになっちゃったんでしょうかね。おかしいですね。民主主義なのにね。

さいごに余談ですが、街でデモや大きなイベントがあると配備される警官が、万が一何か間違いを起こした場合に市民がそれを指摘しやすいように、あるいはGJしてくれた警察官にあとで感謝を伝えたい時にも、警官のユニフォームに識別番号が付いているのはよいことですが、イギリスの警官のユニフォームの識別番号はデカイです。一方日本のものは左胸のバッジの枠内に印字されていて、小さいです。

画像の出典:和歌山県警さんのホームページ https://www.police.pref.wakayama.lg.jp/05_kenkei/credential/index.html
どう思いますか?ということで、今回はこの辺で。
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