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私のスペイン900km巡礼記 in 2023春 #48 【46日目】弾丸バルセロナ日帰り観光、サグラダ・ファミリア〜パエリアまで楽しみ尽くす

こんにちは、ナガイです。今日はマドリードからバルセロナへ日帰りで弾丸観光に行きます。
前回の記事はこちら。

天気予報(バルセロナ) 晴れ 最高気温23℃ 最低気温13℃

4時半起床。シャワーと洗濯を済ませ、朝食代わりにタルタ・デ・サンティアゴを一切れ食べてから5時半にホテルを出発。ホテルの前にはなぜかパトカーが何台も止まっていた。

マドリードは朝晩の寒暖差が大きく、この時間だと気温は10度くらいで少し肌寒い。通りを歩いていると、朝まで遊んでいたのであろう若者達をちらほら見かける。

地面が濡れているのは雨が降った訳ではなく、マドリードでは清掃業者が給水車で街を回り、消防士のごとくホースで通りを豪快に洗浄している。歩行者を巧みに避けながら街中をテキパキと洗っていく匠の技は見ていて面白い。

30分ほど歩き、6時にアトーチャ(Atocha)駅へ到着。荷物検査とIDチェックを経てホームへ。この辺りは日本の新幹線などよりセキュリティが厳しい。バルセロナ・サンツ駅行きの列車に乗り込む。今日は日帰りでバルセロナ弾丸旅行だ。巡礼中に見たガウディ建築にすっかり魅了され、彼が手がけた建造物が多数あるバルセロナへ行きたいと思ったからだ。

列車は予定より5分遅れて6時20分に発車。車内でサン・ペラジョ修道院のAlmendradosを食べた。ミサでもらう薄い丸いパンの上に軽い食感のクッキーが載った珍しいお菓子だ。列車はノンストップで8時50分にバルセロナ・サンツ駅へ到着。マドリードに次ぐ都市であるバルセロナの主要駅だけあって多くの人がいる。

バルセロナもメトロやバスなどの公共交通機関はあるが、今日も徒歩だけでの移動を試みる。今日はまずバルセロナ・サンツ駅から1時間ほど歩いた場所にあるガウディ設計のグエル公園へ行く予定だ。事前に買っておいたチケットの指定入場時間は10時半なので、その前に朝食を取ることにする。

スペイン語で朝食をdesayunoというが、駅から30分ほど歩いたところに朝食を取るのにぴったりの名前の店があったので入る。

今日もたくさん歩くつもりなのでしっかりめの朝食を選ぶ。目玉焼き、アップルソーセージ、ベーコン、チーズグリッツのセットとアメリカーノを注文。15.50ユーロ。これで15ユーロはちょっと高いかなという味と量だったが、お腹は満たせたのでよしとする。

9時前に再び出発して歩いていると、女性に肩をポンポンと叩かれて「あなたのバッグ開いてるわよ」と教えてくれた。さっき店に入ってサングラスをしまった時にリュックのチャックを閉め忘れていたようだ。街歩き用のリュックに貴重品は入れていなかったが、旅の最終盤での気の緩みを反省するとともに、わざわざ見知らぬアジア人に声をかけてくれた彼女に感謝した。

グエル公園へ行く途中に今日一つ目のガウディ建築であるカサ・ビセンスの前を通過する。巡礼路上で見てきたものとは全く違うのに、ガウディ建築だと言われると納得する。二つとして同じものがないこと、何にも似ていないことこそがガウディ建築の特徴といえるかもしれない。

それからバルセロナの街中をひたすら歩き、最後の方は坂を上がっていく。グエル公園はかなり高い場所にあるようで、坂の途中ではバルセロナの街を一望できた。

10時半過ぎにグエル公園へ到着。どれだけ厳格なのかは分からないが、チケットは指定入場時間から30分だけ有効とされているため注意した方がいいだろう。

電子チケットを見せて入場すると、中はテーマパークに来た時のように雰囲気がガラッと変わる。子供たちの賑やかな声が聞こえると思ったら、公園内に小学校があり、校庭でサッカーをして盛り上がっている歓声だった。

公園はかなり広く木々や坂も多いので、巡礼で歩く楽しみを覚えた自分にとってはガウディも見られて一石二鳥の楽園のような場所だ。

公園は思ったより見応えがあり、途中ベンチで休憩も取りつつ、ちょうど2時間ほど見て回って12時半過ぎに公園を後にした。

次の目的地はサグラダ・ファミリアだ。グエル公園からサグラダ・ファミリアへは歩いて30分ほどの距離で、事前に買っておいたチケットの指定入場時間は14時15分だったため、途中でランチを食べてから行くことにする。今日はよく晴れていて日差しが強いが、湿気はないので不快な暑さではない。あの重かったバックパックを背負っていないと、どこまででも歩けそうな気がする。

13時過ぎに移動中に見つけておいたレバノン料理店へ入る。店の内装がいい感じだ。

ラムのケバブ、ヘムス、ムタバル、ファットゥーシュ、ファラフェル、フレンチフライのコンビプレートと水を注文。18.40ユーロ。ラムのケバブもおいしかったが、ヘムスやムタバルといったザ・中東料理はまさに今食べたい味だったのと、コロッケのようなファラフェルという料理がおいしく新しい発見だった。この辺りで少し変わったものを食べたいと思っていたので我ながらいいチョイスだった。店員の女性はアジア人がスペイン語を話すのが珍しかったのか「どこから来たんですか?」と話しかけてくれた。今回の旅では勉強してきたスペイン語が大いに役立った。巡礼で一ヶ月以上スペインに滞在するならスペイン語を勉強しておいて損はないだろう。

店を出て歩くと間もなくして見えてきた。今もなお建設が続けられている世界遺産、サグラダ・ファミリアだ。

巨大過ぎて目の前にあるものが現実に存在するものと思えない。時間の経過によって黒ずんだ部分と、出来たばかりでまだ真新しい白っぽい部分とがくっきりと分かれている。

ちょうど入場時間になったため、事前にオンライン購入していた電子チケットで入場する。入場料は26ユーロ。

荷物検査を通過して正面入口の前に立つ。外観だけでいくらでも飽きずに眺めていられる。

中へ入ってまた驚く。赤、オレンジ、黄色、緑、青、色とりどりのステンドグラスがグラデーションのように配置され、それを通過する太陽の光が壁や床をカラフルに染めている。夢か天国かと思ってしまうような光景だ。

日本語のオーディオガイドがあったのでそれも聞きながら内部の見学を2時間、外に出てからもぐるりと周りを回って30分、ガウディが遺した5世代にも渡るという超大型建設プロジェクトを心ゆくまで体感した。

現時点でサグラダ・ファミリアは2026年に完成予定とのことだ。この日もクレーンが稼働しており、今まさに建設が続けられている。今日は塔の上まで行けるチケット(36ユーロ)が売り切れていたため、またいつか完成した姿とともに塔の上も見学してみたい。

これで今日のバルセロナでのメインの目的は果たせたため、あとは時間の許す限り他のガウディ建築や観光スポットを見て回ることにする。まずはサグラダ・ファミリアから南西へ20分ほど歩いた場所にあるカサ・ミラというガウディ建築を見に行く。曲線使いがガウディらしい建物だ。内部を見学するためのチケット代は28ユーロするため今回はやめておいた。

カサ・ミラから南東に数分歩いたところにはカサ・バトリョというガウディ建築がある。これまた建物の間に挟まれながら一際存在感を放つ建物だ。こちらはすでに今日の入場が終了していたが、チケット売場のモニターにチケット代は43ユーロと表示されていた。

これらのガウディ建築があるのは目抜き通りのようで、高級ブランド店やカジュアルファッションの店が軒を連ねていた。通りを歩いているとカタルーニャ広場があり、なぜかものすごい数の鳩がいた。その広場を突っ切ると、出店やテラスのある広い歩行者天国のような通りに行き当たる。

その通りをしばらく歩いていると一際賑わっている場所がある。ここはブケリア市場といって、フルーツ、野菜、魚、肉、お菓子などを売っている店から飲食店まで所狭しと並んでおり、場内を見て回るだけでも楽しい。

ブケリア市場の近くにグエル邸というガウディ建築があるので見に行く。個人の邸宅として作られた建物で、他のガウディ建築と比べると落ち着いた雰囲気だ。鉄製の竜はレオンで見たカサ・ボティネスを思い出させる。内部は有料で見学することができるが、ちょうど今日は定休日だった。入場料は12ユーロとカサ・ミラやカサ・バトリョと比べて良心的な価格だ。なお、ここまで見てきたカサ・ビセンス、グエル公園、サグラダ・ファミリア、カサ・ミラ、カサ・バトリョ、グエル邸は、まとめてアントニ・ガウディの作品群として世界遺産に登録されている。

歩行者天国の通りに戻ってさらに進みコロンブスの記念塔が見えると、海はすぐそこだ。停泊している大量のヨットを横目に見つつ、スペイン最後の晩餐を食べに向かう。

19時前に海沿いのレストランへ到着。ここへ来たのは最後に本物のパエリアを食べるためだ。

パエリアと水を注文。30.80ユーロ。アペタイザーにパンコントマテが出てくる。これが今までスペインで食べたパンコントマテの中で一番おいしかった。否が応でもパエリアへの期待が高まる。

そして注文してから20分ほどして大きな鉄鍋でパエリアが運ばれてくる。見た目からして最高だ。一口目を口に入れると、うまい、これはうまい。いつか巡礼中に食べた(恐らく冷凍の)パエリアとは大違いだ。テーブルについてくれた男性の接客も素晴らしく、最後に良いディナーをありがとうと彼をハグしたいくらいの気持ちだった。

19時半過ぎにレストランを出る。帰りのマドリード行きの列車は21時バルセロナ・サンツ駅発で、レストランから駅までは歩いて1時間かかるため、状況によってはメトロかタクシーを使うことも考えなければいけないと思っていたが、これなら歩いても間に合いそうだ。

1時間ほど歩いて20時半過ぎにバルセロナ・サンツ駅へ到着。荷物検査を通過して下のホームへ行こうとするが、乗車準備が遅れているのかホームへは降りられないようで、乗客達が上のフロアで列を作って待っている。結局ホームに降りられたのは出発の直前で、定刻から少し遅れて21時4分出発。

さすがに少し疲れていたようで、しばしば寝落ちしつつ、列車はほぼダイヤ通りの23時46分にマドリードのアトーチャ駅へ到着。乗客はみんな足早に列車を降りて家路を急ぐ。自分もスペイン最後の夜の余韻に浸るのもそこそこに24時半前にホテルへ戻る。この日は距離にして約35km、歩数にして44,000歩を歩いた。

少し小腹が空いたので部屋で3個目のタルタ・デ・サンティアゴを食べる。1時半に就寝。


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