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「明日のたりないふたり」を観た、たりない僕らの明日の話

2021年5月31日、たりないふたりの解散ライブである「明日のたりないふたり」が開催された。

12年前、当時はコンビの“じゃないほう”といった扱いをされていた南海キャンディーズ山里さんとオードリー若林さんによって結成されたユニットである。

これまで、TV番組やライブ通じて定期的に活動していたユニットが解散するというライブではあるが、コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言もあり、配信という形式で開催された。

配信を観た直後、あまりの素晴らしさに言葉を失い身動きがとれなかった。見る前は感想をnoteに記そうと考えていたが、僕の矮小な語彙力でこのライブを語ることが許されないような気がして、更新できなかった。
しかし、アーカイブで見逃し配信を2回・3回と繰り返し、色褪せないライブの素晴らしさを目の前に、筆舌出来ないこの感情を拙くてもいいから、どこかに残さなくてはいけないと感じ、このnoteを更新するにいたった。


そもそも僕はいつからたりないふたりが好きだったんだろうか、振り返るとオードリーのオールナイトニッポンを聴くようになったことから、たりないふたりの名前を耳にするようになった。
そこでの話に興味を持ち、ネット通販でたりないふたりのDVDを購入し、すぐに没頭することになる。
オードリーのオールナイトニッポンや若林さんの著書を読んで感じたように、自分の劣る部分をエンタメに昇華する二人の姿に、面白さだけでない感慨深さを感じ大ファンになった。



たりないふたりの長い歴史の中でも、2019年11月にみなとみらいで開催された「さよならたりないふたり」が、今もなお強烈に印象に残っている。
結成当時とは違い、お二人の実力は世間にも評価され、数々のMCを担い年間のテレビ出演本数も常に上位に入るようになった。私生活では山里さんは女優さんと結婚するなど、世間的に「たりない」と違うベクトルに進んでるようになった際に開催したのが「さよならたりないふたり」だ。

僕自身は現地のチケットは落選したが、ライブビューイングを海老名の映画館で観ていた。
このライブは、自分の人生の中でもっとも衝撃的なライブだった。
事前打ち合わせなしで、舞台上で駆け回る二人の姿に、笑わせていただくのはもちろん、後半には思わず涙するくらい感動させられた。
身分不相応にお二人の姿に自分を重ねている僕は、お二人がたりない自分を脱却しようとする姿に、勇気をいただいた。
笑えて泣けて勇気をくれるライブを、身二つで体現するお二人の天才性にただただ脱帽だった。


そこから2020年に春・夏・秋と三部作で放送され、本来は“冬”で漫才を実施するはずだったが、コロナウイルスのご時世の関係で開催が延期され、今回の明日のたりないふたりにつながるのだ。



前述のとおり「明日のたりないふたり」の感想は、筆舌しがたい素晴らしいものでしかなかった。
漫才というフォーマットを取りつつも、後半はお互いの独白劇と姿を変えた。

さよならたりないふたりで“たりない”からの脱却を謳った彼らが、一周回った結果、たりない自分たちを受け入れて“明日”へ進んでく、そんな「覚悟」と「旅立ち」を感じさせられた。

若林さんの規格外のボケと天才的な構成力に加え、山里さんのツッコミワードとそれに付随する反射神経に相も変わらず驚愕し感嘆せざるを得なかった。

重ね重ね言うが、僕は身分不相応に二人に自分を重ねてみてしまっている。この感情は憧れを含み上回る感情で、彼らに尊敬の念を感じるとともに彼らの成功に対し勝手に共に喜んだりしている。
そんな彼らがこのライブで、己の“たりなさ”を抱えた上でそれでも戦い続ける覚悟を魅せてくれた。

それを観た劣等感を抱えた僕らに、「自分もたりないままでもいいのかもしれない」って思わせてくれた。
たりないのは僕だけじゃない、活躍するお二人もたりなさを抱えていて、その二人を観て自分のたりなさを受け入れることができたが僕だけじゃなくて、他にもたりなさを抱えて生きている同志がたくさんいることを教えてくれた。
たりてる世界に行ける都合のいいヘリコプターなんてものがないってことも、身をもって観してくれた。

たりないふたりに感化された“明日のたりないふたり”が、さらに“明後日のたりないふたり”を生んで、たりない人間たちの二万人を超える循環が生まれて、自分自身もその循環のなかで足りない奴らと一緒に、たりなさを抱えて共に生きていくんだ。
あー、たりなくて良かった・・・。



最高のライブだったが、たりないふたりの解散は、正直に言えば悲しい。
けど、僕らはそんなに絶望する必要はきっとない。
だって、「たりないふたり」の名前を冠していなくたって、山里さんと若林さんが二人で話してくれれば、テレビだって、ラジオだって、ライブだって、他のコンテンツだって、それが夜中の公園だって、最高に面白くて、最高に感動できて、最高に勇気をくれることは、たりない僕らが一番よくわかっているから。
二人がそろって活躍してくれることが、僕らの明日の希望になり続けるのだから。

そしていつか、たりないふたりが復活したら、何年後・何十年後かわからないけど復活したら、会場に脚を運びたい。
もしかしたらその時には、歯がないくらいおじいちゃんになってるかもしれないけど、そん時は客席から「たりないふたりは最高だ」って、二人に伝えたい。



お二人のおかげで、たりなさを抱えながら生きていける。
本当に、心から、ありがとうございます。と伝えたい。




え?ライブの感想に乗じて自分語りが長いって・・・?

クローーーーーーーズ!!!

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