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五月と摂食障害と放出(注 嘔吐の話ありです)



実家は北国にある。そこでの五月の気候は、今住んでいるところだと、四月くらいだろうか。とても好きな季節。

温かな地面は、草木との境目が曖昧になる。木々は新しい緑を吹き出し、少しだけ膨らんだ山は、空と溶け合う。そんな中にいると、私は、自分が空気と交じりあえても、いいんじゃないかなと感じた。

摂食障害だった。
たくさん食べて、食べたものを全て、トイレの便器に出したあと、私は二階の自室の窓から、屋根の上に上がった。からだの中が空っぽで、私は誰よりも正しく、誰よりも嘘つきじゃないと考えていた。

空っぽのからだに、ビールを入れた。酔えば、明日と明後日とその後も、昨日もこの前もあの時も、怖くないから、もう少しなら大丈夫と思えた。

ところで、摂食障害は治りました。
でも、ゲロみたいに、目に見えるものを身体から放出したいと思う時がある。放出したあとに、ざまあみろと言えるようなものを、身体から、出したい時がある。
それは、ドロドロとしたものであってほしいんです。

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