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秋川雅史コンサート2023.3.4

さいたま市で開催された秋川雅史さんのコンサートに行ってきました!そう、あの「千の風になって」の秋川さんです。私の母はイタリアの歌曲とかが好きで各種コンサートにもよく行っていたのですが、最近めっきり出歩くことが減ってしまったので連れ出す意味を兼ねて行ってきました。結果、母も楽しんでたようだけどそれ以上に自分が楽しんできました!

秋川さんがテノール歌手だというのはうすぼんやりとわかってましたが、私はふだんオペラとか聴かないのでいろんな"初めまして"があって楽しかったです。そんなふうに今回ステージを観に来る人たちはオペラに詳しくない人たちばかりだろうとバレていたのか、秋川さんのMCではクラシックやオペラなどに関する初歩講座のようなお話がたくさん。わかりやすかったし勉強になりました。そしてそのトークがとにかく面白い!なんとなく二枚目風で売ってるけど実のとこコメディアンみたいな人なのかなあと思いました(個人のイメージです(笑)。

そして今回のステージは秋川さんだけでなく、ソプラノ歌手のオクサーナ・ステパニュックさんも出演。彼女はウクライナ出身の方らしいのだけど、最近日本に来た訳ではなく、ずっと日本で活動されてる方らしいです。てことでまず一曲目は秋川さんの独唱でステージがスタート!(ちなみに伴奏は小島さやかさんによるピアノ)。

と、独唱が始まってまず私がびっくりしたのは秋川さんがマイクを使わずに歌唱している、ということ。オペラ歌手のコンサートってこうなのか!と初めて知りました。言われてみればオペラっていうのはマイクなんて発明されてない中、いかに広い劇場隅々まで歌声をとどろかせるか、ということに重点をおいて発展してきたのだろうと思います。だからあれだけ身体を楽器にしたかのように大きな声を出すようなテクニックが生まれたのかなあと。

そんなのっけからびっくりの独唱の後は秋川さんのMC(MCではマイクを使っています)。そこで、オペラ歌手のパートには6つあって、男性はバス・バリトン・テノール(低→高)、女性がアルト・メゾソプラノ・ソプラノ(低→高)との説明が。自身はテノールだけどテノールは音が高くなっても声を裏返しちゃならないとか、女声では一番低いアルトもイタリア語では実は"高い"という意味であって、ソプラノの声はそれより二段階も上なんだとか。まさに身体能力の限界まで挑まないと出せないような…ソプラノってそんなものすごい技術らしいです。

そういった解説のあと、ソプラノのオクサーナさんがものすごくゴージャスな花柄のドレスを着て登場!そこでまずは独唱を披露しました。まあ~ドレス姿が美しくてそれだけでウットリでしたが、歌い始めてまたびっくり!これがめちゃくちゃ美しい歌声なんです…!もう自然と涙が出て来ちゃいました(;_;)彼女は二部(後半)に「落葉松」という日本語の曲も独唱していましたが、日本語の発音も素晴らしく、日本の美しい自然が頭に浮かぶようなステージで本当にすごいな、と思いました。

続いてはオクサーナさんと秋川さんとで「椿姫」から2曲をデュエットで披露!秋川さんは開襟の白いシャツに黒いスーツでしたが、ジャケットの裏地が赤色なのがたまに腕をあげたりすると見えました。それが後半は真っ赤なシックなドレスに着替えたオクサーナさんと合っててすごく良かったです。ちなみに私は「椿姫」のタイトルさえ知っていても曲とかほとんど知りません…

先ほども書きましたがそういうオペラ初心者の客がほとんどだろう、ということを想定してか、「椿姫」を披露する前に秋川さんはこれからやる歌のざっくりした流れや内容を説明してくれました。なので「なるほど、ここはそういうことなのかー!」と思いながら歌を聴くことが出来ました。一部(前半)の最後は引き続き「椿姫」からの曲で秋川さんの独唱。これまた素晴らしかったです。

ここで15分間の休憩をはさんで後半がスタート。二部の1曲目はブロドスキー作曲の「Be My Love」。先ほども書きましたが真っ赤なドレスに着替えたオクサーナさんが美しい!私はあんまり着飾ったりすることに興味ないのですが(おおよそカジュアルなのしか着ない)、女性が美しく着飾るってこんなにも素敵なことなんだなあ~と思ったりしました。と、ここまでの曲はオペラ、という感じでしたが、続いての曲はなんと、「天城越え」!

後半のプログラムを見た時に「天城越え」って書いてあって「えっ?!」と一瞬目を疑いましたが、秋川さんも「そう思ったでしょ?(ドヤ)」という感じのMC。この曲は演歌ではあるんだけど、たとえばいまクラシックと呼ばれる音楽は今から400年前くらいから生まれたもので、100年も経てば今の演歌もクラシックになる、ということで広い意味で言えばクラシックなんですよ、だからこの曲をやります、みたいなよくわからない説明をしてました(笑)

また、日本の演歌では女性が失恋する歌が多いけれど、イタリアの歌曲ではまるきり逆で、男性が失恋する曲の方が多いそうです。そんな日本ならではの女の怨念がこもった(?)「天城越え」を秋川さんバージョンで情感たっぷりに披露してくれました。これが自然と間奏の間にも拍手がわき起こるような気合いの入った歌唱で良かったです。秋川さんはこの曲の持つ力について話していましたが、歌自体に力がある曲って確かにありますね。私も「天城越え」がテレビで歌われてたらつい画面見ちゃうもん。

それはその後に歌った「昴」も同じで、この曲は子供ながらにヤバい歌だと思っていました。谷村新司さんがこの曲を歌ってたらつい見てしまっていた記憶があります。そういう意味で言うと、秋川さんの「千の風になって」もやはり同じと思います。流れていたらついつい耳を傾けてしまう曲です。

さて、続いてオクサーナさんとのデュエットで「カタリカタリ」をやった後は最後の曲に。ラストはいよいよあの曲!「千の風になって」。この曲にまつわるMCがまためちゃくちゃ面白かった!どんな話かというと、昨年『世界の果てまでイッテQ!』というテレビ番組で、山のてっぺん(岩場!)で雄大な景色をバックに「千の風になって」を歌い上げる、というロケに行った、という話。

っていうかまず3000m級の山の頂上に行くために命綱つけて登らねばならないようなロケって…それはもはやオペラ歌手の仕事じゃなくね?と心の中でツッコミを入れた私でありました。山の上に着くまでは霧が立ち込めて周りが見えないような状況だったそうですが、いざ「千の風になって」を歌う段階になったらそれまで立ち込めていた霧が急に晴れたんだそう(!)

そして霧のせいで塞き止められていたと思われる風が、晴れたとたんバァーッと吹きわたったんだそうです。まさに歌詞の通り…!本当に歌を歌う10分くらいの間だけ晴れて無事撮影出来たそうですが、霧がさーっと晴れて行ったときに「俺ってモーゼ?」みたいな気分になったそう(笑)とは言え自分がその奇跡を起こした、というより「千の風になって」という歌の持つ力がすごい、というようなことをおっしゃってました。「千の風になって」、おそるべし…!

ということで本編は全て終了。続いてはアンコール!曲は「グラナダ」。明るく情熱的な歌をガツンと歌い上げました。血管切れそうなくらいのすごい歌唱だったし、もうこれで終わりだろうな、と思ったら、最後の挨拶に出て来たオクサーナさんと共にもう1曲!これはちょっとタイトルがわからないのですが、聴いたことのある曲で盛り上がりました!

歌う前に秋川さんがオクサーナさんにいろいろ話しかけていたので、おそらく2回目のアンコールは前もって決まってたわけではなかったんじゃないかな、と思います。このデュエットでの歌唱も最後の最後まで全身全霊、という感じのパフォーマンスで、さらに二人手をとりちょっとダンスをするなど非日常感にうっとり。お二人とも本当に素晴らしかったです!(*’ω’ノノ゙☆パチパチ

…というわけで、秋川雅史さんのコンサート、とっても良かった!帰り際、いろんな人の感想が聞こえてきましたがみな口を揃えて「すごく良かったねー!」と言っていました。オペラってすごく敷居が高くて自分とは別世界にあるもの、という感じですが、秋川さんみたいな人がいるおかげで橋渡しをしてもらえる感じ。また機会があれば秋川さんのコンサートも観に行きたいです。

と、そうだ!「千の風になって」で奇跡が起きた話がありましたが、このコンサートを見た帰り道、ふらりと立ち寄ったお店でもう10年くらい音信不通というかどうしてるかわからなかった知人にバッタリ出会ったのです!その知人はそのお店にたまたま初めて入ったそうで、その後に私たちが入ってきたという…こんなことってあるのね!と思いました。これもまた「千の風になって」パワーかも?

ということで以上、秋川雅史さんのコンサートに行った感想レポートでした!

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