つい先日、28歳になった。

学生の頃、就活に失敗して崖っぷちのころ、家しかないしがないフリーターとしてかけ出したころ、28歳にどんな自分になってるかは想像がつかなかったし、もしかしたらこの世にいないかもしれないとも思った。

学生の頃、同級生だった友だちは立派に正社員として働いていて、中には結婚して子どもがいる人もいる。同窓会やOB会の類には行きづらくなっている。

「今何してるの？」

その一言が怖かった。フリーターとして夢がある訳でもなく、けれどもレールにも乗ってない自分には鋭利な言葉だった。いまもこの言葉は苦手だ。なんでもいいじゃん、放っておいてくれとも思う。

就活から逃げ、面接から逃げ、28歳になってしまった。アラサーだ。もう若くないと思う。若さとは価値だと思う。減価償却されてなくなってしまう価値だ。28歳、私の若さはもう減価償却されしつくされたのだろうか。

若さという価値の代わりに、色々なものを人間は得ていくらしい、お金、経験、知人友人、私は何を得られたのだろうか。幸い知人友人には恵まれたと思う。だが、果たしてそれ以外には何を得ただろうか。若さと差し引きしてマイナスではなかろうか。

安定したパフォーマンスを出せない心身を引きずりながらなんとかもがいて生きている。歳をとり、弱音も吐けなくなった。

「お前は壁を作ってる」

長年の友人にこう言われた。見抜かれていると思った。いつからかマイナスな感情に蓋をする癖が抜けなくなってしまった。怒りや悲しみ、何くそと思う気持ち、震えてしまうような気持ちを心の奥にしまい込んでしまった。自分が苦しいこと、つらいことを表明していい場でさえもできなくなっていた。

何くそ、つらいことをバネにして頑張ることが昔から苦手だった。つらいとそのまま凹んでしまう。エネルギーの変換の術がわからなかった。

フリーター、親戚の家住み、持病ありの28歳だ。なんで生きてるんだろうとは思わないが、未来には暗い気持ちを抱くことが多い。

じゃあ、生きていたくないのか、そんなことは決してない。

たくさんの人と出会った、かけがえのない友もできた、愛する家族もいる、ないものばかりに目を向けるのはあまりにも失礼だ。

やりたいこともある、大それた夢はないが小さな目標もある、まだまだ道は長い。まだ前を向いて歩いていきたいと思った。

辛いことも悲しいこともたくさんあった、これからもたくさんあると思う。でも嬉しいことも楽しいこともたくさんあった。これからもきっとそうだ。

日本は終わりみたいな言説もある。個人的には嫌いだ。ネガティブなことを考えてもきりがない。ぼんやりと未来は良くなる、そう思っている。

惨めに見えても、もがき続けても、未来は良くなる、そう思っていきていく。