見出し画像

光州の永遠の少年

傷心のRMくん。そしてj-hopeくんの気丈さがRMくんを見てわずかにふにゃっと緩んだのを見たら、

うわあ〜……こっちの涙腺もダメだ〜〜……

BTSのj-hopeくんが従軍する。この日に至るまでの間に、j-hopeくん、考え得る全ての出来ることを全部詰め込んでやりきったんじゃないか…画面の中の彼を見送って、わたしの中に残された体感は、これより上はないというような、見事な「やりきった感」、それにじんわ〜と打ちのめされている感じだった。そして、「自分自身である」ということにおいてプロ中のプロであるRMくんとj-hopeくんが、カメラがあっても、互いの前では気丈にできないところに、改めて稀有な関係性だなあ…と思って…

この人の前では、鎧が解ける。
わたしたちの目に見える以外の場所で、そのことが互いを、同い年の2人を、どれだけ救ってきたのか…。想像してみると、それは奇跡のように美しい。

すっかり短くなった髪のj-hopeくんの写真。それを見たわたしは、「こんな小学生に、昔、光州で会ったな…!」という、実際には無いはずの思い出を、脳が捏造して、懐かしい気持ちになっていた。なんだこれ。謎の初体験。なんか、なんかこう、やんちゃで、ピュアな好奇心いっぱいの、少年「ホソガ」が、オーバーラップしてダブって見えるような、それを知ってるような、気持ちになるんだよ…!なんか、彼の内面のなんかを、あの髪型は浮き立たせるんだな…j-hopeくんの中の、永遠に老いない部分だろうかな…。

SUGAくんの眼前で誇らしい弟であり、弟たちの前で揺るがない兄としているj-hopeくんが、RMくんの前でだけ少しだけ、ナイーブで。RMくんは、等身大でいるヒーローみたいな感じで。なんだかそれが、わたしにはむちゃむちゃ格好良くて。

そしてそれ以上に、大きなものに蓋をされて自分の言葉を奪われることが、切なく、苦しかった。彼らも。わたしも。

あの場所にジンくんがいたことは、事前に公開されていた写真で知っていたから、「ミリタリーサービス」真っ只中のいでたちで動くジンくんにお出になられたら…どうしよう、うわぁぁあぁ!…と、そわそわしてたら、きちんとプロが、映り込まないように、画角を配慮していた。ジンくん自身も自分が映り込まないように協力してたのかもしんない。どういう形であれ、可能な方法で、可能な限り最短で、あの瞬間をわたしたちに共有しようという、事務所の考えが、素晴らしく有難いと思いました。ありがとうございます。もしかしたら…ジンくんも映ってる別のカメラが、実は現場にはあって…許可が降りたら後日公開してくれるのかもしれないし…。…。うーん。やっぱり動画だとダメなんかな。

ところで、前から薄々思っていたことがあって。これに共感してくれる人は限りなく少なそうな気がするが。わたしは兵役直前のj-hopeくんのweverse live(2023.4.14)を見ながら、「彼の精神状態は、出産間際の妊婦さんと、類似するものがあるといえるのではないか…」という、気がしていた。わたしは助産院で出産したのだけど、そこでは「MAGIWAのクラス」という、妊婦さんたちのクラスがあった。「MAGIWAのクラス」、出産予定日を間際に控えた妊婦さんのためのクラス。人形を使って出産のシュミレーションをしたり、みんなでカツ丼食べたりしたんだけど、そこに集うお腹がマックスの女性たちは、ある意味極限にナーバスで、ある意味ハイテンションで、自分の感情に嘘がつけない、剥き出しの、ものすごくピュアな状態だった。場を取り繕う、その場しのぎの表情や言葉を扱えなくなっている。誰かの不安に別の人が泣き出し、それを聞いて別の人が大笑いする。…と、こう書くと何だかカオスっぽいが、「この人間は自分とお腹の子供にとって、有害か無害か」を、生理的に判断する、ある意味最も本能にプロテクトされた、最強に生き物として純粋な、最も信頼出来る、最も安心できる人たちだった。

そこからの流れでわたしは、「兵役も育休に(ちょっとだけ)似てる…」という気がしていた。決して短くない期間、全然違う言語の、全然違うロジックの、全然違うシステムで生きる。人によっては数年、社会生活から離脱する。いや、違うと思うよ、そりゃ実際違うんだけど、でも生理的な気持ちの構造は少し似ているんじゃないか。ある日を境に、人生が全く変わる。その日以降、全ての優先順位が変わる。これで死ぬ可能性もある、と思っている。その体験する内容は、誰にどれだけ聞いても、体の真ん中で納得する答えを得られない。「案ずるより産むが易し」…誰が言ったか知らないが、本当に、それ以上に適切な言葉がない。

ある意味極限にナーバスで、ある意味ハイテンションで、自分の感情に嘘がつけない、剥き出しの、ものすごくピュアな状態。場を取り繕う、その場しのぎの表情や言葉を扱えなくなっている状態。誰かの通りいっぺんの返答や、調子のいい言葉や、裏表のある人間が受け付けられなくなっている状態。そういう、浅い、罪のない嘘が蔓延する社会にて、積極的に人に会えなくなっている状態。この期間に、ジンくんが毎日、j-hopeくんに電話をして、心情に寄り添っていた。ジンくんは誰かにそうしてもらうことが出来たのだろうか。彼は自分の経験から、j-hopeくんに「そうしてあげたい」と、多分思ったんだろう。

このことを、「何を持って行った方が良くて、何はいらないよ」というアドバイスと共に、j-hopeくんがRMくんにしてあげることは、何だか目に見えてありえそうなことに思えた。RMくんが「システムが違うから参考にならないかもしれませんが…」と言いながらSUGAくんにそうしてあげそうなことも、SUGAくんがジミンくんにそうしてあげそうなことも、ジミンくんがVくんにしてあげそうなことも、Vくんがジョングクくんに、色々伝えて、でもいまいち抽象的で参考にならなくて、結局ジョングクくんは話を聞かずに自分の考えで行きそうなところも、と、まあ、誰がどういう順番でかは分からないけれど、

そうやって、この人たちはお互いを大切に思いながら、出来るだけダメージが最小になるように、自分たちの持つ知恵の最高の部分を出し合って、お互いの大切なものを守り合ってきたのかなあ。

え、まじかジョングクくん…。ジンくんのお父さんって、そんなに…かっこいいの…そんなお父さんいる…??の…?????

ジンくん然り、j-hopeくん然り、同じタイミングで、近い場所で軍役する韓国の若い人たちにとっては、彼らの感じ方や新しいことの学び方や、言葉の使い方、心の使い方を目の当たりに出来る、他にないベスト機会なんじゃないかな…。学ぶものがめちゃめちゃいっぱいありそうだな…と、どっから目線だよ、って感じですが。会ったことないのに、BTSのメンバーが人格者で大人物である前提ですが。

髪を切ってまるで若返ってしまったj-hopeくん、あのきゅるっとした少年が、ああ、わたしは、本当に。まだ、実感できていない。

それではまた。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?