小澤が将棋を好きになったきっかけ(後半)

好きなひらがなは「て」、小澤です

さて続きです。

第二回将棋電王戦。

前年将棋ソフトの世界大会で上位に入った5つのソフト対現役プロ棋士が5対5の団体戦を行います。遂に現役のプロ棋士が出てくるわけです。

そして上位の5つの将棋ソフトの中には、あの米長邦雄永世棋聖を倒した「ボンクラーズ」から名を新たにした「Puella α」が名を連ねているのです。

人間か機械か

大勝負が始まろうとしているのです。

ソフトを作ってるのも人間。ある意味人間同士のプライドの戦いみたいなところもあるんです。もうやる前からバチバチなんです。

「Puella α」開発者の伊藤さんがいうわけです。『もうプロ超えてると思いますよ。名人にも勝てる』曖昧ですが確かこんなことを言う。それに対して塚田9段が「名人より強い、そんなバカなこと言うなよって思いますけどね」的なことをいい返すんですね!!定かじゃないけど雰囲気こんな感じ!

ばちばち

人間対機械、将棋を舞台にした世紀の団体戦

まず第1局:先手・阿部光瑠 四段 vs 後手・習甦

阿部4段が勝ちます

あれ?やっぱりプロ棋士強いじゃん。将棋ソフトに負けるわけなんかないやん。やったやったー。

しかし続く第2局:後手・佐藤慎一 四段 vs 先手・ponanza、第3局:先手・船江恒平 五段 vs 後手・ツツカナ

将棋ソフトの二連勝になります。一勝二敗。あっという間に次負ければ人間側の負け越しが決まるとこまで追い込まれるのです。

そして第4局。米長邦雄永世棋聖を破った「ボンクラーズ」改め「Puella α」と塚田泰明 九段 がぶつかることになります。

開発者の伊藤さんに食ってかかった塚田泰明 九段。ばちばちです。人間にとって負けられない一戦。

しかしいざ始まると形勢は思ったようには進みません。塚田9段にとって苦しい将棋です。後、塚田9段は心折れる瞬間があったと語っています。でも団体戦。他の棋士の思い、プライド、プロとしての意地。自分から投了はできなかった。そして終盤粘りに粘った塚田九段は持将棋と言う引き分けに持ち込むのです。この対局について書かれた本を見たことがあります。将棋はわかる人から見たら決して美しい指し方ではなかったそうです。泥臭く次にバトンをつなぐために地を這う思いで掴んだ引き分けだったのです。

そしてこの対決が終わって塚田9段が涙するんですね。

それを見てかっこいいなと。冷静沈着な人達の集まりだと思ってたら、こんな熱い気持ちで将棋と向き合ってるんだなと。将棋のなにも知らない小澤にも響いてきたんですね。正直僕がそう思ってるだけで本当の理由は知らないです。でもいろんな思いを持って勝負に挑んでる、その人間に将棋の奥深さを感じて好きになったんです。

勝負は第5局。一勝二敗一引き分け。勝つしかない。

そして最後いよいよここで、その年10人しかいない超天才エリート集団A級の一人、三浦弘行 八段 が出陣します。

トッププロ棋士が将棋ソフトと戦うわけです。

相手はGPS将棋、当時世界一の将棋ソフト。一秒間で約2億8000万手読むらしいです。もう壊すしか勝ち目ないんじゃね?

そして決戦

三浦弘行 八段が破れるのです

人間対機械、機械に軍配が上がるわけです。将棋ソフトはプロ棋士を超える。その言葉が現実になった瞬間でした。

今でこそ将棋ソフトが強いのは当たり前の話ですが、当時プロ棋士が負けるなんてまあないだろうというのが定説でプロ棋士本人達もそう思っていたらしいです。ただ多くのプロ棋士の中で「いつか将棋ソフトに負ける日が来る」と断言していた人が二人いたそうです。一人が羽生善治。将棋と言えば羽生さんのあの羽生さん。そしてもう一人が当時の名人森内俊之。この二人はいずれ将棋ソフトがプロ棋士を超えていく未来を見ていたそうです。先を見る力を証明するようにその年の将棋最高峰のタイトル、名人戦をこの二人が戦うことになるんです。

負けるとわかっていた人達だからこそトップで戦えているってすごい話だなとワクワクしたのを覚えています

以上が僕が将棋を好きになったきっかけです。ほんと何も知識なく嘘言ってる可能性もありますので雰囲気だけ楽しんでください。

なんか書いてて「ヒカルの碁」を思い出しました。囲碁の漫画。あれすごいのが囲碁全然知らなくてもめちゃくちゃおもしろいんですよね。人間模様だったり成長していく過程があって。全然知らないのおもしろい。将棋電王戦にはちょっと似たようなものを感じました。

長文ながら読んでいただきましてありがとうございました!

ちなみに加藤一二三さんは「将棋ソフトとどうやって戦いますか?」と聞かれて「機械は熱に弱いからストーブで炙ります」と答えてました。まじ偉人。

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