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香り、魔法のような

目には見えないのに、確実に存在していて
生き物にとって大きな役割を持つ「香り」が面白くて、かれこれ10年以上、エッセンシャルオイルにまつわる仕事をしている。


香りの事をエッセンシャルオイルって言うの?
アロマオイルとどう違うの?
という問いかけに、ちょっとだけ。

エッセンシャルオイル…というのはカレーに使う種や実などのスパイスをはじめ、花やハーブ、根っこや果皮など植物の特定の部位にこっそり潜む、香りのする揮発成分。本来天然100%のはずで、大抵は5~15mくらいのサイズでボトリングされている。

例えば15mlのクローブのエッセンシャルオイルを採るにはおよそ900gのクローブの蕾が使われるし、15mlのペパーミントなら1.3キロの葉が必要。たった 5mlのローズオイルを採るには1万輪の花が要る。濃縮されてるから1滴がとってもパワフル!

ネパールで見た光景。
ウインターグリーンという
植物のエッセンシャルオイルを摂るために
毎朝、村の女性達が30キロの葉っぱを運ぶ



香りさえついていればアロマオイルと名付けることができる石油などからできた合成香料とは異なり、天然のエッセンシャルオイルは分子も非常に細かく、鼻腔を通って脳関門を通過し、0.2秒で脳の「大脳辺縁系」というところに届いて刺激する。


その大脳辺縁系は、生き物が生き物らしく在るために必要な「意欲、記憶、情動」などを司っている。人間の五感のうち鼻から香る嗅覚の刺激が最も速くまっすぐに、この大脳辺縁系に届くと言われている。

目を閉じてハーブの香りを嗅ぐと
心を一瞬にして草原へ飛ばすことが可能なのは
正確に言えば、小さな頃に出かけたピクニックの「記憶の場所」へ0.2秒で旅しちゃうからかもね。

カレーの学校27期で訪れた
南三陸のさんさん館。
昭和初期の小学校を改装してつくられた。
ある日の授業参観を思い出す懐かしい香り!



残りの四感覚(味覚、聴覚、視覚、触覚)は合理的で分析的な思考や言語機能を司る「大脳新皮質」という場所をまず刺激してから、やがて大脳辺縁系に到達するのだそう。

大脳新皮質が言わば、「人間が人間らしく在るための機能を持つ場所」といえるとしたら
大脳辺縁系は「生き物が生き物らしく在るための、本能を司る場所」

つまり、香りを楽しむということは、生きる力そのものを鍛える事、ともいえるかしら。

ふいに懐かしい気持ちになったり、日々の喜びや悲しみなどの感情を素直に表現するお手伝いをしてくれる「自然の香り」は、心と体のつながった本来の健やかな状態にちゃんと人を導いてくれるよなって想う。

我が家のボンジュール・ドッグ達
ご飯の香りがするとすぐパトロールにやって来る
さっきまで寝てたのに!
生きるチカラが凄いよ。いつもクンカクンカしてます。

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中世のヨーロッパにいたと言われる魔女達は
きっとハーブやエッセンシャルオイルが人に及ぼす効能を細やかに熟知していて、良くも悪くもそれを巧に操ったのだろう。


大昔の中東では
砂漠に囲まれた土地で育ったアラブの民にとって「星と香り」は生きていくために
なくてはならないものであった

そんな時代もあったんだって

電気や交通手段も発達していない時代
人々は、季節によって、時間によって
輝く場所の変わる「星」を観察することで
真っ暗な闇が広がる砂漠の中でも
今いる自分の居場所を確認し

星が見えない昼間には
砂漠の中で自分の進むべき方角を見つけるために
風の運ぶ街の香りが
大切な手がかりだったのだと

香りにまつわるお話は
古くから伝わる神話や聖書に
たくさん出てくる


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世界は広くて、私にはこれからまだまだ行ってみたい場所がたくさんあるけれど
これまで出かけた国のほとんどで
香りを楽しむ文化が食べ物の中にも
生活の中にも根付いているのは、 

香りが
目には見えないけれど、確実に在って
人に寄り添い勇気を与え、人生を豊かにしてくれるものだからだろうな。

カレーが世界中にあって
多くの人に愛されているのも、
美味しさと、
きっとその香りの魔力によるもの
なのだろうな。

少なくともカレーは私の人生を豊かにしてくれている

いつも私を幸せな気持ちにしてくれる
これからも、ずっとそばにいてほしいもの


今年もいっぱい楽しかった!!


テーマ曲は あいみょん
「青春と青春と青春」

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