そのSEOは、なんのため?~SXO的SEOの実践手法~1/3

前々回にSXOの考え方をお伝えし、前回は今後のSEOについてお話しました。

今回は、SXOの視点をもった、2020年以降のSEO手法についてのお話です。
『ライティング(文章の中身)』を主軸に、どんな文章にしたら良いページだと思ってもらえる(≒検索順位が上がる)か? みたいなお話をしていきます。

・これをやっとけ!(このページで解説)
これはやっちゃだめ!+対策方法別のページで解説)
・小ワザ
別のページで解説)
長くなってしまったので、上記の順番で切り分けてお話していきます。

YMYLとE-A-Tの概念を知る

今さらその話? と思うかもしれませんが、初見の方に説明します。

YMYLとは
Your Money Your Life」の略。Googleの品質評価ガイドラインというものがあり、そのなかで定義されています。
直訳すると「あなたのお金、あなたの生命(人生)」みたいな感じです。意味もけっこうそのまんまで、要するに「人々の幸福、財産、健康などに関わる領域」のことを示していて、「この領域って、大事だよね! だから、厳しく審査するね!」というような内容です。

右肩が痛いのを治したくてGoogle検索したのに、「霊が憑いているかも」とかいうページが最上位に表示されたら「ふざけんな」って思いますよね。
あるいは、緊急度の高い症状だったのに、Webページのウソを信じて診察せずに重症化……なんてことになって、健康を害するかもしれません。

このように、引き起こす影響が大きく、社会的に負う責任が大きい領域を医療分野だけに限らず、投資や経済に関わる情報、最新ニュースなどにも当てはめてYMYLとして定義しています。

E-A-Tとは
Expertise(専門性)
Authoritativeness(権威性)
Trustworthiness(信頼性)
の、頭文字を取ったもので、これもGoogleの品質評価ガイドラインのなかで言及されています。
人々に重大な影響を与えるYMYL領域では特にE-A-Tが重視され、「E-A-Tがちゃんとできてるな」って評価されると、Googleからの覚えが良くなる、みたいな感じです。

ほとんどがYMYLに当てはまりうる
かつては限られた領域だったのですが、ガイドラインの改定により、だんだんとYMYLである、とされる領域は広がっています。

最近では、政治・宗教や、ヘイトスピーチや人種差別などに関する項目も盛り込まれています。たしかにこれらも、誤った情報が出回ると大ごとになる領域です。

今後もYMYLで定義される分野は広がり、E-A-Tが重視される領域は増えていく、と考えられています。
少なくとも、めちゃくちゃニッチで狭い趣味の領域、とかでない限り、何でもかんでもYMYLと認定される可能性があるわけです。
そりゃそうですよね。社会では、お金や人生に関わらない事柄のほうが、むしろ少ないのですから。

おそらく今後、Googleはこれ系の話題で、審査をユルくすることはありません。だからこそ「今さら、またYMYLとE-A-Tの話?」と思わずに、定期的にガイドラインと向き合うことをオススメします。

とりあえずE-A-Tやっとけ! できないところは、できないなりにやっとけ!

ほとんどの領域でE-A-Tの考え方が必要になっている、少なくとも将来は必須となってくるだろう、ということがわかりました。では、E-A-Tの具体的なやり方を見ていきましょう。

Expertise(専門性)

これは、そのページで扱っている内容の専門性が高いか否か、ということです。
例えば、「文房具全般」について解説しているページと、「ハサミだけ」について解説しているページがあると仮定します。
「ハサミだけ」のページのほうが、「ハサミに対する専門性」は高いですよね。
このように、文房具のなかでもハサミに特化させることで、ぼんやりした内容ではなく、「ハサミに関する専門的な情報」が集められそうなページになるわけです。

自社の商品を売りたい人とか、ページへ集客したい人って、人が少なかったり注目されなかったりすると怖いから、どうしても「何でも盛り込もう」としてしまいます。
ですがそれは、逆効果。

例えば、あなたが「今すぐ、どうしてもハサミが欲しい!」というとき。
【A】「文房具全般について」のページ
【B】「ハサミだけ」のぺージ
AのページとBのページ、どちらが有用でしょうか。間違いなく、Bの「ハサミだけ」のページです。では、ボールペンが欲しかったら? マスキングテープが欲しかったら? 定規が、コンパスが、スティックのりが、カッターが、ガラスペンが……このように、あらゆる「もし〇〇が欲しかったら?」という勝負で、文房具全般のページは負け続けてしまうのです。

思い切って範囲を狭めたほうが、結果的に効率よく成果を出せる、ということもよくある話。少なくともGoogleのガイドラインでは、専門的なページのほうが良いページである、とされています。

専門性を出すのが難しいと感じても、意外と特化できる
「特化できるような、これで勝てる! みたいなジャンルはないよ……ウチは広く浅くだよ……。」と、いう場合は。

そんなときは、少ないページで全部説明しきったり、商品を掲載しきったりするのではなく、細分化し、ジャンルごとに細かく分けたページを作ることをオススメします。
1ページ1メッセージ、というような言葉もありますが、1ページ1ジャンルに絞った、特化型ページを心がけましょう。

マーケティングの基本は、「狭く、深く、強く刺す」こと。ニッチで、分野が狭ければ狭いほど、たどり着いてくれた人は「私にピッタリだ!」と思ってれて、行動率が上がります。恐れずに特化してみましょう。

Authoritativeness(権威性)

これは特に、医療関係でGoogleが言及していました。
対象となるページに書いてある内容が医学的に正しいかどうか、Googleでは……少なくとも、検索エンジンのAIでは、わかりません。
そこでGoogleでは、「内容が正しいか」を判断する前に、「誰が言ったか」を重視する方針を採用しています。

名もなき素人が「なんか、この方法が肩こりに聞くらしいです」みたいなことを言っているよりも、国家資格を所持している人が「この方法で肩こりが軽減します。」って言っていたほうが、効く感じがしますよね。

信憑性のある情報なのか。それとも、趣味でだべってるだけなのか。それらを明確に切り分けるのが、権威性の有無
だからこそ、匿名の「A医師」とか「医師のBさん」とかではなく、所属している病院名と本名と専門分野を示したほうがよいです。

そしてこれは、何も医療分野だけに限りません。もしYMYL領域を扱うなら、専門家をバックにもち、顔と名前を出してもらうことは、もはや必須でしょう。
ページに関連する分野の第一人者とか、何か権威のある人に直してもらうことで、「素人がやんややんや言ってるだけ」から、「ちゃんとした人が見てくれた、間違いない情報」になります。
サイト監修に付いてくれている人をまとめたページを作るとか、または、ページごとに監修者の名前を入れるなどすると良いでしょう。

都合よく権威者が近くにいない場合
自分のまわりに、ページに関する権威をもった人がいない場合にどうするか。

まずは、探してみてください。意外と権威者は近くにいます。きっと会社の会計の人は簿記の資格をもっているでしょう。思わぬ免許や国家資格、アマチュアの認定資格、大会での優勝記録を保持している人もいます。まずは、「いない」と決めつけないで、自分の近辺を探ってみましょう。

やっぱりいなかった場合は、取材を試みましょう。権威がありそうな人に取材を依頼し、名前を載せることの了承まで取ります。もちろん、金額が発生するかしないか、そのやりとりも含めて行います。

場合によっては、自分が権威者になることもできます。詐称はもちろんNG。だから、本当に資格を取ればよいのです。ページの監修者になるために金融関係の資格を取っている人がいて、正直、すごいな、と思いました。
私自身も、マーケティングに関連した資格をいくつか所持しています。

権威性については、扱っているジャンルによる振れ幅が大きすぎるし、場合によっては不要なこともあります。医療や金融・投資関係はマスト、それ以外は場合によりなくてもよいかもしれません。

Trustworthiness(信頼性)

これは、そのページの情報が、ユーザーにとって信頼できるものであるかを評価する項目です。
信頼性があるか否かも、先ほど権威性の項で少し言及しましたが、「素人がやんややんや言っているだけ」と「間違いない情報」を切り分けるために重要な項目。

大事なのは、非匿名性一次情報です。

非匿名性は、文字の通り、匿名でないこと。すなわち、その情報を書いた人が誰であるか、何者であるかを示しているものです。
権威性の項でもお伝えしたように、匿名の「A医師」とか「医師のBさん」とかではなく、所属している病院名と本名と専門分野まで示す、といった具合。
私の場合は、簡単な職務経歴を自己紹介ページに載せています。

次が一次情報

「この石鹸を使った人が、なんか良いって言ってましたよ」
「この映画、なんか知らないけど★3くらいっぽいですよ。見てないけど。」

上記のようなレビュー、信じられるでしょうか。これらは、実体験を伴わない精度が劣った信頼性に欠ける情報です。

「この石鹸を使って、とても良かったです。少し匂いがキツめだけど。」
「この映画を見たのですが、正直、微妙でした」

上記のような、生の体験から生まれるのが一次情報。
〇次、というのは、その情報をもっている人に「どれだけ近いか」を表しています。一次情報であれば、まさに「その情報をもっている人」ということ。

情報は伝達され、間に人が入るごとに劣化し、歪められていきます。解釈も変わっていきます。一次情報ですら「本人の言葉」によって伝えるほかなく、「生の体験そのもの」は伝えることができません。だからこそ、最低限、一次情報にアクセスできたら、信頼性はちょっとはあるよね。ということです。

匿名のままでいたい。一次情報をもっている人が近くにいない
まずは非匿名性について。何もかもさらけ出すのは、ネットリテラシー的にも難しいし、やめたほうがいい場合もありますよね。
前述のように、医者だとか、何かの専門家だとか、自分の名前や経歴で仕事をしている方は、危なくない範囲で出してしまいましょう。
それができない個人の場合は、例えば企業のページだったら、企業名やサイト運営会社を明記する、会社の所在地を書く、などすると良いでしょう。

アメリカやヨーロッパでは企業のWeb活動が日本よりも厳しく管理されており、例えばeメールで宣伝のメールを個人に送る場合、企業の所在地を書いておかなければならない、などの決まりがあります。
Googleのガイドラインも、こうした背景のあるアメリアやヨーロッパに準拠したものになっているので、企業の所在はいずれ把握されるもの、と割り切ったほうが良いかもしれません。
これは個人的な所感ですが、住所を出せないような怪しい会社を、検索から、ひいてはWeb上から排除したい、という意図もあると思います。

次が一次情報です。一次情報をもっていない場合は、インタビューや取材によって、一次情報をもっている人から情報を収集しましょう。
自社の人や知り合いに依頼して、実際に体験して一次情報を得てもらう。または自分自身が体験してみて、一次情報をゲットする、という手法も有効です。

簡単に一次情報が手に入らないなら、「一般的に信頼性の高いサイト」から引用するのも手です。
一次情報が無理なら、最低でも、「信頼できる二次情報」にしよう、ということです。
私のページでは、Googleのガイドラインのページから引用しています。
リンクして引用する場合、該当サイトの情報の利用規約的なものに抵触しないか、確認しておくことは必須です。

まとめ

・YMYLは審査が厳しい重要領域で、今後もいろいろな分野が取り込まれていく、と覚えておこう。
・各ページの専門性(E)、権威性(A)、信頼性(T)を高めよう。
・専門性を高めるために、特定領域に特化させ、ページを細分化しよう。
・権威性を高めるために、資格所持者や専門家に監修してもらおう。
・信頼性を高めるために、一次情報や専門家監修の情報を載せよう。

Webページも、だんだんと「物理的な書籍」が過去もっていた、「社会的な地位とそれに伴う責任」みたいなものを保有しつつある、と感じますね。

次回以降は、良かれと思ってやってしまうが、実際にはネガティブな影響を与える施策や、じゃあ実際にどんな文章にすればいいの? みたいな小ワザをお伝えしていきます。

それでは、みなさんに良きクリエイターライフがあらんことを。

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