そのSEOは、なんのため?~SXOってSEO対策になるよ、って話~

「SEO対策、これだけやっていれば大丈夫!」みたいな論が、かつては沢山あったのですが、今はあんまり見られません。

実際、そういう手法、やってみてどうですか? 検索結果の上位、維持できていますか?
Googleのアルゴリズムアップデートのたびに、右往左往していませんか?

ここでは、Googleの検索アルゴリズム変更にも負けない、強いページの作り方をお話します。

※今さらそんな話!? 遅れてない? みたいな「おさらい」も出てきますが、流れを理解できていると現状の課題や今後の展開が見えやすいので、あえて入れています。Web初心者にもオススメ!

結論:「検索エンジン向け」ではなく「ユーザーの検索体験」の最良化を考えて作る

↑これに尽きます。理解しきれた方は、OK! またね!

ちょっと手法とか経緯とかも気になる、という方は以下へお進みください。詳しく見ていきましょう。

基本理解:Web検索ってそもそもナニ?

まずは大前提として、基本の基本となる「そもそもWeb検索ってなんだ?」から。

【Web検索の基本的な考え方】
Web上に置かれたページには、検索エンジンに載せるか否か、というステータスが設定されています。

検索エンジンは「クローラー」と呼ばれる仕組みによって、web上に存在する、「載せてもいいよ!」という設定になっている全サイトの情報を覚えます。(まぁ、こう、Webを徘徊するロボットみたいなものをイメージしてください。)

そしてユーザーが、Googleなどの検索エンジンで単語を入力して検索ボタンを押すと、単語に対応した検索結果が表示されます。
検索エンジンはWeb上のほとんどすべてのページをクローラー経由で覚えているので、入力された検索単語に対して、表示するに一番「適している」と、「検索エンジンが判断した」ページを、順番に上位に表示します。
クローラーがページを収集し、検索エンジンが単語ごとに判断して検索結果を表示している、と考えてください。

基本理解:SEO(=検索エンジン最適化)とは

次に、SEO(Search Engine Optimization=検索エンジン最適化)について見ていきましょう。

【SEOの基本的な考え方】
検索結果は、表示するのに一番適していると、検索エンジン(AI)が判断したページが一番上に表示されます。二番目に適していると判断されたページはその次に。三番目はその次に……という具合です。
なるべく上位に表示されることで、ページへの訪問者数を増やし、ひいては成果を上げる。そのためにページを改善していく行為が、SEOです。
検索エンジンが判断しているので、検索エンジンに「このページは、〇〇という単語を検索したとき、表示するのに適しているな!」と、思ってもらえばよいわけです。
目標は、検索エンジンに「〇〇(自社や自分が上位になりたい=取りたいワード)では、このページが一番!」と、思ってもらうこと。
つまり、検索エンジンを対象とした対策を行ったり、検索エンジンが「何をもって良いページと判断しているのか」の理解と対応を行ったり、といった手法になります。

基本理解:SXO(=検索体験最適化)とは

基本編の最後は、ちょっと聞き慣れないかもしれない言葉、SXO(Search Experience Optimization=検索体験最適化)について理解していきましょう。

【SXOの基本的な考え方】
人が検索エンジンに単語を入力し、検索する理由は一つ。知りたいことがあるからです。
「右肩 重い 理由」みたいな単語で検索している人は、なぜその単語で検索したのでしょうか。答えは、「右肩く感じるから、その理由を知り、治したいから」で、ほぼ間違いないでしょう。

「治したい」というのは、検索者本人がまだ言語化できていないか、あるいは気づいていない「根本の欲求」のようなものです。
「右肩 重い 理由」で検索する人も、「右肩 重い 治療」で検索する人も、なぜそれを検索したかは同じ理由。すなわち「右肩が重いのを治したいから」です。

この検索単語に対して、さまざまな手法を使って自分たちのページを検索結果のトップに表示させたとしましょう。
だけど、自分たちのページに書いてある内容が「右肩くて、その理由を知りたいあなた! それはそれとして、この美容液で美肌になろう! 購入はこちら!」みたいな内容だったら、どうでしょうか。
「検索体験」は、最悪ですよね。普通に、〇スぞコラ、と思います。

そうではなく、検索単語に対してその検索理由を探り、最適なページ内容にすること。ユーザーの検索体験をより良いモノにするのが、SXOです。

目標は、検索したユーザーに「〇〇で検索して一番上のページを見た。このページが一番役に立った! 検索して良かった!」と、思ってもらうこと。そんなページの構成・内容にすることです。
つまり、検索しているユーザーを対象とした対策を行ったり、ユーザーが「何をもって良いページと判断しているのか」の理解と対応を行ったり、といった手法になります。
上記の例の場合では、「右肩 重い 理由」で検索した人の「根源の欲求」は「治したい」ことだから、ちゃんと自分たちのページに治療法を入れる、といった方法が考えられます。

背景1:悪質なSEO対策とアップデートのいたちごっこ

かつて、不適切なSEO手法がありました。たくさん。

例えばですが、まず「2000年 日本 芸能人」とかで検索してみましょう。次に、出てきたサイトに書かれている10名くらいの芸能人の名前をすべて入れて、Google検索してみてください。

スニペット(検索結果のタイトルの後に入る、ちょっとしたページ概要みたいなヤツ)が、とんでもないことになっているページが出てきます。↓

画像1

↑クソ雑モザイクお許しください。
要するに、2000年代前後の有名人の名前が、延々と羅列されまくっているページです。

これが、こっそりページの見えない場所に……白背景に白文字で目立たないように……metaなどの内部情報に……ビッシリと書き込まれているのです。
芸能人の名前をとりあえず検索したら、A氏だろうとB氏だろうと……~Z氏だろうと、このページが必ず検索結果の候補に挙がります。なぜなら、芸能人の名前が全員書いてあるから。

でも、このページは実際には芸能人のことなど何も関係なく、ただ自社製品を売っているだけのページです。ページタイトルは「2020年なんとかランキング」と読めるのですが、ここは自動で「現在の年」を出しているのでしょう。今後、西暦何年に検索しても、常にその年の最新ランキングっぽく見える手法ですね。

こういう、検索体験を最悪にする手法を「SEOである」として、SEO業者が乱立した時代がありました。

これに対して、検索エンジン側(主にGoogle)は激怒。検索したユーザーも激怒……したと思います。多分。少なくとも、私は激怒しました。

Googleは対応策として、「悪いページ」と「良いページ」を区別する仕組みを作りました。
そして、それに対応するアップデートを行ったのです。
いわゆる「白黒アップデート」と呼ばれるもので、まず2011年頃にパンダアップデートが、次に2012年頃にペンギンアップデートが行われました。

例えば上記の、スニペットに大量の文字列を入れる、という手法は「リッチスニペットの悪用」等と呼ばれ、ペンギンアップデートで排除対象になっています(ペンギンアップデート以降、同様の手法はSEO的に効果を示さなくなりました)。

これら白黒アップデートの目的は2つ。
一つは、悪質なSEOを行っている無価値なサイトの評価を下げ、表示順位を下げること。
もう一つが、オリジナリティがある有用なサイトの評価を上げ、表示順位を上げること。

アップデートは段階的に進められ、現在では検索そのものの「コアアルゴリズム」に組み込まれ、日々進化している、とのことです。

背景2:SEO対策に終始するとアップデートに対応できない

同じページをコピペで量産したり、ほかのサイトを無断コピーしたり、関係ないキーワードだらけで中身がなかったり……そんな手法が、SEOとしてまかり通っていた時代が、確かにありました。それをSEOコンサルだとか、成果改善だとか言っていた人たちが、確かにいたのです。
白黒アップデートもそうですが、日本ではキュレーションメディア問題としてクローズアップされ、多くのサイトや企業がやり玉に挙げられてダメージを受けました。つまり、大小関わらず多くのサイトが、堂々とそんなバカげた手法に手を染めていたわけです。

ですが現在はもう、当時の手法はほぼすべて使えません。そのようなユーザーの体験を最悪にしてしまう行為が長く続けられるわけはなかったのです。

アルゴリズムの改変は、常に行われています。白黒アップデートのアナウンスはもうありませんが、個人的には、白黒の動物で「シマウマ」が残っているので、いつか「シマウマアップデート(ゼブラアップデート)」があるんじゃないかな、なんて思っています。
(あとはマレーバクとかシャチとか……。)

白黒アップデードがまた来るかはわかりませんが、常に検索アルゴリズムはアップデートされていくので、ユーザーの検索体験の質を落とすようなSEO対策は、やったとしてもいつか潰されてしまいます。
今はイタズラがバレていなくて、成果が上がったように見えても、いつかGoogleにバレてお仕置きされます。あまりにも悪質だとペナルティを食らうことがあり、ページ評価が下がるのは当然ながら、ヒドいときには検索結果から削除され、二度と検索で辿り着けなくなったりします。

ユーザーを無視したSEO対策は、労力と時間と費用が掛かるだけムダなばかりでなく、場合によっては不利益を被るため、やらないほうがいいのです。

だから、Googleの言うこと、おとなしく聞いて「いいページ」にしよ?

小手先のSEO手法がダメ、と言っているわけではありません。
例えば前述の「リッチスニペット」ですが、スニペット内に有用な情報を入れるなら、むしろGoogleからの評価は高くなり、検索順位アップにつながります。(と、言われています。)
例えば、売っている商品の値段を示したり、商品の画像をサムネイル表示したり、サイト構成を表示したり。ユーザーにとって、クリックするか否かを決める指標になるので、「検索体験を良くする行為=良いSEO≒SXO」です。

あくまでNGなのは、ユーザーの検索体験を悪化させる手法。むしろ簡単に小手先の改善でユーザー体験を良くできるなら、今すぐガンガンやっていくべきでしょう。

ちなみに、Googleは「どんなページを良しとするか」を、ガイドラインとして明示しています。

Googleのガイドライン

品質に関するガイドライン基本方針の、特に上部2つに注目してみましょう。

・検索エンジンではなく、ユーザーの利便性を最優先に考慮してページを作成する。
・ユーザーをだますようなことをしない。
引用:ウェブマスター向けガイドライン

当たり前じゃん、と思うかもしれませんが、Webにはこれがまったくできていなかった時期があることを、忘れてはいけません。そして今も、十分とはいえないでしょう。

このガイドラインを守るためには、考え方的には「SXO」が必要ですが、それが結果的に今後の「SEO」にもなっていく、ということです。

とにかく、Googleさんの言うことを素直に聞いて、いいページを作る!
Googleが考える「いいページ」、けっこう「いいぺージ論」としてしっくり来るし、納得感があると思っています。

一旦まとめ

・ユーザー不在のSEOは、アルゴリズムアップデートで台無しになる。
・SXOを考えたページを作ることが、結局SEOにもなっていく。
・Googleのガイドライン、守ろう!

当ページ最序盤の繰り返しになりますが、「検索エンジン向け」ではなく「ユーザーの検索体験」の最良化を考えて作りましょう。

Googleのアップデートは日々行われており、上記のガイドラインを満たすために進歩しつづけます。いつか、必ず実現します。だったら、最初から「Googleの思い描く、いいページの判断が完璧にできる世界」に居るつもりでページを制作しておけば、あとで困らないはずです。
どんなに画期的なSEO対策を発見しても、それがユーザーのためにならないと判断されたら、いつかは潰されてしまうのですから。

次回は、実際にページをどうしたらいいか? についてお話します。
しばし待たれい。

※その前に、SEO(&SXO)の現状課題に関するページを作ってしまった。

それでは、みなさんに良きクリエイターライフがあらんことを。

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