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インターンしたい大学生の背中押したら、休学までしちゃうし、泣きながら電話してきて焦った話。と、その終わり。

昨年7月に入って9ヶ月、私の右腕的に動いてくれた大学生さわーさんが、目指しているキャリアに向けて転職していきました。

で、これまで、私が登場するnoteを何度か書いてくれていたのですが、「やめるときは贈るnoteを1本書くわ!」とノリで言ってしまったので、このnoteはそれです。

ちなみに、これまで、私のnoteやSNSはさわーさんのご両親に見られていて、さわーさん通してコメントまでもらっていたので見られることを想定しながら書いています。あまりない感覚です。

入社・退社するメンバーへ、感謝と「またいつか!」の気持ちを込めて、NotionやSlackで手紙?を書くことはよくあるのですが、これをネットの海に公開することが正しいかはわかりません。笑



背中は押したけど、そこまで押したつもりはなかった。

さわーさんとの出会ったのは1年半くらい前。将来のキャリアについて悩んでるとか、企業でインターンがしたいとかで連絡もらったんですよね。

で、熊本で学生インターンの採用をしてる企業を複数紹介しました。(優秀な人そうだなーと思ってたので、弊社でのインターンの話もした気がしますが、その時は反応薄かった記憶。)

それで彼女は、あるベンチャー企業でインターンを始めるわけですが、勢い余って大学の休学まで決めてしまいます。

これ、予想外すぎて、本当に驚きました。

私は、大学生の間に企業でインターンのような働き方をすることに対して推奨派ですし、さわーさんに対してもそれを推したのは思います。

そもそも、その業種業界や職種での就業経験もないのに、就活で新卒のキャリア決めるのはリスクがありすぎると思うんですよね。

自分の特性・得意・不得意・相性のいい環境、企業や職種、すべてにおいて想像でしかなく「実際入ってみたら(やってみたら)、思ってたんと違った」があるかもしれないからです。私も新卒の就職先でそれがありました。

ただ、インターン始めるのとセットで休学までは勧めてません。笑

初めてのインターンで、まだそこまで働いてない状態で、休学まで決めてしまうって、前述した就業経験もない状態で就職先決めるのと近いと思っていて「思ってんと違った」が起こる可能性が大いにあるわけですよ。

「いやーーーー、休学まで決めてしまうのマジか。私、背中押しちゃったけど、、インターン先がミスマッチだったときやばくね??」と思いながら、始めた以上は、遠目で成功を祈るしかありません。



泣きながらの電話。

数ヶ月後、SNSを見ていると、「思ってたんと違った」が起こったようで、メンタルダウン気味な兆候。

これ、どんな環境でも相性の問題なので、一定数起こりますよね。

様子伺いのDMをしてみると、ちょっとさすがにやばそうな空気で、通話で話を聞くことになり繋いだら、めっちゃ泣いてるわけです。(そのときの話は、さわーさん自身もnoteに書いてます。

限界を迎え、信頼している今の上司に泣きながら電話しました。

話を聞きながら私の心の中では「うわぁーーーー、終わったーーーーー。やってしまったぁーーーー。これ、どう責任取るか?????」と考えが巡るわけです。

本人のフォローはまぁやるから良いとします。インターン先のミスマッチが起こってしまったときにどうするか?は提案できることがいくつかあるので。

ただし、休学も絡んで、メンタルダウンまでしていると話が変わります。ご両親の気持ちも想像してしまいます。

私も娘・息子がいますが、今回のこといろいろギュッとまとめると、自分の娘が30歳超えたおっさん(私)に背中押されて選んだ行動で泣かされた…みたいな感じなわけで、とりあえず一旦「嫌」とか「怒」の感情は湧いてきませんか?

ご両親に養ってもらっていて、大学にもいかせてもらってるわけで、その貴重な時間がネガティブな方向に転んでるわけで。

「あー、いったん、お叱りの電話いただくよな…。土下座ものだよな…。」とか、走馬灯のように駆け巡るわけですよ。

しかも、休学って、1年とか社会に出るが遅れるわけですよ。シンプルにご両親の負担、1年伸びるって考えると重いですよね。



責任の果たし方。

流れ的にややこしくなりますが、その後、さわーさんは、働いてたベンチャー企業を辞めて、うちの会社へ入ることなります。元々、うちに入ってくれないかなーと思ってた人だったので、自然な流れ。

空いていたポジションに入り、チームの信頼を獲得し、大きな成果も出してくれたので、あのときさわーさんを採用できたことは、自社としてもとても本当にプラスでした。

ただ、責任を感じることが別にあるわけで。

休学"させてしまった"と感じている身としては、仕事以外の時間も含め、休学していなかった世界線よりも、人生を好転させないといけません。

さわーさんは、納得感をもってキャリアを選んでいくために休学をしたわけなので、ここで達成しないといけない勝利条件は「休学をしたことで、休学せずに卒業するよりも、キャリアにおける多くの選択肢を知った上で、納得感をもって選べる状態になる」ことかなと。

・新卒のキャリアを見据えた上での「今」
・これからいろいろな経験をしていくための「今」
みたいなことを考えたとき、この段階で教えないといけないことはそこまで多くないと思っています。

具体的にいうと、特定の業種・業界・職種などの専門的な知識やスキルなどは、今じゃない。まだあとで良い。

そういうものは、大前提「努力は夢中に勝てない」と思っていますし、私はそう思いたい派なので、いろんなことを経験してみて自分で夢中になれるものを見つけたときで良いかなと。

それよりも現段階で伝えたり、行動で示したりすべきは、

  1. 人には適材適所があるので、自分の特性、自分が活きる環境や条件、自分の扱い方を覚え、高密度の出力を出せるようになる。

  2. 未知の分野だろうとなんだろうと、要素分解・大量のインプットをして、シンプルな行動目標を立て、手数とスピードで突破できるようになる。

  3. 興味関心のある領域、その周辺領域のプロフェッショナルとたくさん会って、良いとこどりでも目指すロールモデルをつくる。

これはあくまでベースとなる自己理解や基礎戦闘力みたいなとこですが、現段階だとこれがあれば十分。

逆にこれがあれば、もっと具体的なことは、自分で見て聞いて体験して、そこから考えていけば勝手に吸収していけるかなと。

ちなみに、「勝手に吸収して〜」という話でいうと、この記事とか、一緒に仕事する中で学んでくれた様子がまとまってます。

「いやー、やってる私もここまで整理や言語化できてないけど」ってレベルで高解像度で言語化してくれてて、純粋に、読み物としてクオリティ高いな!と感動しました。



ある意味勝利、ある意味敗北。

実際、インターンとしての転職活動もさわーさん自身が思うように進んで、素晴らしい企業さんへの転職が決まったので、私は責任は果たせたんじゃないか?と思っています。

選考過程の話を聞くに、かなりお褒めの言葉をいただいたようで、すげぇ。

うちからすれば、さわーさんは本当に貴重な戦力だったので、少しでも長く関わってくれた方が100%嬉しい。

ただ、転職先の選考が進んでる話を聞いてると、本人から日々聞いてきた興味関心領域のど真ん中すぎて、引き留める方法ホントに思いつかなくて。もう完敗です。白旗です。

ここで引き止めるのが、組織の人としては正しいのかもしれないんですけど「そんな機会、ほんと貴重だから、来週からでもいけます!って言ってきた方がいいよ!!」って、咄嗟に言っちゃったですよね。心からそう思っちゃって。

このやりとりしたのが、3/8(金)。
主催カンファレンスの3日後。
そこから1ヶ月、急展開すぎ。

さわーさんが思い描くキャリアに軌道修正できたことは本プロジェクトにおいて勝利。ただし、残ってもらえる環境を作れなかったことは会社経営に関わる身として敗北でもあります。

このあたりの考え方について、私には多大なる影響を受けている人生の恩人がいて、その方の話が好きなので、ちょっと紹介。

仲間が辞める、ということは「まだここにいたい」と思わせられなかった、経営者の敗北なのだ。

「この会社にまだいたい、この会社で更に成長したい」と思わせられなかった経営者の敗北であり、どんな経緯であれ、最後には「申し訳ない」という言葉しか出てこない。頑張ってもっとより魅力的な組織にするから、「ここにいてよかった」と思える場所にするから、その時は良ければ戻ってきて欲しいと心から願う。

経営者の敗北|家入 一真



もしかして、足枷はずれただけ?

さわーさんが次へいくことが決まって、特に最後の2-3週間、外見的にも内面的にも「なんか、またかっこよくなったな!」と思うことが増えました。

アイドルとか、グループ卒業を発表したあとに急に綺麗になる・かっこよくなる現象があるらしいのですが、それに近い感じでしょうか。

そして、次の場所へ行くことが決まっていくにつれて、「これから何をしようか」「どんな出会いがあるだろうか」と希望に満ち溢れ、どんどん軽やかに加速していってる印象もあります。

としたときに、これはここ数日で思ったことですが、そもそも私がさわーさんだけでなく私の周囲の人たちに対してやっているのは、何かを教えるとか鍛えたとかより、動きを制限していた枷を外す作業の方が大きいのかもしれないですね。

元々、力があったけど、それを使えてなかっただけ。力があっても適切に出力ができてないもの・扱えてないものを使いこなせるようにしただけ。

さわーさん、本当に、まだまだ加速していきそうなので、1年後どうなってるか?とかが本当に楽しみです。



さいごに、さわーさんへ。

短い間でしたが、本当にありがとうございました。自分たちが目指すもの、好きなものを共有し、目指す目標へ向かって一緒に調べ考え動けたこと、本当に楽しかったです。

少し前は「いったん抜けても、ここだけちょっと関わり続けてもらえると嬉しい」とか「半年後、1年後にこれは手伝ってもらえたらいいな〜」とか思っていたんですが、そこに期待するのはやめておきます。

日に日に未来へ向けて加速していく様子を見ると、数ヶ月後、1年後の予約をしてしまうのは、それこそ動きを制限する枷になってしまいそうなので。

邪魔にならないよう距離をとって、遠目から応援しておくことにしました。

数ヶ月後、数年後、それはわかりませんが、お互いが目指しているものに対して、お互いが価値提供できる機会、最適な組み方などが生まれそうなことがあれば、また提案させてもらえたら嬉しいです。

以前から話してる通り、私は過干渉・過保護なおせっかいな人ですし、上司・部下の関係が終わった後、それをひきずってSNSの投稿を見てコミュニケーションしてしまう老害にならないよう、投稿が流れてくるようなSNSはブロックします。(これまでの部下、みんなにやってる)

自分勝手に、カジュアルブロックしすぎな人。

それでも、同じ熊本にいますし、関わってる業界も近いですし、共通の友人知人も多いですし、まぁ会うでしょう。笑

心から応援してます。本当にありがとうございました。また、どこかで。

そして、この数ヶ月に関して、これは良い締め方になったんじゃないでしょうか。

よーし、これで、終わり。さぁ、次へ。

"繋がり"を大事にしすぎるあまりに、お互いに固執し、不毛な時間ばかりを過ごした挙句、相手も周囲も、そして自分さえも傷つけて、悪感情を抱いたまま別れることだってある。それこそ、"人付き合い"を短期的にしか見てないからこそ、”繋がり”に執着しちゃうんだよね。それって、とても、悲しい。

人との繋がりはストックでは無く、フローで。小さな世界で生きている僕らは、たとえ別れたとしても、生きてる限り、またどこかで合流したり、共に歩むこともある。そういった意味で、すべての別れは一時的なものであり、最終的にそれぞれが幸せになるためにある。

たまたま向かう先が同じで、「じゃあ一緒に歩きましょうか」って感じで共に歩み、でもやっぱり僕はこっち行きますわ、って感じで別れ、また別の人と出会い、歩み、別れ、それでも、それでもてくてくと歩いてると、かつての友人にまた出会う。もちろん、一生出会わないことだってある。

窓についたひとつひとつの雨粒が、合流したり、別れたりするように。

たとえ、会社や住む場所が大きく変わっても。なんだかんだと数年会えてなくても。「そういや、あいつ、元気かなあ」とお互いに思いあえる限り、きっと、別れは別れではないんだろう。

すべての別れは一時的なもの|家入 一真


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