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インタビューNo.001 うしろ前さかさ族

東京都内のビルの隙間、アンダーグラウンドロック界隈を転げまわり続けている若手3人組バンド・うしろ前さかさ族。今回のインタビューでは、よりうしろ前さかさ族を楽しむため、バンドの結成からドラマー不在の形態に至るいきさつや、メンバー同士の関係性、今後の展望などを語ってもらった。


後妻のテーマ~ボイラー室にて



パワープログレというジャンルを標榜していこう

――うしろ前さかさ族ってバンドを知った人が、ネットで調べたとするじゃないですか。するとWEB上にバイオグラフィーというか、そもそも文字情報がほとんどなくって、突然YouTubeにライブ動画だけある。なので、だいぶ正体不明になっちゃってる気がします。

関口マーフィー(以下、関) とりあえず、ちゃんと曲をやってるバンドなんだってことを理解してもらいたいね。
大塚雅道(以下、大)
 ライブでいまだに言われるもんね。「インプロなんですか?」って。
歯垢太郎(以下、歯)
 言われるんだ。あんまりお客さんと話さないから知らなかった……。
 逆質問していいですか? うしろ前さかさ族って、ジャンルでいうとなんですか?

――こういうふうにあってほしい、っていう個人的な願望も込みでいうと、This Heatをハードコアっぽくしたみたいな感じですかね。

 そんなふうに思ってもらえるんだったらねえ、素晴らしいですよ。ちゃんとしたバンドですからね。
 まあThis Heatって、ジャンルはなんだろうって感じだけど。

――パンクでいいんじゃないですか。まあ、そんなこと言ったらなんでもアリになっちゃいますけど。

 広い意味ではパンクかも知れませんね。
 今思いついたけど、フリーフォームパンク。
 それかパワープログレです。
 パワープログレはすごいしっくりくるね。
 ハードコアとかそういったニュアンスが、“パワー”に上手く含まれますからね。
 さかさ族に対するパワープログレって言葉は、元・例のKのヤミニさんが考案してくれたんだけどね。
 大変ありがたいジャンル名を頂戴いたしました。
 いただいたことによって、それを標榜していこうっていう。

――じゃあジャンルが決まったところで、バイオグラフィー的なものを作っておきます。


うしろ前さかさ族
関口マーフィー(Gt,Vo,Dr)、大塚雅道(Ba,Dr,Key)、歯垢太郎(Gt,Vo,Dr)によるパワープログレ/フリーフォームパンクバンド。ドラムは曲ごとにメンバーが持ち回りで担当する(当人たちは“コンバート制”と表現)。関口の主催する『マーフィーの会』の企画を中心に、都内ライブハウスで精力的にライブ活動を行っている。


――それでは経歴的なところから聞いていきましょう。うしろ前さかさ族は、いつごろに始めたんですか?

 2008年の10月ですかね。
 ぼくがバンドをやりたかったんだけど、色々やってもしっくりくる人がいなかった。それで、高校時代から目をつけてたこの2人に、なんとなく誘導をかけて。「ヤル? ヤル? ヤル?」みたいに。

――メンバー全員が同じ高校の出身なわけですけど、高校のころには?

 ぼくと大塚くんは、高校時代からずっといっしょにバンドやってた。で、関口さんは一学年上の不思議な先輩って感じで、存在は知ってたんだけど、接触はあったようでない。高校時代に、3人でいっしょに演奏したりとかはしてない。

――関口さんも、そのころにはバンドをやってたんですか?

 ほねほねピーマンズってバンドをやってた。
 高校の学祭とかでやってた。あと、ぼくたちが高校3年生のときだから、関口さんは大学1年のはずなんだけど、わざわざ高校の学祭にぼくらのライブを観にきたりしてて。
 絶対にこいつらを自分のバンドに入れようと思って。
 そのあと、同じ大学の同じバンドサークルに入って、2008年に「学祭のサークルライブで出演枠が空いたから、お前らいっしょにやろうよ」って関口さんに誘われて始めることになった。この3人で組むことになったのはそれが最初。

――じゃあきっかけは、偶然枠が余ったから?

 いや、多分作ってあったんだと思う。
 ぼくがバンドをやるって体(てい)で、あらかじめ枠を作っといた。「とりあえず、学祭にバンドで出ようよ歯垢くん」って言うために。
 ぼくからすると、関口さんは知り合った人みんなに「バンドやろうぜ」って言ってるイメージがありますけどね。まあそのときは、ぼくもいろんな人とバンドをやってみたかった。あと、使ってたサークルの部室が、ちょうどそのころ機材を入れて音出しできる状態になった。それで、みんなで楽器を触っては音を出して遊んだりしてて、その延長でさかさ族が始まった、みたいなところはある。で、関口さんといっしょにやり始めたあとで「半月後に学祭の枠があるから」って(笑)。

――めっちゃ急(笑)。じゃあもう最初からこの3人で、って感じですか。

 もともと、大塚くんは学祭には出られない予定だった。でも学祭当日に、やっぱり出られることになって。それで当日に3人そろった。
 あーそうだね。
 まあ、そのときから大塚くんを誘う予定はあった。学祭のあとにいっしょにやろうよって感じで。

――うしろ前さかさ族ってバンド名はそのころに?

 多分、2009年の年明けくらい。
 いや、その学祭の終わった後にぼくがつけたから、もうちょっと早い。2008年のうちだと思う。

――なぜこのバンド名に。

 そのときにぼくが思ってたハードコア感っていうのを盛りこんで。
 いまだにわからない、ハードコア感。
 まあ結局パロディなんですよ。Chilli Willi and the Red Hot Peppersからレッチリになったみたいな。さかさ族の場合、うしろゆびさされ組。それと、当時は中世神秘思想みたいなのにカブれてたから、それに出てくる反対一致みたいなのをうまく絡めて……。



底止



ホントはドラマーを入れたかったんですよ

――サークル活動と関係なく、外のライブハウスで演奏するようになったのはいつぐらいですか? ぼくがバンド名を知ったときには、もうわりと頻繁にライブをやってた印象ですけど。

 最初に出たのが早稲田のZONE-Bなんだよ。
 まあ、最初はまだサークルの周辺だけどね。
 2009年の冬だっけ? 結局、最初の学祭から1年間ぐらいは、ずっと部室にこもってダラダラ音遊びばっかりしてて、曲を作ってなかった。
 インプロとか演劇みたいなことしてた。そんときの様子は全部録音残ってるっていう。
 でも、学祭であれやったよね、「底止」みたいな(リフを口で言う)。
 ああー。そうそう、リフの原型だけはあった。

――じゃあ、1年くらいしてから曲を形にし始めて、そろそろライブに出よう、みたいな感じだったと。関口さんが『マーフィーの会』で、積極的に企画をやるようになったのは同じ時期ですか?

 もうちょっと後かな。2011年の8月くらいが1回目ですね。
 そうだね、そんなもん。ぼくの高校卒業後から『マーフィーの会』っていうバニラ状態のプロジェクトがあって、ちゃんとバンドやってる高校の後輩を呼んでライブ企画を立てたりしてた。『マーフィーの会』で“ズボラミッション”っていう企画名のシリーズを始めたのが、2011年くらいから。

――……バニラ状態ってなんですか?

 バニラ状態っていうのは、デフォルトとか、何も通してないものっていう意味の関口さん用語。

――そもそも、バニラアイスクリームのバニラ?

 そう。デフォルトっていうか、プレーン味っていう意味。

――ああー……。わかったようなわからないような。ところで、結成時からずっと専任のドラマーがいないのはなぜですか?

 ドラムね……ぼく、入れたかったんですよ! ぼくは大学の在学中にMetamorforceっていうバンドもやってたんですけどね。そのバンドでドラムをやってたサエグサくんって人を誘ってたんですよ。サエグサくんも「いや、入れるでしょぼく!?」って感じで、乗ってくれてた。だけどね、(歯垢の方を見ながら)どっかの誰かがね。「なんか違いますよね」って……。
 そうだっけ(笑)。
 まあ最初の学祭のときは、ドラムを叩ける人がいないから、お互いの曲をお互いに叩きましょうってところから始まったんですよ。ぼくがドラムを始めたのはそれがきっかけで、必要に迫られて。それでさかさ族って名前が決まって、バンド化した後に、サエグサくんを筆頭に何回かドラマーを入れようってことになったんだけど、そのたびに「なんか違うんですよね」って雰囲気になっちゃうんですよ、この人(歯垢)がいると……。そのままコンバートしてやってくうちに、みんなドラムが上手くなってきちゃった。

 そんなに強く拒否した記憶はないんですけど……。まあ対外的にはね、そういう風に言ってます。で、ホントは……入れたいっすよ。
 ええー(笑)。入れたいの?
 入れたいっていうか、ドラマーが欲しいときはある。でも入れたとしても、この3人でできあがっている社会の中で、果たしてやっていけるかどうかっていうのが。
 そういう懸念なんですね。

――歯垢くんと大塚くんは、ドラムを始めたのはいつくらいから?

 このバンドをやる以前からスタジオで遊んだりはしてた。あと中学時代の旧友らとやってたバンドがぼくん家で練習してた関係で、ドラムの奴が電子ドラムを家に置いてたんだけど、それを勝手に叩いたりはしてました。ちゃんと始めたのはさかさ族……の前に、別のサークルでPink Floydのコピバンをしたときにドラムやったのが最初ですかね。2007年の夏。
 ぼくはさかさ族に入ってちょっとしてからだったかな。2008年くらい? まあ、ここ数年はドラムがいないことについてあんまり考えたことがないっす。もうしょうがないっていうか。
 諦め。諦念……。
 サエグサくん以外にも3~4人、ドラマー候補に挙がった人がいたんだけど、入ってくれたとしても3人プラス1人みたいになっちゃいそうに感じてたから、ぼくも積極的にドラマーを入れようとしてなかったね。

――最初の、サエグサくん加入の話はいつぐらいに?

 ぼくが大学院に入る前だからね、2011年くらいかな。

――じゃあ、最初にドラマーを入れようって話になったときには、もう今のコンバート制が完全に身についてたと。



ベムラーステージ
(SFCウルトラマンより)


ある意味では、3人で完成されてるところもあるよね

――さっき言ってた「3人ででき上がった社会」っていうのはどんな感じなんでしょう。それぞれの役割というか、お互いの関係性みたいなところを教えてもらえれば。まあ自己紹介みたいな感じで。

 どうぞ。
 ぼくから? ……ポジションでいうと、堅物担当の末っ子。ある面ではバンドの取りまとめみたいな役割だと自分では思ってる。例えば練習でスタジオに入るスケジュールを調整するとか、録音した曲をデータにして送るとか、譜面を作るとか。そういう音楽面でのプロデューサー的なポジション。
 まあ大方そうなんじゃねえかな。大方……大方そうなんじゃねえかな。
 なんで何回も言うの(笑)。
 そのことについてね、この人はすごい不満がある(笑)。
関 
まあ、歯垢くんが言ってることは正しいんだ、多分。ただね、彼がそこに留まってることに対して、ぼくは不満があるんですよ。これはぼくの話になるんですけど、ぼくはこの2人を、見世物にするにはどうすればいいかなって考えてる。
 この人は、エンターテイメントをどうするか考えてる。
 そう。ライブ中には、ライブの着地点や流れとかを考えてる。バンドって外に向けてやるものだから、人が見てどうかがすべてだと思ってる。
 関口さんとぼくとは、エンターテイメントをやろうとしてるか、演奏芸術をやろうとしてるかっていうところが、完全に分断してる。
 そうです。ぼくは完全にJ-POPをやりたいんですよ。
 ぼくはその、演奏としてのJ-POPをやろうとしてるんですよ。

――そういう意味でいうと、ポジション的にはフロントマンだし、バンドにおける顔役だと。

 顔だし、対外交渉もしてるし。
 顔と体みたいな(笑)。

――それで、ほかの2人にもそうなってもらいたい。

 そうですね。
 でも3人が3人でキングギドラみたいになってもしょうがない。
 まあ、一番ぶつくさ文句を言いながらも、バランスが取れてると思うところもある。例えば歯垢くんが、ガチで金儲けとか、エンターテイメントを目指しちゃったら、つまんないバンドになっちゃうと思う。(2人を指さしながら)この2人はなんだかんだ言っても灰汁がある、っていうか、灰汁そのものじゃないですか(笑)。でも、灰汁がないと個性ってのは出ないわけで。2人の灰汁をどうエンターテイメントに落とし込むかってのを、ぼくは考えてる。

――バニラ状態ではなく。

 そう。で、ぼく自身がやってるのは、けっこうバニラ味なんですよ。The バニラ。
 それ、観てる人は絶対そう思わないから(笑)。
 エンターテイメントとしては、The バニラなの! そこに、エンターテイメントとしてチョコチップアイスである歯垢くんと、ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキである雅道くんが、いっしょにあって初めて色が出るわけ。ようするにパフェを作りたい。パフェの中にあるときが一番美味しいじゃないですか、バニラアイスクリームは。バニラ3つじゃ重いです。

――(笑)。大塚くんはどうでしょう。

 まあこんなこと言ってるけど、関口さんもそうとう灰汁が強い(笑)。ぼくはぼくで、自分のことをバランス取り役かなと思ってて。例えば音楽面でいうと、2人が作ってくる曲は、灰汁が強くてよくわからない曲ですよ。ぼくはよくわからない曲を「なんなのこれ?」って、毎回聴くわけ。
 まず、大塚くんは曲を作らない。
 あんまり自分で作った曲をやるところを想像したくない。それより、他人の作った曲をどう演奏するのか考える方が好きだね。だから2人が作ってきた変な曲をどうすると、ふつうの人でもわかってくれるようになるのかな、ということを考えてる。それからライブだと、フロントに立ってる関口さんはパフォーマーだから、頭の中では計算してるけど、ステージに立つと100%自分のパフォーマンスになって、すっ飛んでっちゃう(笑)。それで関口さんがステージ上に帰ってこないときに、ぼくと歯垢くんでどういうふうに間を繋げばいいか、ってことを考えながらやってる。
 わりと補助魔法が使えるんだ彼は。

――(笑)。

  2人が勝手にやってくれるから、ある意味おんぶにだっこでありがたい。だけど、パワフルすぎてぶっ壊れてしまわないようにもしてる。音楽的な面でのバランス取りだと、歯垢くんのほうをベースに考えたり、パフォーマンスだったら、関口さんがバーンって行ってくれるから、それを生かせるように……って感じで調整してる。

――じゃあ3人とも自分のことはバランサーだと思ってると(笑)。たしかに、この中にもう1人組み込むのはけっこう難しそう。

 そうそう、ある意味完成されてる。
 関節とか糊の役割だからね、大塚くんは。
 同時に、おにぎりの海苔でもある。ぼくはご飯で歯垢くんは具だから。
 そうそう、そういう感じ。
 それはそうかもね。
 結局ぼくがご飯であり、バニラで。
 そうとう味付きのバニラだよ(笑)。
 バニラエッセンス100%みたいな(笑)。まああと、表面的にいうと大塚くんは、お洒落番長ですよ。
 あとミーハー担当です(笑)。

――関口さんからは2人に対する要望みたいなのがありましたけど、ほかの2人からはメンバーに対する要望ってあります?

 すごく考えたことがあるような気はするけど、いざ改まって聞かれると全然出てこない。とりあえず最初のころは、もうちょっと楽典的というか、音楽の教科書に載ってるような言葉を使って話せるようになって欲しいと思ってた。けど、それはもうわりと諦めてる。
 ぼくも最近はあんまりないかなあ。前はねえ……2人の言ってることが、ホントはよくわからなくて、けっこう苦しい状況ってのが……。

――はっはっは(笑)。

 関口さんとぼくは拮抗してるけど、超言語的なところでツーカーしてるみたいなところがあるからね。
 例えばさっきのバニラっていうのも、2人の間では通じ合ってるけど、ぼくはまったくわかってない。
 ごめん、バニラについてはね、語源と語の発生を理解した上でも、ぼくも納得はしてない。関口さんの中では、どうやらこういうことらしい……  ってぐらいで。
 おれ、それすらよくわかってないからね!
 だからFugazi=YMO……。
 (関口を制止しつつ)まあでも、結局2人が作ってくる曲がすごく楽しいから、あんまりあれこれ言ってもよくないと思ってる。要望的には、これからもそのまま、すくすくとぶっ壊れた曲を作ってきてくれればいいかな。

――じゃあさかさ族のぶっ壊れた曲を、世界で一番聴いているであろう大塚くんからすると、2人の曲はそれぞれどんな印象ですか?

 まず関口さんの曲はね、リフも歌詞も、何もかも関口さんそのまま。関口さんの内面の一部が、ボコッて落ちたものが曲そのものって感じ。
 いや、ただのメロコアっすよ(笑)。
 ほら、こうやって本人はメロコアとかJ-POPとか言ってくるんですけど、まったく理解できない(笑)。そういうメロコアやJ-POPに対する解釈も含めて、関口さんそのもの。

――じゃあ歯垢くんの曲は?

 歯垢くんは、音楽理論かどうかはわからないけど、なんらかの理論にちゃんと落とし込んでくる感じ。だから、長尺で変拍子の変わった曲でも、わりと理解しやすい。そこのバランス感覚がすごくいいのかなと思う。
 ぼくの曲のほうがわかりやすいっていうのは、高校時代いっしょにバンドやってたのが大きいと思うんだけど。
 いや、そんなこともないと思うよ。

――もう高校時代よりも、さかさ族をやってる時期の方が長いわけですけど、いまだに関口さんの曲はよくわからないと(笑)。

歯 それに関しては、ぼくも不思議。
 まあ関口さんの曲は、最初に聴いたときはわからないんだけど、わからないなりに音を拾って、3人で合わせたら、一発目のそこで初めて何となくわかる。関口さんの曲を理解するには、多分歌を聞くのが一番よくて、歌詞付きでバーッて歌ってくれると……あ、だからメロコアってこと?
 メロコアでジャパコアっす。

――関口さんからすると歯垢くんの曲はどんな感じですか?

 「狙って作れてるんだろうなこの人は」って感覚。自分の中でイメージした、あるジャンルの、ある文脈の、ある場所の……って要素を、ひとつひとつ組み立てて作ってると思う。ぼくとは全く違うんだろうな。ぼくは既存の文脈とか、まったく知らないから。
 だいぶ関口さんの僻みみたいなのが入ってる。
 あっはっはっはっは。
 ぼくは単純にかっこいいリフを組み合わせて作ってるだけです。リフがかっこいいのがすべて。
 ぼくだって、リフかっこよくない!?
 リフ“が”かっこいい。
 あとベースがキャッチー。2人とも目指してるところは同じなんですよ。ただ、ぼくは意図的に文脈からズラそうとしてるところもあるんだ。
 そうそう、ある。でもそのズラし方がね、自分の中で元来持ってる好きなものというよりは、いっぱいいろんな音楽を聞いてきた蓄積による「ここにはこれ持ってきた方がいいかな」っていう計算があって……。
 こうやって「不純なことしてる」みたいに言おうとしてくるんですよ(笑)。それと、今日の練習前に関口さんの新しい曲を、電車の中で聞いてきて覚えようと思ったんですけど、一時間同じ曲聞いてるととりあえず覚えられちゃう。なんでかって言うと、ドラムのパターンが3つくらいしかないから(笑)。ぼくはデモの段階でも、ものすごく細かいフィルとかも入れて、それを再現するようにわりと押しつけちゃうんだけど、関口さんの場合、その辺はわりとアバウト。

――関口さんの場合、けっこう2人の裁量に任せてる部分もあるんですね。


りんご園



みんなに認められたいし仲良くしたい、友達がほしい

――じゃあ、今後の活動方針や展望などあれば。

 えっとね、物販と告知。ぼくは、ふつうの人がふつうにバンドをやってて望むことを、ちゃんと望んでいるので、ちゃんと客に来てもらいたいし、多くの人に観てもらいたいし、かっこいいと思われたいんですよ。演奏芸術とかは知りません。お金を落として欲しい。それがぼくの願いなんです! でもね、こんだけ長くやってんのにねえ、ぜーんぜんねえ、ライブに呼ばれないし……なんか“知る人ぞ知る”みたいになり始めてる感がある。メインストリームからだいぶ遠い所にいるんですよ、われわれ。
 メインストリームって、どこ? って話。
 わかんない。そういうもんがあるような気がしてる。
 イリュージョン。
 そういうイリュージョンに、イデア界に近づくってのが大事。
 (笑い転げている)。
 そのために必要なのが、TwitterやMCでの告知であり、ビラであり……そう、コマーシャルだね!

――ちなみに、新曲がわりと溜まってると思うんですけど、新しいCDは出さないんですか?

 ああ~その話に。作りたいですよ、作りたいって気持ちはある。
 できるレベルの新曲は溜まってます。
 曲数的にはフルアルバム作れるよね。新曲のつもりでやってたら、もう3年ぐらいライブでやってる曲もあるし、逆にわれわれの中では古くなってる曲でも、表に出してない曲とかいっぱいあるから(笑)。
 2年ぐらい練習してるのに出してないとかね。
 すべてを数えると、30曲は下らないんですよ、余裕で。
 前にCD作ったのっていつよ?
 2012年に録って2013年末に発売。
 なんで、今年中に録りましょう。ここで、断言。録る。出す。
 ……これもう確実に大変な気がするけどマジ?
 うん。
 まあでも録りたいよね。
 ぜひライブに来て、物販を買ってくれ。
 ディストロとかしてないからライブ直販しかない。物販における新しいCD、そして旧譜。Tシャツ。グッズ。
 お金儲けをするためにそろそろ、ダウンフォース。
 何の用語ですか。
 ミニ四駆。もっとスピード上げていこうって感じで。マグナムトルネードですよ。
 マグナムトルネードは、ダウンフォースがないからできるんじゃない?
 知りません。ぼくはボンボン派なんです
 ははははは。
 めちゃくちゃだ……。

――最後に、読んでくれた人に向けてなにか一言を。

 2016年は初出し曲がちょいちょい出そうなので、ライブに来てね! と。ここでライブ告知とかできればね。
 ……誰かライブ呼んでください! 別にお高くとまったり斜に構えたりしてるわけじゃないんです。斜に構えてるのはこの人(歯垢)だけです。ぼくはみんなに認められたいし仲良くしたい、友達がほしい、それがうしろ前さかさ族の本質です。友達作りたいメロコアバンド。
 まあ、別にそれでもいいんじゃないですか。って、斜に構えて言ってみますけど。
 10年間ずっとメロコアやりたかったですよ。
 まるで今やってないみたいな。
 今もやってんでしょ(笑)。
 やってる。かっこいい、使命感に駆られる感じの、Bad Religionみたいなメロコア。

(2016年4月10日 高田馬場)

Cover Photo by Hiro Ugaya

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さばえなすあしきかみ

ライター和田の修練所。

インタビュー修練

聞き手およびテキスト構成の練習のためにおこなったインタビューを掲載していきます。ノンジャンルで手当たり次第にやる予定。
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