見出し画像

自分一人では気づけないハナシ(自己評価と他者評価)

こんにちは。就労継続支援ビルドの秋田です。
新年度が始まりましたね。新社会人の皆さん、無理せずやっていきましょう。どうせ最初からなんでもできるわけもありませんし。だいたいみんなだらだら働いています。

ビルドは札幌市でグラフィックデザインやイラストをメインの作業にしている就労継続支援B型事業所です。主に通われているのは精神障害の方ですが、背景に発達障害の特徴がある場合も多いです。

いわゆるグレーゾーンというか、なんとなくの自覚はあるものの診断に至らない方も多くて、そんな利用者さんとお話していると「自分でできると思っていること」と、「社会で"できている"と評価されること」の間にギャップがあることがしばしばあります。

例)
現象:1年間安定した体調で週3回4時間の作業が行えている。一般就労可能では?
実態:週に2回が在宅就労。週1回通所して作業というペースで安定している。一方で、体調が思わしくないため作業効率が低下する時期が定期的に訪れ、1か月のうち3週間は、ほとんど軽作業を行っている。

ケースは架空です

このケース、事業所を欠席することはなく安定していると言えるのですが、週3回コンスタントに外出できる体調ではありません。
仮に週3で4時間、通勤するタイプのアルバイト始めたら詰みますよね。
逆に、週12時間くらいなら稼働できる状況です。生活できるほどではないけれど、業務委託系のお仕事は可能かもしれません。

ずっと能率よく元気に仕事する必要は無いのですけれど、仕事ではコンスタントに一定のペースで作業できることが要求されることは多いので、一般就労を目指す上では最低ラインを引き上げる必要があります。
今回のケースでは、単純作業系の軽作業を在宅で行うことができているので、送迎付きか在宅就労OKのA型事業所を目指すことが可能です。一方で、A型事業所では週5回4時間作業することが求められるため、もう少し作業できる時間を確保する練習期間が必要です。
在宅勤務の一般就労を目指すのであれば、体調が悪くてもできる最低ラインの業務をどこに設定するのか?という点で精査が必要です。


この、前提条件の違いで「できている」の評価が変わるというところが難しいところですよね。
一定ラインをクリアして「できている」と自分で思えているので、診察のときにも「順調です!」と主治医に報告できるし、家族も「安定している」と安心しているかもしれません。
ただし、B型事業所という"支援がある環境"という前提があってのことです。社会的には支援が必要なので、障害年金の診断書の基準で言えば「支援があればできる」の分類になります。

このギャップが原因で、診断や障害年金の判断が揺らいでいるかもしれないことは多々あり……利用者さんとすり合わせる必要があることも。

B型は雇用契約を結ばず、最低賃金以下の「工賃」で作業をしているため、一般就労に比べると要求される業務量はゆるやかです。
たとえばビルドはイラストやデザインの案件がメインなので、月に1件、成果物を納品することができれば良いケースも多く、状況によっては1か月の中で2/3くらい具合が悪かったり、練習・自主活動に充てていても問題ありません。

「できた」という自信をつけていく上では、現在の環境で安定した体調を維持できていることも必要なことです。
ただし、次のステップを見据えたときには、要求されるレベルも少し上がります。

ビルドの支援では、
利用者さんが何を目指し、現状と課題を把握して、いま自分にできる範囲はどこまでなのか?を整理していきます。
ときには「自分ではできている」と思っていることがひっくり返ることもあるでしょうし、逆に、自分にとってはできて当たり前だと思っていたことが当たり前ではないこともあります。
普通に生きているとわざわざ言語化しなかったり分析しなかったりすることが多いので
「週5で4時間の勤怠が安定していることは強み」と言われてびっくりする利用者さんもいらっしゃるのです。


このように、支援機関を利用することで自分一人では気づきづらいことを知る機会にもなります。
今回は、「働くための準備」視点でしたが、イラストやデザインのスキル、コミュニケーションなどなど、自分一人では気付きづらいことは多々あるので、気軽に支援機関を利用してみてくださいね。

#最近の学び

この記事が参加している募集

最近の学び

いただいたサポートは利用者さんの工賃に!素敵なヘッダーイラストを描いてくださった皆さんに還元しますね。