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「量子もつれ」が気になって。

2022年のノーベル物理学賞が量子もつれに与えられたのをきっかけに量子力学に再度興味を持ち、勉強を始めています。大学の時に「状態は確率的に決まる」と言われても、「そうなんだ」くらいにしか思いませんでした、しかし、今、改めてこの事を考え直してみると、ものすごく奥深いと感じるのです。そして、これは言葉による説明だけではしっくり来ませんが、数学を使って記述すると、腑に落ちるのです。

世界を、宇宙を、定量的に理解するためには数学の知識が必要になります。EPR論文で議論された局所存在論に対して、ベルの不等式の破れがNoを突きつけたのも、量子力学における存在の定性的な議論を数学を用いて定量的な議論の土台に乗せ、実験的な議論の土台に載せたからです。最近はすっかり、量子力学と情報理論、量子情報理論に興味を持ち、量子が描く宇宙に魅せられています。

という事で本の紹介。

量子テレポーテーションのゆくえ 相対性理論から「情報」と「現実」の未来まで http://amzn.to/40yPJyz

前半はアリスとボブという架空の学生が量子もつれを理解するために、ベル実験の結果を一歩一歩理解していきます。量子もつれに興味のある人は、前半だけでも読むと良いと思います。後半は、量子もつれの性質を用いた量子テレポーション実験についての話題。著者が2022年に量子もつれでノーベル賞を受賞しているので、後半の内容は、本人が携わった実際の実験も含め説明の密度が違う。故に難しい。しかし、第一線の人だからこそ伝えられる内容です。量子もつれに興味のある一般の人にとっては多少、難しい内容の一冊でだと思います。一方で、物理学科や物理工学科で、量子情報に興味のある学生にとっては導入として良い一冊。この本を読んで量子情報に興味を持ったら専門書に挑戦すると良いのではないでしょうか?

また、この1年かけて以下の量子力学の教科書を読み進めており、ようやく7章の量子測定まで読み終わりました。

入門 現代の量子力学 量子情報・量子測定を中心として (KS物理専門書) https://amzn.to/47fuMLM 

大学生の時に学んだ量子力学とは構成が異なり、前期量子論や正準量子化ではなく、情報理論の立場から量子力学を再構築しており、波動関数よりも密度行列が主役となっており、量子もつれについても勉強できる一冊です。私みたいな量子力学を学び直す人にもおすすめです。初学者にはちょっと難しいかもしれませんが。

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