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おやじギャグがアイデアの起点!?スピード感を持って社会課題を思考する『もしもラボ』【2022/2/27放送_ひとしずく株式会社 代表/PRコンダクター こくぼ ひろし】

Fm yokohama(84.7MHz)から毎週日曜日深夜24:30~25:00にお送りするラジオ番組『文化百貨店』。
2月27日の文化百貨店のゲストは先週に引き続き、日本初のソーシャルグッド専門PRエージェンシー ひとしずく株式会社代表でPRコンダクターの こくぼひろしさん。今回は、番組パーソナリティの山崎晴太郎のセイタロウデザインと共同で展開する『もしもラボ』について、2人でお話していきます。

【パーソナリティ】
セイタロウデザイン代表・アートディレクター 山崎晴太郎(@seiy

【今週のゲスト】
ひとしずく株式会社 代表/PRコンダクター こくぼ ひろしさん

1982 年、神奈川県生まれ。ソーシャルグッド専門の後方支援ファーム「ひとしずく株式会社」代表。「脱炭素(カーボンニュートラル)」の社会デザインに取り組む。一般社団法人チャートプロジェクト 代表理事。

【今週のダイジェスト】

▶︎社会課題を解決する“もしも”を発信する『もしもラボ』

【山崎】こくぼさんの株式会社ひとしずくと、セイタロウデザインで『もしもラボ』というプロジェクトを立ち上げました。社会課題って、みんな一生懸命に取り組んでいるんですよね。だけど、それが故に時間が掛かってしまうという一面があって、そこをスキップしてスピード感を出せないかという想いから立ち上げました。

「もしも、〇〇になったら、△△が実現するのではないか?」という発想で、“もしも”だけをどんどん発信して、その“もしも”に共感してくれた事業者や企業と実現を目指すというプロジェクトです。簡単に言うと、「アイデアを提供します」みたいな事ですね。

【こくぼ】その“もしも”が、社会課題をどう解決していくかという施策みたいなものですね。それによって課題が解決された時に利用されているであろう、サービスや仕組みを先に考えておこうという取り組みですね。

【山崎】僕自身が、直接関わっているプロジェクトなので、こくぼさんに質問ばかりするのも変な感じになりそうなので、今日はスタッフが用意した質問に2人で答えて行こうと思います。

1つ目の質問です。「共同事業を立ち上げたきっかけは?」

【こくぼ】晴太郎さんから、「社会課題を解決するような取り組みをスタートするような時期が来た。何かやろう!」という電話をもらった所からですね。

【山崎】デザインや表現、コミュニケーションに関する事を色々とやってきたんですけど、その経験を使って社会課題やSDGsといったものと、向き合う資格を得てきたのかなと思ったんですよね。それまでは、表現の中に仕込む程度だったんですけど、本格的に向かっていこうと思って、こくぼさんに連絡をしました。

【こくぼ】晴太郎さんは自分で言わないでしょうけど、学生の頃から「社会課題にどう向き合うか?」というのが根底にずっとあるように感じていました。だから、いよいよ本業としても取り組むタイミングになったんだろうなと思っています。

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▶︎ポジティブに人が動くように設計していく

【山崎】次の質問です。「もしもラボで立ち上がったプロジェクト例と、どう展開をしているのかを教えて」。

どうやって社会に実装していくかという所で苦労している部分もあるんですけど、アイデアはたくさんありますよね。

【こくぼ】そうですね。私のアイデアの起点が、おやじギャグになっているパターンが多いんですけど……(笑) 過剰包装の問題がありますけども、過剰包装をしなくても渡せるようなプロダクトをつくりたいと思っているんです。誰かに贈り物をする時って、「手を抜いてはいけない」という想いがあって、過剰包装になりがちなんですよね。だから、そこの過剰包装を辞めれば良いのではないかという事で考えているのが『包まない物なのですが』というアイデアで……

【山崎】「つまらない物ですが」から来ているんですよね(笑)

【こくぼ】そのダジャレから来ているんですけど、背景には過剰包装に対する想いがあります。

【山崎】僕が、“もしもラボ”っぽいなと思っているアイデアもお話しようかな。父方の親戚が農家でお米を作っていて「米と塩があれば死なないから」と言われていて、「だから、やりたい事を頑張れ!」という感じでずっとお米を貰っていたんです。デザイナーや表現をする人って、軌道に乗るまでお金が無いんですけど、親戚にお米を作ってくれている人がいるので、“食べる事”への不安が無かったんですよね。その環境にみんながいたら、すごく安心できる社会になるなと思った所からプロジェクトになっているのが『“ベーショック(米食)”インカム』というものです(笑)

ベーシックインカムはお金ですけど、それの食べ物版ですね。これを企業が福利厚生として出したら、「うちは“ベーショックインカム”を取り入れていますから」という、もしもの世界が動き出すという感じですね。まぁ、大体のおやじギャグは、こくぼさんからなんですけどね(笑)

【こくぼ】そうですね。そのカテゴリーは、私の領域ですね(笑)

【山崎】次の質問です。「個人的に動向が気になっている社会課題は?相手が気になっている事について、即興で課題解決策を考えてください」

【こくぼ】これは、リアル“もしもラボ”ですね。

【山崎】個人的に気になっている課題はありますか?

【こくぼ】コロナで動かなくなっていますよね?私は、今、人生で最高体重になっているんですけど、コロナで外に出られないというのをどうやって解決していくかは考えたいですね

【山崎】Switchを買えば良くないですか?

【こくぼ】解決しましたね(笑)

【山崎】僕は、人間が最もポジティブに動くように、全てを設計するべきだと思っているんですよ。“楽”というのも1つで、欲求に対して素直になるように設計をしたい。ゲームというのはそれを解決する、かなり強いソリューションだと思うんですよ。ゲーミフィケーションが上手くいっているのにやらないとなると、出来る場所が無いとか、そもそもゲームとの親和性が悪いので、別の欲求へ切り替えていくという事なんだと思うんですよね。

この課題で言うと、衣食住という根源的なものの中の“食”への欲求過多を抑える所がスタートですよね。そう考えると、かなりレベルが高い問題なんですよ。これを超える“欲求構造”を、どうやってデザインしていくかという話になってきて、その1つがゲーミフィケーションだと思うんです。だから、ゲームが駄目だとすると、この解決は結構難しいなって感じますね。

【こくぼ】あとは、ソーシャルグッドの事例で言う“仕掛学”というやり方ですね。階段がピアノの鍵盤みたいになっていて、面白そうだからエスカレーターよりそちらを利用するとか。ゴミを入れると音がするから、楽しくなるゴミ箱とか。そういう欲求を、どうやって作るのかというのは必要ですね。

晴太郎さんが、気になっている社会課題は何ですか?

【山崎】TOKYO2020に関わった事で、再生プラスチックの問題を目の当たりにしたんですよ。その中で言うと、海洋プラスチック。海だけでは無いんですけど、見えない所のプラスチックですね。今の取り組みは、“自分の陣地”だけという形に見えるんですよね。“みんなの所”という意識になっていないように感じるので、これをもしもラボで、どう解決できるのかなって思いますね。

【こくぼ】“海洋プラスチックが無い”という状態になるには、社会に何が機能しているのかという事を考えなければいけないかもしれないですね。海洋プラスチックが、通貨になるとか。あとは、先ほど出たゲーミフィケーションというのも、繋がるかもしれないですよね。

【山崎】“メタバースの世界で使える硬貨がゴミだった”というのは、あるかもしれないですね。そういう仕組みが出来るのかもしれないですけど、現代の貨幣経済の中でつくるのは、難しい感じがしますよね。新しく生まれてくる、フワフワの概念の中に、社会課題をポジティブな形で接続し直すという事は、出来るのかもしれないですね。

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▶︎“自分が好きな事に社会課題を取り込む”ようにしていきたい

【山崎】次の質問です。「個人個人が、社会課題とどう向き合うようになるのが理想だと思いますか?」

【こくぼ】社会課題が、“自分の外にあるもの”として捉えてしまうと、何かをしなければいけないとか、新しいことを外にやりに行かなければいけないという印象になるのかなと感じているんですね。だから逆に、“自分が好きな事に社会課題を取り込む”という捉え方にならないかなと思っているんです。

例えば、歌が好きなのであれば、唄う場所が今までは発表会だったかもしれないけど、それを違う施設や被災地でそういう事をサポートするとか。“自分の好きな事をどう社会課題に繋げるか?”という考え方が必要なんじゃないかなと思っていますね。

【山崎】なるほどね。僕は、“社会課題”という言葉自体が無くなればいいのにと思っているんですよね。こくぼさんの話と同じなんですけど、「〇〇をやりたい」という中で、勝手に解決されるようになるべきだと思うんですよね。

すごく乱暴な話なんですけど、一番分かりやすいのは、全てが“カッコよくなる”こと。「ゴミを捨てないのは、カッコイイよね」となると、誰もゴミを捨てないようになる。カッコイイだけだと、ファッション性だけになってしまうんですけど、ポジティブな営みの中に、それが吸収されている状態が理想だなと思っています。何も我慢しないで、むしろ「やりたいからやっています!」みたいな事ですよね。それが積み重なって社会が良くなるような状態が、僕の理想ですね。1つ象徴的だった、通貨のアイデアがありましたよね?

【こくぼ】私が出したアイデアでは無いんですけど、空港の手荷物検査場に、携帯電話や財布を分けて入れるトレイがありますよね。そこに、“寄付をする”というトレイもあって、それに入れたものは検査を通ったあとに、ドネーションになるというものですね。

【山崎】そういう風に、自然に実践できる事が増えていくと良いなと思いますね。最近だと、空港にガチャガチャが増えてきていますよね。あれも同じで、出国する際に小銭が邪魔になるので、小銭を使った楽しみを提供している。あれが、社会課題ごとになっていて、どこにドネーションするか選べるような仕組みでも良いですよね。
もしもラボの話はここまでとして、最近「この取り組みは良いな」と思ったものってありますか?

【こくぼ】CO2から作ったウオッカがあるんですけど、これはすごいですよね。

【山崎】みなさん、ご存じですかね?これ、本当にすごいんですよ。CO2を削減しようという動きが活発ですけど、そのCO2からお酒をつくった会社がアメリカにあるんですよ。ウェブサイトもすごく綺麗でデザイン的にも完璧。それに、プロダクトもすごく美しい。デザインだけではなく、すべての取り組みを徹底していて、ボトルも再利用したものなんです。

あまりにも素晴らしいので、日本での取り扱いが出来ないかと思って、問い合わせたんです。そうしたら「日本まで輸送する事で、環境が汚れる。だから、日本で同じことを再現できる工場があるなら構わない」という返答だったんです。ラベルの素材だとか、食べ物が届くまでの距離“フードマイル”に応じて送料を変えるとか、色々とこだわりがあって、それを全部バリューチェーンとしてつくる必要があるということなんですね。さすがに、今は、そこまでの事が出来ないので「ごめんなさい」しましたけど。

【こくぼ】各エリアでそういう事が起きていくと、社会が変わってくると思うので、そういうソーシャルグッドを色んな所でローカライズさせられると良いなと思いますね。

▶︎心地よく暮らしながら、環境負荷を減らす取り組みを実現したい

【山崎】ゲストのみなさんにお聞きしている質問も伺いたいと思います。僕とコラボレーションするとしたら、どんなことをしてみたい、もしくは出来ると思いますか?すでに一緒にプロジェクトを立ち上げているので、PR・ソーシャルグッド以外でお願いします。

【こくぼ】晴太郎さんがデザインをした、金沢の雨庵というホテルに泊ったことがあるんですよ。本当に、素晴らしい体験をさせてもらったち思っているんですけど、私の密かな夢が宿をやりたいんですよ。一日一組限定の宿をやりたいので、コラボをしてホテルなのか何なのか……。

【山崎】コンセプチュアルな宿泊施設ですかね?

【こくぼ】はい。

【山崎】一泊して、“ソーシャルグッド”になって帰っていく感じですか?

【こくぼ】そうなると良いですね。そこで使う物には徹底的にこだわりたいですけど、押し付けすぎずに体験をしていただくような形にしたいですね。何も伝えずに心地いい体験をしていただいて、後で何が使われていたか知るような体験を提供出来たら良いなと思います。

【山崎】なるほどね。計画を進める時には、ぜひお声がけください。

もう1つ、定例の質問です。この番組のコンセプトである“文化を伝える架空の百貨店”があったとして、バイヤーとして一画を与えられたらどんなものを扱いたいですか?

【こくぼ】確か、デンマークだったと思うんですけど、『ヒューマンライブラリー』という“人を本に見立てて貸し出す図書館”というコンセプトのイベントがあるんですね。そのヒューマンライブラリーのブースのようなものを置いてみたいなと思いました。

【山崎】人と関わる事で、圧倒的に視座も体験も広がりますもんね。

2週に渡って、ソーシャルグッドについて色々とお話してきましたが、こくぼさんが目指す未来図は、どのようなものですか?

【こくぼ】以前、再生可能エネルギー100%で電気を賄っているスウェーデンのマルメ市という所を訪問したんです。現世で社会問題が解決をしている街を見て来たので、そういう所を自分の地域や日本でも実現できると良いなと思っているんです。ですけど、やはり無理をして、節約・省エネってやっても続かないと思うんですよね。

スウェーデンで見て来た形が自分の中では理想なんですけど、心地よく暮らしながら環境負荷を減らせるというやり方があるので、それを実現できるようにしていきたいと思っています。

【山崎】“我慢の先”ではない所ですよね。最後になりますが、今後計画をしている事や予定があれば教えてください。

【こくぼ】今日の中心だった『もしもラボ』を、どんどん拡大していきたいというのが1つ。もう1つ、まだ言えないのですが、世の中をソーシャルグッドという観点から見る生活を普段からしているので、皆さんにもそういった眼鏡をかけていただけるような企画を考えています。動き出した際には、もしもラボで伝えていくと思いますので、チェックをしていただけたらと思います。

【山崎】“社会課題”という言葉を聞くと、なかなか難しいように感じるのかなと思うんですけど、どうせ向き合うなら「楽しく」というのが、僕がずっと思っている所です。仕事もデザイナーですし、少しでも自分の力で社会をポジティブな方向にしていけたらなと思っているので、もしもラボを今年は頑張ります(笑)

今回のゲストは、ひとしずく株式会社代表・PRコンダクターのこくぼひろしさんでした。


【今週のプレイリスト】

▶︎ こくぼ ひろしさんのリクエスト
『Evil And Flowers』BONNIE PINK


といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。
次回は、コミュニケーションエバンジェリスト・メタバースDJのまつゆう*さんをお迎えします。

【次回3/6(日)24:30-25:00ゲスト】
コミュニケーション・エヴァンジェリスト/メタバースDJ まつゆう*さん

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98年よりWebで独自の可愛いカルチャーを発信。ホームページの時代から、ブログ、Twitter、LINE、instagram、note、VR/メタバースなど、新しいコミュニケーションが誕生するたび、書籍、雑誌、TV等様々なメディアで新しいコミュニケーションのあり方を広める。また、アイディアや知見をいかして、デジタル・コミュニケーション施策の企画制作やガジェット関連のプロダクト開発にも携わっている。2021年7月からは「VRChat」内にて、メタバースDJとして活動中。最新刊『VRChatガイドブック〜ゼロからはじめるメタバース 』は2022年2月26日(土)に双葉社より発売。

また日曜深夜にお会いしましょう!

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