見出し画像

行財政改革の起点 各教区を内局巡回

※文化時報2022年1月1日号の掲載記事です。

 真宗大谷派は、在職中に逝去した但馬弘・前宗務総長の後を引き継ぐ形で、昨年10月に木越渉宗務総長が就任した。木越内局は、前内局が宗会(常会)で提示した行財政改革の内局案について意見を募ろうと、昨年12月から今年1月末まで全国の教区で内局巡回を実施している。

 行財政改革は、教区改編や門徒戸数調査などと並ぶ宗派の宗務改革の一環。内局案では、82億円規模の宗派予算を70億円にすることや、宗派から教区への交付金制度の見直しなどを掲げ、2023年度にも制度などを整えると表明している。今回の内局巡回を受けて計画書を策定し、宗会(常会)で諮った後に、再度秋にも内局巡回を行う。

 12月16日に真宗本廟で行われた京都教区の内局巡回では、望月慶子参務らが出席した。

 深尾浄信教区会議長らは、長浜教区との教区改編に向けた協議が進む中で、行財政改革で影響を受ける宗派経常費御依頼=用語解説=額の割当基準や、教化交付金率などの改革の見通しなどがなければ、改編の議決に踏み切るのが難しいと指摘。望月参務は、宗務改革が04年に始まった当初から行財政改革も課題になっていたと強調し、教区改編と連動させる方針を改めて示した。

 宗務改革の柱である教区改編は2023年7月までに、30あった教区を17にする計画。すでに第1期の岐阜高山と九州教区で実施している。今年は、奥羽、山形、仙台の3教区が、7月の東北教区発足に向けて調整を進めている。23年7月の改編が決まっているのは、富山・高岡の富山教区、小松・大聖寺の小松大聖寺教区、三条・高田の新潟教区。長浜・京都、能登・金沢、山陽・四国は、改編に向けた検討を行っている。

大谷派の教区改編

 宗務改革の関連では、今年2月に、宗派経常費御依頼額の割当基準の要素となる5年に1度の門徒戸数調査が実施される。今回から、公平性を高めるため、数値を精査する継続点検の充実を推進する。

 また、12月に開かれた参議会と宗議会の宗政調査会では、決算を中心とした宗会(常会)実施に向けた宗憲改正や、宗会議員定数を考える議長の諮問機関「宗憲及び議員定数に関する委員会」が、宗参両議会で発足した。今後、実現に向けて歩みを進める。

 宗派は23年3月から4月にかけ、「南無阿弥陀仏 人と生まれた意味をたずねていこう」をテーマに、宗祖親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要を勤める。今年は各教区でお待ち受け=用語解説=大会が開かれる予定で、法要に向けた機運も高まりそうだ。

【用語解説】経常費御依頼(けいじょうひごいらい=真宗大谷派)
 全国の門徒から任意の懇志を集めるため、全国25教区に割り当てて依頼すること。2021年度では宗派経常部臨時部予算78億400万円のうち、「相続講金」42億8600万円や「同朋会員志金」2億8千万円の収入が御依頼に当たるとされた。

【用語解説】お待ち受け(おまちうけ=仏教全般)
 祖師の遠忌や宗門にとって重要な周年に向け、宗門内外のムードを高めるため、事前に行う法要や行事。「お待ち受け法要」などと称する。

【サポートのお願い✨】
 いつも記事をお読みいただき、ありがとうございます。

 私たちは宗教専門紙「文化時報」を週2回発行する新聞社です。なるべく多くの方々に記事を読んでもらえるよう、どんどんnoteにアップしていきたいと考えています。

 新聞には「十取材して一書く」という金言があります。いかに良質な情報を多く集められるかで、記事の良しあしが決まる、という意味です。コストがそれなりにかかるのです。

 しかし、「インターネットの記事は無料だ」という風習が根付いた結果、手間暇をかけない質の悪い記事やフェイクニュースがはびこっている、という悲しい実態があります。

 無理のない範囲で結構です。サポートしていただけないでしょうか。いただければいただいた分、良質な記事をお届けいたします。


サポートをいただければ、より充実した新聞記事をお届けできます。よろしくお願いいたします<m(__)m>