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【東日本大震災】帰れぬ震災遺骨 住職、引き取り手待つ

※文化時報2024年3月26日号の掲載記事です。

 東日本大震災から13年が過ぎた今も、引き取り手を待ち続ける遺骨がある。身元が分からず、分かっていても家族に受け取りを拒まれる「震災遺骨」。行政の依頼で預かった住職たちは、寺院で供養を続けたり、市営墓地に納骨されても手を合わせに通ったりして、いまだ帰ることのできない命に寄り添い続ける。(佐々木雄嵩)

身元判明後も預かり供養
妙心寺派寳國寺

 骨箱には、命日と俗名だけが書かれている。犠牲者の身元はすぐに判明し、遺族にも連絡はついたが、いまだ引き取られていない7柱の震災遺骨だ。「誰が引き取りに来ても、すぐ分かるようにしている」。加藤秀幸住職(70)は語った。

 加藤住職は自坊の臨済宗妙心寺派寳國寺(宮城県多賀城市)で7柱を預かり、毎朝の勤行で供養し続けている。6柱は津波に巻き込まれ、1柱は震災関連死で亡くなった。

 震災直後から遺体安置所を巡り、犠牲者を弔ってきた。「何か他に手伝えることはないか」と市に問い合わせた際、遺骨の引き取りができないか相談された。公営の霊園がない多賀城市は、市内の各寺院に打診していたが、色よい返事がなかったという。

 当初預かったのは13柱。6柱が遺族の元に戻り、7柱が残った。そのほとんどが他府県出身の生活困窮者で、身内も市内にはいなかったという。

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