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550年ぶり山門八講 北野祭に天台座主親修

 ※文化時報2020年9月9日号の掲載記事です。

 北野天満宮(京都市上京区)は4日、北野祭に伴う山門八講=用語解説=を550年ぶりに再興した。比叡山延暦寺(大津市)の森川宏映天台座主が祭文を読み上げ、橘重十九宮司が祝詞を奏上。水尾寂芳延暦寺執行、藤光賢曼殊院門跡が玉串を奉納し、国家の安寧と新型コロナウイルスの早期終息を願って共に祈りをささげた。

 北野祭は、神仏習合=用語解説=の形式で御祭神を慰霊し、世の平安を祈念する祭祀 。987(永延元)年に一條天皇の勅祭として始まり、神輿渡御や御霊会、山門八講を数日にわたって行っていたが、室町後期の応仁の乱で延暦寺僧侶による御霊会は断絶していた。

 北野天満宮は、菅家出身の是算が初代別当となり、1868(明治元)年の神仏分離令までの約900年間、曼殊院門跡が別当を兼務するなど、平安後期から本末の関係にあった。 橘宮司は「歴史を顧みると神仏習合の歴史は古い。仏さまと神さまを一緒にお祈りできたことは人生最高の感動だった」と述べた。

 水尾執行は「北野天満宮さまの熱い思いがあってこそ山門八講の復興が成し遂げられた。お声掛けをいただいて法要を勤めることができた。今後も続いていくことを願っている」と話していた。

 北野天満宮は、菅原道真公の薨去から50年ごとに「大萬燈祭」を、25年ごとに「半萬燈祭」を斎行し、道真公の「和魂漢才」の精神を伝えている。2027年に1125年の半萬燈祭を迎えるのに合わせて古儀の復興を進めており、19年に御手洗祭と例祭、ずいき祭を再興した。山門八講の再興はその一環。

200909天台神社記事2

山門八講の後、礼を交わし合う北野天満宮の神職と延暦寺の僧侶ら

【用語解説】山門八講(さんもんはっこう=天台宗など) 延暦寺の僧侶が営む法華八講(ほっけはっこう)。山門八講の「山門」は、延暦寺を天台宗山門派と呼ぶことにちなむ。法華八講は法華経1巻から8巻までを講義し賛嘆する法会。講師、読師、問者が出仕して法華経についての問答を交わす論議法要を通じて、仏説を明らかにする。

【用語解説】神仏習合(しんぶつしゅうごう=宗教全般)
 日本固有の神信仰と伝来した仏教が、思想や儀礼の面で融和される現象。「神仏混交」ともいう。仏や菩薩が神という仮の姿で現れると唱えた「本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)」などに象徴される。明治政府による「神仏分離令」で衰退した。

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