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もう世論しかない

 ※文化時報2023年6月16日号掲載の社説です。

 「不当決定」という旗出しの文句が全てを物語っていた。他人の人生を踏みにじる権利など誰にもないことを、裁判所は全く理解していない。宗教界を含め、世論が抗議の声を上げ続けるしかない。

 鹿児島県大崎町で1979(昭和54)年に男性の遺体が見つかった大崎事件=用語解説=で、福岡高裁宮崎支部は5日、殺人罪などで服役した原口アヤ子さんの再審(裁判のやり直し)を認めない決定を出した。「新証拠は確定判決に合理的疑いを生じさせるものとはいえない」と判断した。

 再審は、誤った判決で有罪が確定してしまった冤罪被害者を救済する最終手段である。今年は日野町事件と袴田事件で再審開始決定が出た。大崎事件を巡る今回の高裁決定は、こうした流れに水を差す形となった。

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