AI時代の信仰考察 専門超えて白熱議論
※文化時報2024年3月12日号の掲載記事です。
浄土宗総合研究所(今岡達雄所長)は2月26日、大本山増上寺(東京都港区)で公開シンポジウム「AI時代の信仰」を開催した。人工知能(AI)を活用する専門家や僧侶ら4人が、さまざまな角度から信仰や宗教に及ぼす影響について考察。オンラインを含む200人以上が白熱した議論に聴き入った。(山根陽一)
翻訳、兵器、仏典…幅広く活用
最初に登壇した国立研究開発法人情報通信研究機構フェローの隅田英一郎氏は、自動翻訳とAIについて講演した。声を文字にする音声認識や、文字を声にする音声合成の精度は「極めて高くなっている」と述べ、一般の人々からプロの翻訳家まで、AI翻訳を道具として活用できると強調した。現状は誤訳のリスクがある一方、「今後は英語が世界語でなくなる可能性もある」と指摘した。
生命倫理政策研究会共同代表の橳島(ぬでしま)次郎氏は、AIは生命の尊厳や人権など、人間の基本的な価値を損なわないよう設計すべきだと語った。「特定集団への差別や偏った価値観を持つようになってはならない」と強調。自律AI兵器など、機械に生殺与奪の権利を与えることのリスクを説き、「AIが民間人を殺傷するような事態になれば取り返しがつかない」と警鐘を鳴らした。
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