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歴史上最も"密"な監視社会…!東ドイツのシュタージ

当店の大人気ロシアブランド MIRA-MIRU!
洗練されたデザインが魅力なこのブランドの今回のコレクションテーマはシュタージ。
デザインのソースがボストーク湖のように深いことで有名なMIRA-MIRU!が取り上げたシュタージについて今回のブログで解説していこうと思います。

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実は前回R.O.XがKGBをテーマにコレクションを作ったときにブログでBUNKER TOKYOの最高指導者Kazumaさんがおまけで少し触れてくださいましたが、今回のブログではさらにもう少し掘り下げていきます。
どうぞお付き合いください。

①ドイツ民主共和国

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まずは東ドイツと呼ばれる「ドイツ民主共和国」について簡単に歴史をおさらいしていきましょう!

第二次世界大戦でナチス=ドイツが降伏すると、米・英・ソ・仏の4ヶ国にドイツとベルリンが分割統治されることが決まりました。
しかし米ソ間の対立が深刻化して、冷戦期に入ると西側の通貨改革強行を機に1948年6月24日にソ連がベルリン封鎖に踏み切りドイツは東西で分裂してしまいます。
西側管理地域で翌1949年に西ドイツ基本法が公布され、9月にドイツ連邦共和国(西ドイツ)が成立すると、それに対抗する形で10月にソ連管理地域にドイツ民主共和国(東ドイツ)が成立しました。

東ドイツの首都はベルリン。社会主義計画経済を基本とした人民民主主義国家で、ソ連の衛星国となり、東側陣営の中心勢力のひとつでした。

1989年11月9日にベルリンの壁が崩壊するまで存在した社会主義国、それが東ドイツことドイツ民主共和国です。
GDR(英語:German Democratic Republic)や、DDR(独語:Deutsche Demokratische Republik)と略されることもあります。

②シュタージ

東ドイツ建国の経緯をおさらいできたところで、本題のシュタージについて解説していきます。
シュタージは東ドイツの秘密警察・諜報機関を統括する省庁。正式名称は国家保安省(独語:Ministerium für Staatssicherheit)。
Staatssicherheitの短縮語が由来でシュタージと呼ばれております。
全盛期には人口比でナチスドイツのゲシュタポや、ソ連のKGBを超えるほどの規模に。1988年には9万人もの正規職員を抱えていた他、非公式の密告者は17万人以上存在したといわれます。
一般市民との連携で反体制派弾圧のための監視ネットワークが作り上げられていました。
1990年の人口が約1611万人と言われているので、かなりの密度で人々が監視し合っていたことが伺えますね。こわ……。

③東西ドイツの併合後

1989年にベルリンの壁が崩壊し、その後東西ドイツの統一がなされると、シュタージは解体されました。その際にドイツ政府が全ての資料を廃棄すると発表したものの、それに国民が反発。紆余曲折を経てその後1991年に資料は「シュタージ・アーカイヴ」として公開されることになります。シュタージ内通者が監視対象者についてまとめた膨大な機密文書がベルリンに保管され、閲覧を申請すればその当時の諜報ファイルが見れるようになりました。ということは、当時付き合っていた彼女が自分の監視者だったり、親が監視者だったり、そういうこともわかってしまうのです。それが原因で人間関係が崩壊するなんてこともあるそうです。もし自分が東ドイツに生きていたとして、アーカイヴを見れるとしても、見るには非常に勇気がいると思います。「うちによく遊びに来てたお隣さんが、自分の監視者だったんだ!」なんてことは知らないほうが良いのかもしれません笑

ファイルは並べるとなんと111kmにもなる膨大な量があったそうです。
今年(2021年)の6月からは「シュタージ・アーカイヴ」の形式は廃止され、ドイツ連邦公文書館の資料して移されました

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地図はドイツの大都市であるライプツィヒとドレスデンを結んだものですが、これが約110kmだそうです。そう、ちょうどシュタージのファイルを並べたときくらいの距離。ものすごい量ですね…

④ロメオとヴィーナス

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今回のコレクションのデザインになっている"Romeo"と"Venus"。
こちらの意味について解説していきます。

デザインとなっているRomeoとはシュタージのプログラムで、外見的に魅力的な男性が女性を誘惑して関係を持つことでスパイ活動を行なうプログラムの総称です。
Venusはその女性版のプログラム。Romeoと対になるJulietとも呼ばれることもあったようです。

デザインに使われている写真はなんとシュタージ・アーカイブより引っ張ってきたもの。
当時のRomeoやVenusで活動していた諜報員……かはわかりませんが、男性の方は「シュタージの変装セミナー」にて撮られた作品。
Simon Mennerというドイツの写真家がシュタージ・アーカイブをまとめ、一連の作品として世に出版しているのですが、そちらから確認できます。
モデルの付け髭もこの変装方法から来たものですね。髪型と髭でまるで別人に、これがスパイの変装術……。

⑤あの人もシュタージに

元KGBとしても有名なロシアの大統領プーチンですが、東ドイツで諜報員として活動していた彼がシュタージによって身分証を発行されていたことも判明しています。
ロシア政府によると、社会主義国として協力関係にあったKGBとシュタージで、このように身分証を交換していてもおかしくないとのこと。

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ところで今回のコレクションにあるこちらのデザインのTシャツ。
文字の太さに着目するとある人物が浮かび上がってきませんか?
PUT ME IN MY PLACE…
PUT ME IN MY PLACE…
………
深読みしすぎですかね(笑)

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おまけ

1970年代後半から東ドイツでドキュメンタリー映画を撮ってきたトーマス・ハイゼという映画監督がいます。
『ハイゼ家 百年』という新作公開を記念し、ベルリンの壁が崩壊するまで上映が禁止されていた初期3作品が今年2021年に日本にも初上陸したのですが、当時の社会主義国の雰囲気が味わえる珍しい映像ですので、こちらも合わせてお薦めさせていただきます。(2021年9月25日(土)より横浜のシアターでも期間限定で上映するようです!)

個人的に特に惹かれたのは『人民警察』。
『スターリン葬送狂騒曲』が好きな方はおそらく好きな雰囲気な映画です。
ブラックジョークのような滑稽な雰囲気もありますが、史実なので本当に笑えない。権力の意味を考えさせられる映画でした。

Ryusei

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