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【12月15日続報】小日向台町小学校改築に係る小日向二丁目国有地の活用についての区の回答

現在文京区小日向台町小学校の改築をめぐる問題について、 有志が参加するLINEオープンチャット「文京区議会を見守る会」で議論・共有されている内容を記事としてまとめて、発信していきます。

この記事では、小日向台町小学校の改築に関連した小日向二丁目国有地(財務省住宅跡地)の活用について、文京区が12月15日までに行った回答等の内容や署名提出の動きなどを共有します。

★問題の経緯について詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ


【12月14日】小日向台町町会への回答

 小日向台町小学校の改築をめぐる問題について、小日向台町町会は2023年11月27日付で成澤区長、学務課長、介護保険課長、企画課長に対して「小日向台町小学校の改築に関する意見および要望」を提出しました。こちらが実際に提出された文書のPDFです。

 この意見・要望にたいして、12月14日に文京区からメールでの回答がありました。回答全文は以下のとおりです。(少し長いのですが、全文を引用します)

意見及び要望に対する文京区からの回答内容


2023 文教教学第 1310 号

令和5年 12 月 14 日
小日向台町町会会長 酒井 美津子 様
小日向台町町会環境委員長 小林 秀一 様

教育推進部学務課長 中川 景司
企画政策部企画課長 横山 尚人
福祉部介護保険課長 阿部 英幸
(公印省略)

小日向台町小学校の改築に関する意見及び要望に対する回答について

日頃より、区政へのご理解とご協力をいただきありがとうございます。
小日向台町小学校における改築期間の長期化については、区としても大きな課題と捉えております。子どもたちにとって良好な教育環境を確保するため、 改築計画に活用可能な学校周辺の土地等に関し、様々な角度から活用の可能性について調査を行っているところです。
令和5年11月27日及び12月1日にいただいた標記に関する意見及び要望について、以下のとおり回答いたします。

1 特別養護老人ホーム等と仮校舎の併設について
国有地の敷地面積は約7,100㎡あるものの、「土砂災害警戒区域(一部は土砂災害特別警戒区域)」に指定されている傾斜地(崖地)や位置指定道路などが敷地に含まれており、建設地として活用できる平地の面積としては約4,500㎡程度と認識しています。
本計画では、特養、地域密着型サービスと育成室を複合した施設とすることとしており、建築基準法等の法令を始め、様々な条例や要綱への適合、建物の防火や避難等の安全面の確保、施設の運営時間や管理等の違いによる動線の確保、などの対応等が必要なことから、概算の各施設の必要面積の積み上げ計算の延床面積以上に、複合施設としての建物規模は大きくなります。
そのため、現在計画している特養等の面積を確保したうえで、仮校舎建設に必要となる面積を確保することは困難であると考えております。

2 「小日向台町小学校等改築基本構想検討委員会」の意思決定について
令和5年12月5日付け「小日向台町小学校改築に係る小日向二丁目国有地に関する区の見解について」でお示ししたとおり、制度的には国有地の用途として仮校舎を整備することは可能であると認識しております。ただし、先に述べたとおり、特養等と併設し、仮校舎建設に必要となる面積を確保することは困難であり、検討委員会において、実現困難な国有地の活用を議題としては掲げておりません。
また、特養整備を行う前の一時貸付による仮校舎としての暫定利用の可能性に関しては、特養のスケジュール上難しい旨、検討委員会の質疑の中で回答しております。
これらを踏まえ、「文京区立小日向台町小学校等改築基本構想検討委員会報告書」を取りまとめており、改築整備の方針を取り消すことは考えておりません。

3 事業者選定について
上記1でお示ししたとおり、特養等と仮校舎の併設は困難であることから、小日向台町小学校等の改築及び特養等の整備について、 特養選定事業者に対し、 仮校舎の設計等に関する追加条件を付与することや、事業者選定を延期及び中止する考えはありません。
なお、 小日向台町小学校等の改築事業者選定においては、工事手法の工夫による工期の短縮、及び期間中の教育環境や周辺地域への配慮等について、事業者へ技術提案するように求めております。
また、小日向台町小学校等の改築工事の配置プラン、工期、工事の流れなどがお示しできる段階で、改築計画に関する説明会を実施する予定です。可能な限り早いタイミングでの開催を検討してまいります。

4 国有財産の定期借地における転貸について
本件国有地の「転貸」による活用については、12 月1日に改めて国に確認を取り、以下のとおり、回答いただいております。
○国からの回答(関東財務局東京財務事務所に確認)
国有財産の定期借地における転貸については、法的には整理されているものではなく、財務省通達「(令和元年9月 20日付財理第3207号)定期借地権を設定した貸付について(以下「定借通達」という。)」記7(1)に記載のとおり原則認められておりません。
転貸について認められる例は、同通達記7(1)①②に限定的に列挙したものとなります。補足しますと、本国有地における施設整備は、国と区との契約ではなく、区の公募により選定された事業者が、国の審査を経て、国と事業者にて直接、定期借地権設定契約を締結し、特養等の施設整備をする、公共随意契約によるものであり、二段階一般競争入札ではありません。(令和元年9月 20日財理第3206号通達第4-3-(1))
今回のような特養整備事業者である社会福祉法人が、国有地の一部を区に貸し付ける、「貸付財産の転貸」については、定借通達では、原則認めないものであります。例外として掲げる「特別の事情があるものとして別に定める場合」について、限定的な列挙として地方公共団体が定期借地を受けて、福祉施設、認定こども園又は医療施設を経営する事業者へ転貸する場合と二段階一般競争入札により選定された貸付相手方が転貸する場合について定められています。本件については、そのいずれにも該当しないと認識しております。
なお、(昭和40年4月1日付大蔵省訓令第2号)普通財産取扱規則第30条第4項ただし書後段の規定による「財務大臣の承認を得た場合」として、転貸にかかる承認を得ることも規定されておりますが、この規定は、現行法令通達で想定されていない場合に財務大臣の承認を得ることを定めているものであり、仮定の話では国は検討を行えず、 区として現在の利用計画を根本的に再検討できない状況において、この規定を前提に転貸について国に協議することはできません。
「転貸」制度の適用の可否に関わらず、現在計画している特養等の面積を確保した上で、仮校舎建設に必要となる面積を確保することは困難であると考えております。

以上1から4を踏まえ、令和5年 11 月 27 日付け「小日向台町小学校の改築に関する意見及び要望」における以下4点の意見・要望に関して、以下のとおり回答します。

1)区は、まずは、特養事業者と小学校改築の業者選定手続きを中止すること。12 月開催予定の選定委員会は延期すること。
(回答) 3で述べておりますとおり、小日向台町小学校等の改築及び特養等の整備について、両事業者選定を延期及び中止することは考えておりません。

2)また、区は、早急に、改築基本構想委員会の各委員に情報提供を行うこと。
(回答)2で述べておりますとおり、改築整備の方針を取り消す考えはありませんが、改築基本構想検討委員会の委員も含め、改築に関する情報については適宜お伝えしてまいります。

3)加えて、このような事態となったことの重大性に鑑み、区民、特に小日向台町小学校改築に関係する周辺地区の住民に対し、一日も早く、これまでの経緯と今後取り得る選択肢について説明会を開催すること。
(回答) 3で述べておりますとおり、小日向台町小学校等の改築工事の配置プラン、工期、工事の流れなどがお示しできる段階で、改築計画に関する説明会を実施する予定です。可能な限り早いタイミングでの開催を検討してまいります。

4)2)の情報提供と3)の説明会を経た後に、あらためて改築基本構想委員会の意思形成を行なうものとすること。
(回答) 2で述べておりますとおり、改築整備の方針を取り消す考えはないため、新たな合意形成を図ることは考えておりません。

【問合せ先】
教育推進部学務課施設担当 電話 03-5803-1296
企画政策部企画課 電話 03-5803-1126
福祉部介護保険課高齢者施設担当 電話 03-5803-1208



町会からの意見・要望に対しては”ゼロ回答”

 ・・・ということで、非常に残念なことに、小日向台町町会からの意見・要望に対しては、様々な理由をつけたうえでゼロ回答という結果でした。
 これまで文京区は地元町会・区民のみならず、区議会においても「小学校の仮校舎を財務省住宅跡地に整備することは、国のスキームを理由にできない」との答弁を行ってきました。にもかかわらず、この回答では「「転貸」制度の適用の可否に関わらず、現在計画している特養等の面積を確保した上で、仮校舎建設に必要となる面積を確保することは困難」と、今までと異なる説明を繰り返しています。

 ようは、「(間違った前提条件があったとはいえ、)特養の建設の手続きがここまで進んでしまった以上、今から抜本的な計画の見直しを行うことは難しい」ということです。
 12月1日に企画課・学務課・介護保険課との面会の際にも、町会のメンバーは「これまでの手続きが本当に正しかったのか。誤りがあったとしたならば、その点についてきちんと区民に情報提供をしてほしい」と要望してきましたが、上記の回答2)にあるように、いつのまにかその情報提供も「改築に関する情報提供」にすり替えられています。

 行政手続きとしては、文京区は定められた流れにのっとり手続きを進められていると思われます。しかし、区民の暮らしにも大きな影響を及ぼすこれだけの大規模なプロジェクトの合意形成プロセスとして、こうした進め方は認められてよいものなのでしょうか…?この点について、今回の文京区の対応は非常に大きな疑問が残ります。

【12月14日】同日、区のHPでも新たな見解を公表

 小日向台町町会への回答と時を同じくして、12月5日に文京区のホームページで公開された「小日向台町小学校改築に係る小日向二丁目国有地の活用に関する区の見解について」についても、更新が行われていました。
(更新のたびにリンクも変更されるようです。各資料のPDFを添付しますので、リンクが無効になっている場合は以下に添付しているPDFをご覧ください。)

 12月5日に公表された資料に加えて新たに公表されたのが、「小日向二丁目国有地における特別養護老人ホーム等の建設に関すること」という文書です。(発信者:文京区福祉部介護保険課長)

 こちらの文書ではじめて、現在区が進めている手続きを見直した場合の影響についてわかりやすく説明が行われていました。該当部分を引用します。

⑤ 特別養護老人ホームの開設を先延ばしできないのか
 今回の事業者選定は、国と契約を結ぶ事業者について、区が国に推薦するために実施しています。このため、今後の予定としては、区において選定した事業者を国へ推薦し、区が推薦した事業者が、令和6年3月に国の契約相手として決定した後、同年8月に東京都の整備費補助を申請し、令和7年5月の都からの補助内示決定を経ることで、国と事業者が特養等を整備・運営するため定期借地権設定契約を締結することになります。
 なお、敷地の地下には、埋設物が残されているため、令和6年度を目途に、国において撤去を行う予定です。また、敷地西側にある崖地の一部は、土砂災害特別警戒区域に指定されているため、建設工事に先行して、事業者自らが、崖地の整備を行う必要があります。
 これら全てが完了した後、令和7年度中に特養等の建設工事の着工となり、令和10年度中に開設の予定となっております。今から、仮校舎について検討する場合、再度国との協議を初めから行う必要があるとともに、法令等を遵守した実現性の検討や新たな計画に対する地域への説明が必要となります。また、特養等の国有地における国の補助の申請期限がある中、都の補助協議については、随時受付ではなく補助申請の機会も限られており、申請から決定までに時間を要するため、特養の事業開始に年単位での遅れが生じることから、仮校舎の建設は、現実的に難しいと考えております。

 小日向台町町会への回答では、面積を理由として仮校舎への利用はできないという趣旨での説明でしたが、こちらの文書では計画の見直しに伴う事業開始に後れを生じる懸念を理由として仮校舎への利用はできないという説明が行われています。
 「今から、仮校舎について検討する場合、(中略)法令等を遵守した実現性の検討や新たな計画に対する地域への説明が必要となります」との記載もありますが、そもそも、これまで地域に対しては仮校舎への利用について正しい説明が行われていなかった、というのが実情です。
 「今まで説明してきたことは確かに一部正確でない情報があったかもしれない。でもここまで手続きが進んでしまった以上、それを今から正すことはできないので、このまま手続きを進める」というのは、合意形成上、本当に問題がないことなのでしょうか。

 12月1日の区と小日向台町町会との面会の際、町会の関係者からは、「(このまま手続きを強行した場合、選定された民間事業者が)福祉施設の建築計画を出しても地域の住民が納得しなくて工事協定もできない、そういうことが起こりうる」のではないかという懸念も、伝えられています。(詳しいやりとりは、こちらの文字起こし(9ページ)にも記載があります。区側の参加者にも了承を取った上で録音、作成したものです。)
 そうした事態になってしまえば、事業にもっと大きな後れを生じることも考えられます。

 

【12月14日】区民からは、小日向台町小学校の改築計画の見直しを求める署名を提出

 この日、区民からは小日向台町小学校の改築計画の見直しを求める署名の提出も行われました。紙とオンラインと、合計で717名の署名が提出されました。(署名は現在も募集中です。この問題に関心を持っていただいた方は、ぜひ署名へのご協力をお願いいたします。)


 こちらが署名とともに提出された書面です。

 成澤区長は、かねてからこの問題に関して区民からの面会要望を拒否されてきましたが、今回の署名の提出にあたっても、「この件は対応しない」ということで直接受け取ってはいただけませんでした。
 受け取った総務課の担当者からは、「必要であれば返事をする」と言われています。717名という区民からの訴えを、民意をどうか無視しないでいただきたいと思います。


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