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去る者たちへ

何十年も強く怖く恐れ敬った2人の存在が、小さく弱くなっていた。いや最初から弱者だったのだろう。 僕は勘違いをして敵のように支配者の様に2人を勘違いしていたのだろう。弱者だったのに必死に僕を守り、育ててきてくれたのだろう。何十年もかけてやっとその事に気が付き、残りの数日は僕は涙が止まらない。感謝や寂しさや自分への無力さが混じった涙だ。

僕にとってせめてもの救いは2人が現在2人のままその日を迎える事だ。
1人はもう1人がいなくなるまでは死なない言うし、もう1人もそう言う。
僕は何も助けてあげられない。
人間の命は軽い。簡単に消えてしまう。何度も恋人や友人と死という境界にとられた。人間はあっという間に簡単に死んでしまう。
激動の昭和を2人は駆け抜け終わろうとしている。
僕が受験で発狂してた時に言った。
「受験なんていいんだ。そんなものは長い人生で大事でもなんでもない。どんな窮地に立たされても、ひとつくらいは何か道がある。だから君とそれを探そう。」
人間の魂は重い。見送る者にとって去られるのは恐怖で孤独で無力だ。
「私達のたったひとつの願いは、あなたが私達より長生きする事ですよ」
僕は何をカッコつけていたのかいつもこう答えてた。
「そんな事はわからないよ、きっと俺の方が先に死ぬ」
と、いつもいつも
明日はいないかもしれないから、僕は今からこう伝えようと思う
「僕は必ずあなた達よりたくさん生きて、生きている間は精一杯人生を歩むよ」
と、もうそう伝えようと思う。

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