おもいでが呼吸しなくなるまで

おもいでが呼吸しなくなるまで、わたしはずっと、2023年の冬にいることになります。わたしのなかではまだ、あの日はずっと呼吸しているの。生きているの。しつこくしつこく。きみとはじめて出会った日、きみとはじめておでかけした日、きみとはじめてお泊まりした日、きみに誕生日プレゼントをわたした日、きみとディズニーに行った日。きみを駅まで見送った日。ぜんぶまだ忘れられていないのに、どうしてくれるんですか。きみはいまなにしてるの?どこで、だれと、なにをして、どんなことを感じているの?ばからしいね。ほんとうに。かんがえればかんがえるほど、きみについて考えることがばからしいです。でもいままでにきみが言ってくれたことばが、いまになって、水分を含んだ布みたいに質量をまして、わたしのことを引っぱろうとしてくる。引きずろうとしてくる。おねがい。はなして。もうここにはいたくないの。でも結局、どこにも行けないから、どこにいてもここにいる。かなしい。とんだバッドエンドだね。このうた、わたしのだいきらいなきみに捧げます。耳かっぽじって聴いていてね。せかいのどこにいても、わたしが目に入るようになるまで、あと5年。だいきらいな煙草をくわえて、きみの目の前にあらわれるから。

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