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仕事もきょろきょろ(6)「新潮文庫の表紙」

 新潮文庫の造本設計がいいという話が続いていますが、最後にもう一つ。
新潮文庫は表紙のデザインもいいのです。

 私は本を読むときはカバーを外して読みますので、文庫本も外します。外すと表紙が現れるのですが、特に文庫本の場合は各社のデザインが統一されていますから、それだけにその基本デザインは出版社の文庫に対する姿勢を表してしていると思うのです。

 カバーを掛けるから表紙はそれほど気を使わなくてもいいという考えで力を抜くと、私のようなカバー外し組からは残念な文庫に分類されます。その点、新潮文庫の表紙は品があり、まさに文庫の品格を大事にされている出版社だと思います。

 薄い赤クリーム色の表紙に濃い利休鼠色のインキ(古い新潮文庫は2色刷り)。図柄は、SL(Shincho Library)の文字が入った葡萄のイラストと囲み罫、書名と著者名。デザインは山名文夫(やまな あやお、1897年~1980年)。

 岩波文庫もいいですね、ただ少し重い感じがして私は新潮文庫に軍配を上げています。

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2021/5/27Facebook掲載)

このコラムは、(株)文伸が運営する自費出版専門工房「ことこと舎」Facebookページからの転載です。

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