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2024年2月の文春新書ラインナップ!

毎月20日発売の文春新書。2月のラインナップ4冊を簡単にご紹介!気になった1冊をぜひお手に取ってみてください。


①小川寛大『池田大作と創価学会』

平和の使者か、俗物か? 誰よりも人の心をつかんだ男の魅力に迫る

日本最大の新宗教、創価学会の池田大作名誉会長が2023年11月15日に95歳で死去した。創価学会内で「永遠の師匠」とされる池田は、さまざまな毀誉褒貶に彩られた人物だった。
赤貧の出身だが、20代後半に創価学会に入信し、1960年に32歳の若さで第3代創価学会会長に就任。親しみやすい人柄と巧みな弁舌を武器に組織拡大に邁進し、会員世帯数827万(公称)もの信者を獲得するに至る。田中角栄や松下幸之助などをも魅了。公明党を創設し、念願の政界進出を果たした。
一方で、政教一致と受け取られかねない創価学会の主張は世論の大きな反発を招いた。池田は創価学会への批判を封じ込めようと「言論出版妨害事件」を起こし、世間から猛反発を招いたあげく、ついには政教一致路線の撤回を余儀なくされる。以降、創価学会は「世界平和」を掲げ、池田は「平和の使者」としての顔を前面に打ち出すようになった。

池田大作とは何だったのか? そして、ポスト池田の創価学会はどうなるのか。誰よりも人の心をつかんだ男の魅力に迫る。

②山上信吾『中国「戦狼外交」と闘う』

日本外交よ、中国の恫喝に屈するな!

かつて毛沢東は「政権は銃口から生まれる」との名言を残した。
中国共産党は「力」の信奉者であり、「民主」「平和」といった理念は通じない。とりわけ習近平政権では、外交にかかわる党幹部が公式の席で日本を含む西側陣営を罵倒、攻撃することが常態化している。それに対して、日本政府は何ら手を打てずにいた。いわゆる「チャイナスクール」と呼ばれる親中派外交官らは、逆に中国におもねるような行動をしていたほどだ。
だが、2023年までオーストラリア大使を務めた山上信吾氏は、中国からの恫喝に敢然と立ち向かった。もともと親中派政権が続き、中国との経済的結びつきも強かったオーストラリア。ところが2020年に新型コロナ発生源の調査をオーストラリア政府が求めたところ、中国側の態度は一変。あらゆる豪州産品に制裁関税をかけ、中国市場から締め出したのだ。一方で、中国はオーストラリア国内で活発な情報工作活動を展開。オーストラリア政府を屈服させて、中国に隷属させようという作戦を繰り広げていた――。
中国の「戦狼外交」に立ち向かった外交官の闘いの記録。

③福田恆存『福田恆存の言葉 処世術から宗教まで』

戦後日本を代表する思想家による幻の講演、初の書籍化

ゴマはうまくすれ
近代化に呑まれるな
エゴイズムを肯定しろ

世界一流だった陸軍、海軍がどうして戦争に負けたのか
人生はエゴとエゴとの賃借関係
理想家は現実世界に適応できない
日本では民主主義が運営できない
状況を読む深さで勝負は決まる
国家意識がない日本人
家族にも想像力、演出力が必要
アメリカの目的は敵の排除だけ
「愛」と「理解」は全く別問題
神様との付き合い方

戦後を代表する知識人である福田恆存は、近代化の弊害を問い続けた。
その思想のエッセンスが詰まった「伝説の名講演」を初の活字化!

保守派の知識人が問う「君たちはどう生きるか」ーー。


④笠井亮平『『RRR』で知るインド近現代史』

極上のエンタメ映画で学ぶ激動のインド近現代史

劇中歌「ナートゥ・ナートゥ」の〝超高速ダンス〟が話題となり世界的に大ヒット、2023年のゴールデングローブ賞、アカデミー賞歌曲賞を受賞したインド映画『RRR』。
1920年代のイギリス領インド帝国を舞台に、英国軍にさらわれた妹を取り戻すために立ち上がったビームと、大義のために英国政府の警察官となったラーマという2人の男の立場を越えた友情を、ド派手なアクションとVFX、歌とダンスで描いている。しかしこの『RRR』、極上のエンタメ作品と見えて、じつは随所に歴史的、政治的な映像と意匠が散りばめられている。

ストーリーの下敷きとなった古代インドの二大叙事詩『ラーマーヤナ』と『マハーバーラタ』とは何か? 主人公2人は実在の解放闘争の部族指導者をモデルとするが、実際どんな人だった? 総督夫妻らイギリスを徹底的に悪役として描くことに表われた現在のヒンドゥー・ナショナリズムの高揚とは? 劇中で印象的に使われる(現在の国旗とは違う)旗の由来、エンドロールの背景に次々現れるチャンドラ・ボースら8人の解放闘争の英雄たち、そして何故そこに〝国父〟ガンディーがいないのか? などなど。

『RRR』に秘められた意味と背景を解説しつつ、アカデミー賞9部門受賞の『ガンジー』や『ムトゥ 躍るマハラジャ』などこれまでの数々のインド映画にも触れ、映画でインド近現代史が学べる一冊。


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