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「育児体業の取得率・取得期間」福岡県立大学看護学部前期2020年

(1)問題

【資料1】~【資料6】は、男性の仕事と育児(子育て)に関する資料である。これらの資料をもとに以下の設問1、設問2に答えなさい。なお、出題の都合上、資料については原典を一部改変している。

設問1
問1 2019年12月、政府は男性の育児休業取得率を2025年までに何%にすることを目標としましたか。また、目標がその値とされた理由は何であると考えられますか。【資料1】をもとに、解答欄①に順に書きなさい。
問2 【資料1】の(ア)~(ウ)のカタカナを漢字に直し、解答欄②に書きなさい。
問3 男女の育児休業取得率の年次推移のそれぞれの特徴を解答欄③に書きなさい。
問4 男女の育児休業の期間を比較し、その特徴を解答欄④に書きなさい。
問5 【資料3】をもとに、男性が育児休業を取得しなかった理由の上位2つを解答欄⑤に書きなさい。
問6 【資料5-1】【資料5-2】をもとに、以下の文章の(エ)~(カ)にあてはまる数値および言葉を解答欄⑥に書きなさい。

子育てについて、「自分が半分程度、配偶者・パートナーなどが半分程度担う」ことを希望している男性は(エ)%であり、実際にそうしている男性は(オ)%であった。男性の育児に対する力の入れ具合の希望をみると、68.4%が(カ)と答えた。

設問2 【資料1】~【資料6】をもとに「男性の仕事と育児を取り巻く現状と、男性の育児休業取得率を高めるための取り組み」について、800字程度で論述しなさい。ただし、以下の2点について必ず言及すること。また、論述の際には全ての資料を用い、資料番号を明記すること。
①男性の育児休業取得に関する現状と問題点
②男性の仕事と育児の現状

【資料1】動く男性の育児休業
① 働く男性の育児休業(育休)の取得を促そうと、政府は、男性の育休取得率の目標をこれまでの「2020年までに13%」から大幅に引き上げ、「25年までに30%」とすることを今月決めた。ただ。制度はあっても「休みにくい」という声は多く、実際の取得率はわずか6%にとどまっている。厚生労働省は来年度から社員の育休取得を後押しする企業への助成を広げる。

②政府は15年の少子化社会対策大綱で「20年までに13%」という目標を掲げてきた。しかし、厚労省によると、18年度の男性の育休取得率は6.16%、育体の期間も、女性の約9割が6か月以上取得しているのに対し、男性は4割近くが「5日未満」と非常に短く、制度が定着していないのが現状だ。

③ 一方で、幼い子どもを持つ全国の男性正社員を対象にした厚労省の調査では、育休取得希望者は28.3%に上る。このデータをもとに、政府は今月、人口減対策などについて取りまとめた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で、男性の育休取得率の目標を「25年までに30%」と明記した。

中略

④ 厚労省は現在も、全社員に男性の育体制度をメールで周知するなど休みやすい環境作りを進め、実際に男性社員が育体を取得した企業に対し、1人の育休取得で最大72万円(中小企業)を助成している。来年度はこの制度を(ア)カクジュウし、上司が男性社員と個別に面談して取得を促すなど個人に働きかけて育休取得を実現した場合に、1人分で12万円を上乗せし、最大84万円を助成する方針。来年度予算案に今年度の2倍近い約65億円を計上した。

⑤国の推計では、19年生まれの子どもの数(出生数)が初めて90万人を下回る見込みで、少子化は予想以上のペースで進んでいる。厚労省職業生活両立課は「企業を後押しすることで、男性も子育てに参加しやすい社会を目指す」としている。

⑥◆育児休業=育児・(イ)カイゴ休業法に基づき、子供が1歳になるまでは全ての企業に制度化が義務づけられている。休業中は雇用保険から月給の67%(7か月日以降は50%)が支給され、厚生年金などの社会保険料も(ウ)メンジョされる。出典:読売新聞2019年12月28日

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【資料3】

男性が育休制度を利用しなかった理由2018年

『西日本新聞』2021年8月14日朝刊から引用
https://www.nishinippon.co.jp/image/124556/

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子育ての分担の希望と実際(男性の回答)
育児に関する力の入れ具合についての希望(男性の回答)

【資料6】男性育休「職場変わった」同僚がカバー、業務効率化

① 政府は今月、男性社員の育体取得率を「30%」へと大幅アップさせる目標を打ち出した。希望通りに休めるようになるには、職場や同僚の理解が必要だ。先進的に取り組みを進める企業では、業務の効率化などのメリットも生まれている。

② 「10年前は『男は育休を取るものじゃない』という雰囲気があった。職場が変わってくれたことで。今回は安心して取得できた」

③ 今年9月、三男が生まれた直後に、夏季休暇を含め約3週間の育体を取得した東京都世田谷区の男性(36)はそう話した。

④ 男性は、大手損害保険会社(東京)で、渉外業務を担当している。11歳の長男と8歳の次男が生まれた時は休みを申し出るのが心苦しく、結局休まなかったというが、今回は上司の勧めで取得できたという。

⑤ 同社は2015年度から男性社員の育休取得を推進。管理職が部下に育休取得を促すなどの取り組みの結果、17年度には男性の育休取得率が73%に達した。

⑥ 育体中は、家事全般をこなし、小学生の長男と次男の面倒も見たという男性。同僚が仕事をカバーし、状況もメールで知らせてくれたので、妻の支援に集中できた」といい、妻(35)も「夫がそばにいてくれたので、精神的に安定した」と振り返る。

⑦ 大和証券(同)では、男性の育休取得率が17~18年度に2年連続でl00%を達成した。育休中は本来、支払われる給与が7割ほどになるが、育体の最初の2週間は有給休暇扱いにし、収入が減らないようにする独自の制度を設けた。

⑧ 同社の広報担当者は「育休中の社員の代わりに、周りの社員が様々な業務を覚えることができた。「育体を取ってもらうことで、業務全体の効率化と生産性アップにつながった」と手応えを語っている。
出典:読売新聞2019年12月28日

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(2)図表の読み取り

【資料1】動く男性の育児休業

●政府の男性の育休取得率の目標と現状

・政府は「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で、男性の育休取得率の目標を「2020年までに13%」から「25年までに30%」大幅に引き上げたが。

・現場では制度はあっても「休みにくい」という声は多く、18年度の男性の育休取得率は6.16%、育体の期間も、女性の約9割が6か月以上取得しているのに対し、男性は4割近くが「5日未満」と非常に短く、制度が定着していないのが現状だ。

●男性社員の育休取得希望率

・厚労省の調査では、育休取得希望者は28.3%に上る。

●男性社員の育休取得率向上に向けての政府の取組み

・全社員に男性の育体制度をメールで周知するなど休みやすい環境作りを進め、実際に男性社員が育体を取得した企業に対し、1人の育休取得で最大72万円(中小企業)を助成している。

・来年度はこの制度を拡充し、上司が男性社員と個別に面談して取得を促すなど個人に働きかけて育休取得を実現した場合に、1人分で12万円を上乗せし、最大84万円を助成する方針。

・育児休業=育児・介護休業法に基づき、子供が1歳になるまでは全ての企業に制度化が義務づけられている。

【資料2―1】

2013年以降、男性の育児休業取得率が上昇している。2013年から2018年にかけて4.27ポイントの上昇。

【資料2―2】

育児休業の取得期間については、10か月~18か月が全体の50%以上(61.1%)に対して、男性は5日未満~2週間未満が全体の約70%(71.4%)を占め、育児休業期間が女性に比べて短い。

【資料3】

「業務が繁忙で職場の人手が不足」(27.8%)、「会社で育児休業制度が未整備」(27.5%)、「育休を取得しづらい会社の雰囲気」(25.4%)の3つの理由が20%を越えて上位を占めていることから、男性の育休取得が進展しない原因として、職場環境やガバナンスに問題があると考えられる。

【資料4】

就業時間が週60時間以上ということは、労働基準法が定める法定労働時間が1日8時間、週40時間であるから、この労働時間を越えて、週20時間以上、時間外労働、いわゆる残業していることになる。

年齢階級別に見ると、30代の男性が13.7%、40代の男性が14.4%で、この年齢階級の割合が高く、いわば働き盛りの年代、企業の中核として業務を担っている人たちである。

また、こうした年代の人々がちょうど結婚をして子どもが生まれる層と重なっている。

資料1 では会社に育休制度はあっても「休みにくい」という声は、こうした事情を反映しているものと考えられる。また、【資料4】は資料3のアンケートにある「業務が繁忙で職場の人手が不足」(27.8%)、「育休を取得しづらい会社の雰囲気」(25.4%)という意見をデータ的に裏付けるものであるという評価を下すことができる。

【資料5―1】

「自分が半分程度、配偶者・パートナーが半分程度担う」という希望が45.1%と一番高いが、実際は21.3%で、半分以下か実行されていない。

【資料5―2】

「可能な限り力を入れたい」が68.4%で、育児に対する男性の意欲は確認できる。

【設問Ⅱ】

以下の記事を参考のこと。


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(3)解答例

設問1
問1
30%。
幼い子どもを持つ全国の男性正社員を対象にした厚労省の調査で育休取得希望者は28.3%に上るが、18年度の男性の育休取得率は6.16%と低く、育体の期間も、女性に比べて男性は非常に短く、制度が定着していない現状を打開するため。
問2 
(ア) 拡充 (イ)介護 (ウ)免除
問3 
男性:概ね上昇傾向にあり、特に2017年に取得率が急激に上昇している。
女性:1996年から2007年にかけて一貫して上昇していたが、2008年以降、横ばいが続いている。
問4 
男性:2週間未満が7割以上を占め、女性に比べて育児休業の取得期間は短い。
女性:男性に比べて育児休業の取得期間が長く、10か月から18か月未満が6割以上を占めている。
問5 
職場での育児休業制度の不整備と職場における育児休業に対する周囲の理解の不足
問6 

子育てについて、「自分が半分程度、配偶者・パートナーなどが半分程度担う」ことを希望している男性は(エ)%であり、実際にそうしている男性は(オ)%であった。男性の育児に対する力の入れ具合の希望をみると、68.4%が(カ)と答えた。

エ:45.1% オ:21.3% カ:可能な限り力を入れたい

設問2

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