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「子どもの肥満」東京学芸大学2018年改作

(1)問題



 
図1から読み取れることを200字以内で書きなさい。
 
図1 2005年小学校(6歳)の同年齢集団における肥満傾向児出現率の変化

資料出典:文部科学省,学校保健統計調査平成器年度(確定値)の結果の概要(http://wwwmext.goJp/b_menu/toukei/chousa05/hOken/kekka/k_detan/1380547htm)並びにe―Stat,学校保健統計調査(http://wwwe―statgOjp/SG1/estat/ListdO'bid=Ⅸ)()(Ю1014499)のデータを使って作図した。


2

以下の文章を読み,都市的な生活環境やライフスタイルと,過体重や肥満,それに関連した健康問題との間には,どのような関連があるか,600字以内(句読点等を含む)で考えを述べよ。


①  1980年以降,過体重や肥満の人々は2倍以上に増加した。当初は約8億500万人だった

が,世界人口が70億人である現在,20億人を越えている。世界で最も権威のある医学誌『ランセット』に先月掲載された報告書によると,ますます深刻化する肥満のまん延は,世界の成人3人に1人以上に健康上の影響を及ぼす可能性があり,2010年だけでも340万人の死につながった。

②  過剰な体重は,アメリカやオーストラリアやイギリスといった高所得国だけの問題では

ない。実際のところ,現在その影響のほとんどは低所得および中所得の国々で見られており。中国とインドでは増加の一途をたどっている。

③  肥満と,それに関連した糖尿病.高血圧,心臓病,一部のガンのリスクは潜在的に,未来の

医療費を世界的に増加させる主な要因である。肥満のまん延は労働者の生産性にも影響を及ぼし,効果的な対策を講じなければ未来の経済発展を妨げかねない。

④  肥満率の上昇と同じ時間軸に沿って,世界は急速な都市化を遂げてきた。1960年,世界

人口の3分の2は農村部に暮らしていた。世界は2008年までに,半数以上の人々が都市に暮らしている時期を迎えた。人類史上初めて,「田舎の人」よりも「都会人」の方が多くなったのだ。

⑤  国連の推測では,21世紀力頃までに3分の2以上の人々が都市に暮らしている。では,

都市化と,過体重や肥満それに関連した健康問題のまん延との間には,関連があるのだろうか?

(中略)

⑥  実際のところ,私たちが現在暮らし,学び,働き,遊んでいる都市や町を表現する言葉

として,公衆衛生の研究者たちは「 Obesogenic environments(肥満生成環境)」という新語を創った。

(以下略)出典Our World国連大学ウェブマガジン。(2014年06月25日タン・スリ・ザクリ肥満:世界的まん延と地域の課題・ハミドマレーシア首相科学顧問,アンソニー・ケイポン国連大学。翻訳:高暗文子),httpS://OurWOrldunu.edu/ip/obesity_an_urgent_global_epidemic_andlocal_chalengeより抜粋。

 


1と2を踏まえて,児童生徒の肥満に対して.学校や社会で環境整備を含めどのような取り組みが考えられるか,理由と共に400字以内(句読点等を含む)で述べよ。

 


(2)解答例

 

小学校(6歳)以降、男女ともに肥満児傾向出現率が顕著に上昇している。小学校(7歳)以降、肥満児傾向出現率は男子が女子より高い。肥満児傾向のピークは小学校(11歳)と高等学校(15歳)と2つありいずれも男子は11%台で約8人に1人、女子は8%台で約12~13人に1人が肥満児傾向にあり、差は約3ポイント男子が高い。最初のピークを迎えたあと、男女ともに率は下がり、中学校(14歳)で谷となり、その後男子は急激に上昇する。(200字)

 都市的な生活環境では鉄道・バスなどが発達し、住民は通勤・通学等でこうした公共の交通機関を利用している。また、都市では自動車の保有率が高く、近場の買い物にも車で移動する。こうしたモータリゼーションを背景として、都市的な生活者には、歩くといった運動習慣が定着していない。加えて、高い地価の問題や用地の確保が困難な理由から、公園や運動場、体育館などの市民が運動する施設が都市には少ない。こうした環境により住民は運動不足になる傾向にある。

 さらに都市的な生活環境では外食産業が発達しているために住民はファーストフードなどの外食をする機会が多い。外食のメニューは野菜や魚が少なく、肉類や揚げ物などが多いため、高脂質・高カロリーの食事を摂取する機会が増える。都市の過密の環境によりストレスが溜まり、食べることでストレスを解消するために、過食の傾向となる。

 以上のような都市的な生活環境やライフスタイルにおいては、運動不足と栄養面で偏った食事、ストレスによって、住民の間に過体重や肥満の問題をもたらす。これらは悪性新生物や心疾患、脳血管疾患、糖尿病、高血圧症といった生活習慣病のリスクを高める要因になる。都市的な生活環境やライフスタイルは過体重や肥満を通して住民の健康を悪化させる背景になっている。(551字)

3

 初めに学校の取り組みから述べる。体育の授業を通して子どもの運動機会を確保する。給食では野菜や魚、植物性たんぱく質を含む食品などを用いたメニューを工夫し、栄養バランスのとれた食事が健康な身体を作るうえで必要であり、好き嫌いなく子どもが食べられるように、食育を行う。

 地域社会では、子どもが参加するスポーツクラブなどの充実やスポーツ・イベントの開催などを積極的に行う。こうした活動やイベントを行う際に必要となる運動場や体育館などの運動施設を設立・維持する。

 小学校入学と同時に肥満児の出現率が急上昇するので、こうした取り組みは義務教育を通して組織的・計画的に行うことと、学校や地域が連携して行うことが肝要となる。

幼少時から食事や運動などの好ましい生活習慣を身に着けさせる取り組みを通して児童生徒の肥満をなくし、生活習慣病の予防に繋げ、地域住民の健康に資することができる。(400字)

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