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【今日コレ受けvol.060】忘れた先にある物語

朝7時に更新、24時間で消えてしまうショートエッセイ「CORECOLOR編集長 さとゆみの今日もコレカラ」。これを読んで、「朝ドラ受け」のようにそれぞれが自由に書くマガジン【今日コレ受け】に参加しています。

いまは、なるべく気が散っている方が安全側ではないか。とくに、なにかを発想するときには、一点を見つめていないほうが良いと思う。

さよなら集中力(さとゆみの今日もコレカラ/第67回)/CORECOLOR


集中力ではなく、散漫力。
「老人力がついてきた」という言葉を思い出した。

老人力は、 アーティストであり作家である故・赤瀬川原平さんが提唱した概念で、老化による変化をプラスに考える逆転の思考だ。

私にも、逆転すると力になることがあるのかもしれない。しごく忘れっぽいので「健忘力」とか…?
人に迷惑をかけている気しかしないが、なにか役に立っているだろうか。

昨日シェアラウンジで原稿を書いていたら、息子の習い事の先生から電話があった。
面談の予定をすっかり忘れていたのだ。(本当すみませんでした)
そのまま電話懇談をすることになったのだが、思ってもみなかった方向に話が進み、本人が望めば今年は新しいチャレンジをしてみよう、という話になった。

おそらく先生も、私も(忘れていたから当たり前だが)、用意していた話ではない方向に会話が転がっていった。
これって、突然の電話で、面と向かってではなかったからこそかもしれない…と。そういう意味では「健忘力」がまがりなりにも役に立ったといえるのかも?

そういえばこれまでも、忘れた先にはたいてい、予想していなかった出来事が起こってきた。プラスにもマイナスにも。さらに、忘れていたことが重要なほど、それをリカバリーしようとするドタバタ劇は、記憶に刻まれる。
振り返れば、よき思い出になっていたりするのだ。

先日出張先で入った蕎麦店でスーツケースを預けて忘れ、空港へのバスに乗る直前に慌てて気づいて取りに戻った。

そのとき、お店の方にとても温かい言葉と笑顔をいただいた。さらに戻ったタイミングで偶然、お相撲さんが来ていらっしゃった。
その両方にうれしくなって、「次また出張に来たら、絶対この店に来よう」と思ったのだった。


もちろん、あえて忘れることはしない。というか、重々注意する。
それでも忘れてしまったときは、自分を責めて反省するだけでなく、そこで起こるサプライズにちょっぴり期待してみよう。

「健忘力」が引き寄せてくれる、思ってもみなかった物語に。


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